― 血液検査から分かる、日本人の“隠れ栄養不足” ―
    平島医師
    平島医師
    秋山先生、日本人の多くがビタミンD不足だと言われていますけど、実際にどのくらい深刻なんでしょうか?体感としてはピンと来ない方も多いですよね。
    秋山医師
    秋山医師
    おっしゃる通りです。実際のデータでは、日本人の約98%が不足あるいは欠乏の状態なんです。骨の健康に影響するのはもちろんですが、免疫力や腸内環境、アレルギーにも直結してきます。『ちょっと疲れやすい』とか『風邪をひきやすい』といった症状の背景に、実はビタミンD不足が隠れているケースは珍しくありません。
    平島医師
    平島医師
    なるほど。実際に私たちも採血してみましたが、数値に差が出ましたよね。ディレクターは50以上を維持していて元気そのもの。一方で20台の人もいて、まさに“日本人の平均像”がそのまま出た気がします。
    秋山医師
    秋山医師
    そうなんです。だからこそ『数値を測ること』が大事なんです。自分のビタミンD濃度を知らずに生活していると、不調の原因が見えないままになってしまいます。検査をして現状を把握するだけでも、健康の見直しにつながりますよね。

    血液検査から分かるリアルな栄養状態

    私たちのクリニックでは、定期的に「オーソモレキュラー検査」を行っています。これは血液検査を通じて、体にどの栄養素が足りていないのか、あるいは過剰なのかを可視化するものです。

    先日も、私(平島)、秋山先生、番組ディレクター、そして友人の4人で採血をしてみました。テーマは「ビタミン濃度」。特にビタミンDに注目し、その血中濃度を調べました。

    日本人は全体の約98%がビタミンD不足だといわれています。実際に今回の結果でも、その傾向がはっきり表れました。ある人は20ng/mLと、欠乏の範囲。これは感染症や骨粗鬆症のリスクが高まる数値です。

    一方で、ディレクターは日頃からサプリメントを継続しており、血中濃度は2023年の51.9ng/mLから2025年6月には55.8ng/mLに上昇。1年以上風邪をひいていない、出張が続いても体調を崩さないなど、数値と体感が見事にリンクしていました。

    このように、血液検査をして初めて「自分の栄養状態」が分かるという点は非常に大切です。体調の不調や疲れやすさが「単なる加齢やストレスのせい」ではなく、栄養不足が背景にあるケースは少なくありません。

    ビタミンDが持つ“多面的な役割”

    「ビタミンDといえば骨の健康」と答える方が多いと思います。確かにカルシウムの吸収を助ける働きは有名です。しかし、医学研究が進むにつれ、それ以上に多様な役割を担っていることが分かってきました。

    • 免疫力を高める
      ビタミンDは免疫細胞に直接作用し、病原体への抵抗力を高めます。風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなるといった報告もあります。
    • 腸のバリア機能を守る
      腸には「タイトジャンクション」と呼ばれる細胞同士のつなぎ目があります。ビタミンDはこの結合を強化し、腸の粘膜から毒素や未消化物が血液に漏れ出す「腸漏れ(リーキーガット)」を防ぎます。
    • 抗炎症作用
      慢性的な炎症を抑える働きがあり、自己免疫疾患やアレルギーの予防・改善に関与する可能性があります。

    こうした作用によって、ビタミンDは骨だけでなく、免疫・腸・皮膚など全身の健康維持に欠かせない栄養素として注目されています。

    腸漏れ(リーキーガット)とは?

    「腸漏れ」という言葉は、ここ数年で一般の方にも知られるようになりました。医学的には「リーキーガット症候群」と呼ばれます。

    本来、腸の粘膜は外部からの異物をブロックする“バリア”の役割を持っています。ところが、ストレス、過度の飲酒、食品添加物、グルテン(小麦たんぱく)、カゼイン(乳たんぱく)、人工甘味料などによって粘膜が傷つくと、バリア機能が壊れます。

    その結果、未消化のタンパク質や細菌の成分が血液中に漏れ出し、体内で慢性的な炎症が起こります。この炎症は、アレルギー、自己免疫疾患、肌トラブルなど、さまざまな不調の原因になるのです。

    ビタミンDは、腸の粘膜細胞に存在する受容体に作用し、タイトジャンクションを強化します。これにより、粘膜の隙間を閉じ、腸漏れを防ぐ効果が期待できます。

    日本人がビタミンD不足になりやすい理由

    では、なぜここまで多くの日本人がビタミンD不足に陥っているのでしょうか。理由は主に3つあります。

    1. 日照不足
      ビタミンDは「太陽のビタミン」とも呼ばれ、紫外線を浴びることで皮膚から合成されます。ところが現代人は日焼け止めの常用や屋内中心の生活により、日照時間が不足しがちです。
    2. 食事からの摂取不足
      魚(鮭、イワシ、サンマなど)や干ししいたけに多く含まれますが、日常的に十分な量を摂るのは難しいのが実情です。
    3. 加齢による合成力の低下
      年齢とともに皮膚でのビタミンD合成力は低下し、同じ日照時間でも若い頃ほどビタミンDが作られなくなります。
    美白重視で紫外線カット=ビタミンD不足の背景に

    こうした背景を踏まえると、「食事+日光浴」だけで50ng/mL以上を維持するのは困難です。そのため、サプリメントの活用が現実的な選択肢となります。研究によれば、1日あたり4,000IU前後の摂取で適正値を保ちやすいとされています。

    患者さんの声と医師の実感

    私たちのYouTubeチャンネルや書籍を通じて、「腸漏れという言葉を初めて知った」「血液検査で不足している栄養素を把握できた」といった声を多くいただくようになりました。

    診察室でも「腸漏れを改善したい」「免疫を強くしたいからビタミンDを意識している」と話す患者さんが増えており、一般的な理解が広がりつつあるのを実感します。

    実は皮膚科領域でも、ビタミンDを配合した軟膏が炎症や皮膚トラブルに用いられています。骨や腸だけでなく、皮膚や免疫にも効果を発揮する栄養素であることが分かります。

    医師として感じるのは、これからの時代は「病気になってから治す」のではなく、「病気になる前に防ぐ」予防医療がますます大切になるということです。その中で、ビタミンDは非常に重要な位置を占めています。

    まとめ

    • 日本人の多くはビタミンD不足で、免疫や骨、腸内環境に影響を及ぼしている。
    • 血中濃度50ng/mL以上を目安に維持することが、感染症や腸漏れの予防に有効。
    • 食事や日光だけでは不足しやすく、サプリメントを活用するのが現実的。
    • ビタミンDは「骨の栄養素」にとどまらず、免疫、腸、皮膚など全身の健康を支える存在。

    今回ご紹介したのは、あくまで私たちが実際に行った検査結果と、それに基づく解説です。次回は、いよいよ私と秋山先生自身の数値を公開し、日常生活や食事習慣との関わりを詳しくご紹介します。ぜひご期待ください。