ビタミンD血中濃度は“操れる”のか?― オーソモレキュラー検査で分かった用量調整のコツを解説いたします。

「陰」と「陽」の実験:用量を変えると、ビタミンDの血中濃度はどう動いたか
サプリを減らした場合(秋山先生のケース)
秋山先生はこれまで1日4,000IUのサプリメントで血中50ng/mL前後を維持していました。
今回、あえて2,000IU/日(半分)に減らして3か月後に採血したところ、47.7ng/mLでした。
予想では40ng/mL近くまで下がると思っていたのですが、実際には大きな低下はなく、「今まで積み重ねたストック」が働いていることが確認できました。
つまり、普段しっかり摂っていれば、少し減らしても急落はしにくいということです。
期待していたほど“ガクン”とは下がらなかった——。
40ng/mLを切るのでは、と予想していた一方で、実際の低下幅は小さく、「これまでの蓄積(ストック)」**が保護的に働いたと考えられます。
サプリを増やした場合(平島先生のケース)
平島先生は、4,000IU/日で56.1ng/mLを確認したうえで、5,000IU/日に増量。すると、62.7ng/mLに上昇しました。
つまり「もう少し高めに持っていきたい」と思ったときに、1,000IU増量で狙い通り60台に乗せられることが分かりました。花粉症や風邪が流行る季節の3か月前から摂取量を上げるなど、計画的に使うことができます。
2人の臨床メモ
- 「減らしても急落しにくい」=ストックあり
- 「少し増やすと素直に上がる」=反応性良好
- 1,000IU刻みの調整性が、季節・症状・ライフイベントに合わせた運用を可能にする
サプリメントの「粒度」が重要な理由
今回の実験で強く感じたのは、サプリメントの用量設計の違いです。
- 羊毛(ラノリン)由来:以前服用していたサプリは1粒4,000IUなど高容量。割れないので4,000→8,000→12,000IU…と“大きな段差”でしか調整できない。
- 藻類由来(例:ビタファイブ):1粒1,000IU。2,000〜5,000IUの範囲で細かく調整が可能。
実際の生活では、
- 「冬の体調不良が続くから+1,000IU」
- 「夏場は日差しを浴びるので−1,000IU」
といった柔軟な調整ができます。
サプリ選びでは「成分の由来」だけでなく、1粒あたりのIU数と調整のしやすさも重要です。
ビタミンDはどうやって免疫を整えるのか
受容体(VDR)を介した作用
ビタミンDは体内で「活性型」となり、**ビタミンD受容体(VDR)に結合して作用します。VDRは腸、骨、心臓、皮膚、脳など全身に存在し、特に免疫細胞(T細胞・B細胞・マクロファージ・樹状細胞)**にも広く分布しています。
結合によって起こる変化は:
自然免疫の強化:マクロファージが細菌やウイルスを取り込みやすくなる。
抗菌ペプチド(カテリシジンなど)の産生:体内で殺菌作用を持つ物質を増やす。
炎症のコントロール:過剰な免疫反応を抑え、自己免疫疾患や慢性炎症を予防する。
“必要な時だけ免疫を働かせる”選択性を高める。
腸のバリアを守る(腸漏れ対策)
腸の細胞同士は「タイトジャンクション」と呼ばれる構造でつながれています。これがゆるむと、未消化のタンパク質や毒素が血液に漏れ出し、**慢性炎症やアレルギーの原因(腸漏れ)**になります。
ビタミンDはタイトジャンクションを強化し、腸のすき間を締め直す働きをします。腸内環境を改善する乳酸菌とは別ルートで免疫を支えるため、両者を一緒に摂ると相互作用でより効果的になります。
食事や日光だけでは足りない理由
ビタミンDは「太陽のビタミン」と呼ばれ、紫外線を浴びると皮膚で合成されます。また、鮭やイワシ、卵黄、干ししいたけなどの食品にも含まれます。
しかし実際には:
- 日焼け止め使用や屋内生活で日光合成が不足。
- 魚やきのこを毎日大量に食べ続けるのは現実的に難しい。
- 年齢とともに皮膚での合成力が低下。
そのため、日本人の約98%がビタミンD不足にあると報告されています。
「欠乏を防ぐ最低限の量(国の推奨値340IU/日)」と「免疫や腸を守るための実用量(2,000〜4,000IU/日)」は全く別物です。
実際にどう取り入れたらよいのか基本の流れ
基本の流れは…
- まずは検査:血中25(OH)Dを測定(20ng/mL以下は欠乏、50ng/mL以上が望ましい)。
- 目標を決める:50ng/mLを最低ラインに、60ng/mL台を狙う人も。
- 用量を決める:2,000〜4,000IUを基本に、季節や体調で±1,000IU。
- 再検査で確認:8〜12週後に再測定し、数値と体感を見比べる。
サプリの選び方
- 微調整できる1,000IU単位のものがおすすめ。
- 藻類や植物由来は製法がシンプルで安心。
まとめ
- 日本人のほとんどはビタミンD不足。
- 減らしても急落しにくいが、増やせば狙い通りに上がる。
- 血中濃度は“自分でコントロール可能”。
- 腸のバリア機能や免疫を支える大切な栄養素。
- 食事や日光だけでは不足しやすく、サプリメントでビタミンDを摂取するのが現実的。
医師からのひとこと
「病気になってから治す」よりも「病気になる前に防ぐ」ことが大切です。ビタミンDはそのための有力な手段。検査で今の状態を知り、適切に補いながら、自分の健康を“数字で管理”してみましょう。
参考:用語ミニ解説
- 25(OH)D:血中ビタミンDの評価に用いる指標。50ng/mL以上をひとつの目安に。
- IU(International Unit):脂溶性ビタミンに使う単位。1μg=40IU(ビタミンD)。
- VDR(ビタミンD受容体):ビタミンDが結合して作用を発揮する“鍵穴”タンパク。全身に分布。
- タイトジャンクション(クローディン/オクルディン):腸の“すき間”を封じる密着結合。リーキーガットの要所。
- カテリシジン(LL-37):ビタミンDにより誘導される抗菌ペプチドの代表。自然免疫を底上げ。
📌 本記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の検査・医師本人の臨床経験をもとに作成しています。サプリメント利用の際は、基礎疾患のある方や薬を飲んでいる方は必ず主治医にご相談ください。