日本人の50%に影響、国際共同研究で明らかに
大腸がんは、日本人にとって非常に身近な「国民病」とも言える疾患です。近年の医療技術の進展により、早期発見・早期治療の重要性が広く知られるようになりましたが、それでも罹患率・死亡率ともに依然として高い状態が続いています。
そんな中、2025年5月に発表された国立がん研究センターを含む国際共同研究の成果が、医療界のみならず一般層にも大きな衝撃を与えました。
この研究で明らかになったのは、「特定の腸内細菌が産生する毒素が、大腸がんの発がん要因になっている可能性が高い」という事実。特に日本人の患者において、その影響が際立っているというのです。
日本人の大腸がん患者の約半数に「細菌毒素由来の遺伝子変異」
今回の研究は、世界11か国・981人の大腸がん患者のがん細胞を解析し、遺伝子変異の原因を突き止めようというもの。
その結果、日本人の大腸がん患者の約50%に、ある特定の細菌がつくり出す「コリバクチン(colibactin)」という毒素に由来する遺伝子変異が見られたと報告されました。
このコリバクチンは、腸内に常在する一部の大腸菌(特定の腸内悪玉菌)が産生するもので、DNAを直接傷つける性質を持っています。細胞の遺伝情報が損傷を受けると、修復がうまくいかない場合には、がん細胞として増殖を始めることがあります。つまり、「コリバクチンを産生する腸内細菌」が大腸がんの“隠れたリスク因子”として機能している可能性があるということです。
しかもこの毒素の影響を受けていた割合が、他国(例えば欧米では約19%)に比べて、日本では圧倒的に多かったという点は、非常に注目すべきデータです。
私たちができる「腸内細菌由来がん」の予防対策
このように大腸がんのリスク因子に「細菌」が関与している可能性が高まる中で、私たちが日常的にできる予防策はどのようなものがあるのでしょうか?
専門家たちが推奨する対策は以下のようなものです。
- 食物繊維の摂取を意識する
- 加工肉・赤身肉を控える
- 適度な運動と規則正しい生活
- 腸内細菌を補う「1日1兆個」の乳酸菌・ビフィズス菌とサプリメントの活用
1. 食物繊維の摂取を意識する
発酵性食物繊維(オーツ麦、大麦、バナナ、ごぼう、玉ねぎなど)をしっかりと摂取することで、悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整えることができます。
実際、コリバクチン産生菌の増殖を抑える効果があるという論文も発表されています。
2. 加工肉・赤身肉を控える
ソーセージ、ベーコン、ハムなどの加工肉、そして赤身肉の過剰摂取は腸内で発がん性物質を生むリスクがあります。WHOもこれらを「発がん性の可能性がある食品」として警鐘を鳴らしています。
3. 適度な運動と規則正しい生活
腸内環境は「腸のぜん動運動」にも大きく関係します。運動不足は便秘を招き、腸内に有害物質が滞留する時間が長くなります。朝の軽い運動やストレッチ、規則正しい睡眠などは“腸にやさしい生活”の基本です。
4. 腸内細菌を補う「1日1兆個」の乳酸菌・ビフィズス菌とサプリメントの活用
現代人の食生活では、腸内環境を整えるのに十分な量の乳酸菌やビフィズス菌を日々の食事だけで摂取するのは非常に難しいとされています。加齢やストレス、抗生物質の服用などによって腸内の善玉菌は減少しやすく、意識的に“菌を補う”習慣がますます重要になっています。
我々も強く推奨しているのが、「1日あたり1兆個」の乳酸菌を摂取するという考え方です。これは腸に届いて実際に働く菌の数を確保するために必要な摂取量であり、近年の腸内細菌研究でも注目されている新たな基準です。
しかし、一般的なヨーグルト1個に含まれる乳酸菌はおよそ40億〜50億個程度。1兆個に到達するには、ヨーグルトを約200〜250個食べなければならず、これは現実的ではありません。
そこで有効なのが、高濃度で高品質な菌を手軽に摂れるサプリメントの活用です。サプリメントであれば、1日数粒で1兆個相当の乳酸菌・ビフィズス菌を効率よく摂取することが可能です。
こうした“菌を補う”習慣を継続することで、悪玉菌の優位性を抑え、コリバクチンなどの細菌毒素によるリスク軽減にもつながると考えられています。