平島医師
平島医師
最近、『超加工食品を食べると善玉菌が激減する』という話を耳にすることが増えましたね。
秋山医師
秋山医師
でも、『超加工食品って何?』『普通の加工食品と何が違うの?』という方も多いと思います。
平島医師
平島医師
実は私たちが普段何気なく食べている食品の中にも、超加工食品は数多くあります。そして、食べ過ぎることで腸内環境に影響を与える可能性が分かってきました。
秋山医師
秋山医師
今回は超加工食品が腸にどんな影響を与えるのか、そして腸を守るためにできることを分かりやすく解説していきます。

私たちの食生活は年々便利になり、手軽に食べられる食品が増えています。その一方で、食事の内容が腸内環境へ与える影響についても多くの研究が行われるようになりました。

今回は、近年注目されている「超加工食品」をテーマに、腸内細菌との関係や健康への影響、そして腸内環境を守るために普段から意識したいポイントについて詳しくご紹介します。

    超加工食品とは?普段食べている身近な食品も該当する

    「超加工食品」と聞くと、特別な食品をイメージするかもしれません。しかし実際には、私たちが日頃から口にしている食品の中にも多く含まれています。

    食品は加工の程度によって「NOVA分類」という4つのカテゴリーに分けられています。

    • NOVA1:野菜・果物・肉・魚・卵などの未加工、または最小限の加工食品
    • NOVA2:塩・砂糖・オリーブオイル・醤油などの調味料
    • NOVA3:豆腐・ツナ缶・梅干し・食パンなどの加工食品
    • NOVA4:ポテトチップス、菓子パン、インスタントラーメン、アイスクリーム、加工肉、清涼飲料水などの超加工食品

    超加工食品は、家庭ではほとんど使用しない食品添加物や工業的な原料を多く使用して製造される食品です。

    日本人の総摂取カロリーの約3割を超加工食品が占めるという報告もあり、現代の食生活では避けて通ることが難しい存在になっています。

    「超加工食品(Ultra-processed foods)」という言葉は、意外にも比較的新しく、2009年にブラジル・サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授らが提唱した「NOVA分類」から生まれました。食品を栄養素だけでなく“どの程度加工されているか”で4段階に分け、その最上位が超加工食品です。日本では2010年代後半から研究や報道で徐々に使われ、2020年代に入って一般にも知られるようになりました。背景には、菓子パン、カップ麺、スナック菓子、清涼飲料など、便利な加工食品が日常生活に深く浸透したことがあります。実は日本では現在も「超加工食品」の公的な統一定義はなく、主に海外発のNOVA分類を基準に語られている言葉なのです。

    超加工食品が腸内環境へ与える3つの影響

    ① 善玉菌の「酪酸菌」が減少する

    超加工食品や高脂肪食に偏った食事を続けると、酪酸菌が減少することが報告されています。

    酪酸菌は善玉菌の代表的な存在で、「酪酸」という短鎖脂肪酸を作り出します。

    短鎖脂肪酸には、腸粘膜のエネルギー源となるほか、腸のバリア機能を維持したり、炎症を抑えたりする働きがあります。

    そのため酪酸菌が減ると、腸内環境の悪化につながる可能性があります。

    ② 乳化剤が腸のバリア機能に影響する可能性

    パンやお菓子、アイスクリーム、カレールーなどには「乳化剤」が使用されているものがあります。

    乳化剤は水と油を混ざりやすくするための食品添加物ですが、一部の研究では腸の粘膜バリア機能を低下させ、リーキーガット(腸漏れ)の原因となる可能性が報告されています。

    腸のバリア機能が低下すると慢性的な炎症を引き起こし、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

    ③ 人工甘味料による腸内細菌の乱れ

    人工甘味料も腸内環境への影響が指摘されています。

    人工甘味料の一部は小腸で吸収されず大腸まで届くため、腸内細菌のバランスを乱し、悪玉菌が増えやすくなる可能性が報告されています。

    もちろん一度食べたからすぐに悪影響が出るわけではありませんが、日常的に摂り過ぎないことが大切です。

    腸内細菌の「レジリエンス」を高めることが重要

    超加工食品を完全に避けることは、現代の生活では現実的ではありません。

    そこで重要なのが、腸内細菌のレジリエンス(回復力)を高めることです。

    腸内には約1,000種類、約38兆個もの細菌が存在しており、食生活や睡眠不足、ストレスなどによって腸内環境は乱れます。しかし健康な腸には、元の状態へ戻ろうとする力があります。

    この回復力を高めるために、先生方は次の3つを勧めています。

    食物繊維をしっかり摂る

    1日25g程度を目標に、野菜やきのこ、海藻、豆類を積極的に取り入れましょう。

    また、一度冷ましたご飯を温め直すと増えるレジスタントスターチは、酪酸菌のエサとなり腸内環境を整える働きが期待されています。

    発酵食品やプロバイオティクスを継続する

    ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を毎日の食事に取り入れることもおすすめです。

    先生方も納豆やキムチ、めかぶなどを意識して食べているそうです。

    プロバイオティクスは即効性を期待するものではなく、毎日続けることで腸内環境を少しずつ整えていくことが大切です。

    適度な運動を習慣にする

    早歩きや軽いジョギング、サイクリングなどの中等度の有酸素運動は、善玉菌を増やし腸内細菌の多様性を高めることが報告されています。

    1回30分程度を週3回ほど続けることが目安です。

    まとめ

    超加工食品は私たちの生活に欠かせない存在になっていますが、食べ過ぎることで酪酸菌の減少や腸内細菌の乱れ、乳化剤や人工甘味料による腸内環境への影響が指摘されています。

    とはいえ、完全に避ける必要はありません。大切なのは、普段から食物繊維や発酵食品を積極的に摂り、適度な運動を続けることで、腸内細菌のレジリエンスを高めておくことです。

    動画の最後には、ホノルル旅行のお土産話や「ファミリーマートの豚汁がおいしかった」「ホノルルクッキーは高かったけれどおいしかった」といった先生方の和やかな雑談もありました。好きなものを楽しむ時間も大切にしながら、日頃は腸に優しい食生活を意識することが、健康維持への第一歩といえるでしょう。

    1. 超加工食品
    家庭ではあまり使わない食品添加物や工業的な原料を多く使用した加工食品です。ポテトチップスや菓子パン、インスタント食品などが代表例です。

    2. NOVA分類
    食品を栄養価ではなく「加工の程度」によって4段階に分類する国際的な分類法です。

    3. 酪酸菌
    腸内で「酪酸」を作り出す善玉菌の一種です。腸粘膜を守り、腸内環境を健康に保つ働きがあります。

    4. 短鎖脂肪酸
    腸内細菌が食物繊維などを発酵して作る成分です。腸のエネルギー源となり、炎症を抑える働きがあります。

    5. 乳化剤
    水と油を混ざりやすくするために使われる食品添加物です。パンやお菓子、アイスクリームなどに広く使用されています。

    6. リーキーガット(腸漏れ)
    腸のバリア機能が低下し、本来体内に入りにくい物質が腸から吸収されやすくなった状態です。

    7. 人工甘味料
    砂糖の代わりに甘味を付けるための成分です。一部では腸内細菌のバランスに影響を与える可能性が報告されています。

    8. 腸内細菌叢(腸内フローラ)
    腸内に生息する約1,000種類・約38兆個の細菌の集まりです。消化や免疫など、健康維持に重要な役割を担っています。

    9. レジリエンス
    「回復力」を意味する言葉です。腸内細菌では、乱れた腸内環境を元の健康な状態へ戻す力を指します。

    10. プロバイオティクス
    腸に良い働きをする善玉菌や、それらを含む食品・サプリメントのことです。継続して摂取することで腸内環境を整える効果が期待されます。

    超加工食品
    今回は、超加工食品と腸内環境の関係について、論文報告をもとにわかりやすく解説します。ポテトチップス、菓子パン、インスタント食品、加工肉、清涼飲料水など、身近な超加工食品が腸内細菌にどのような影響を与える可能性があるのか、特に善玉菌の一つとして注目される酪酸菌との関係を整理しました。さらに、完全に避けるのが難しい中で、日常でどう腸内細菌の回復力を高めていくかについてもお話しします。

    ※本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。