平島医師
平島医師
秋山先生、最近『加工肉ってどれくらい食べていいのか?』って質問が患者さんからも増えてるんですよね。大腸がんとの関係について、改めてどうなんでしょうか?
秋山医師
秋山医師
確かに多いですね。以前から国際がん研究機関(IARC)が『加工肉を1日50g摂取すると大腸がんリスクが18%上昇する』と発表して話題になりましたよね。でも2025年に新しく発表された国際的な大規模研究では、もっと衝撃的な結果が示されているんです。
平島医師
平島医師
えっ、もっとですか? たとえばどんなことです?
秋山医師
秋山医師
ゼロから少しでも加工肉を食べ始めた瞬間が、リスクの上昇幅が一番大きい、という報告なんです。つまり『ほんの少しでも』リスクが上がる可能性がある。これは考え方を見直す必要があるかもしれませんね。」
平島医師
平島医師
お互い目標は違っても、“最後まで元気に”というのは共通してますね。やっぱり大切なのは平均寿命だけでなく健康寿命をどう延ばすか、ですよね。

    日本人はどれくらい加工肉を食べているのか?

    私たちが日常的に口にする ハム・ソーセージ・ベーコン などの加工肉。
    実は日本人の平均摂取量は 1日あたり約13g とされています。

    • ハムのスライスなら3枚程度
    • ベーコンは2〜3枚
    • ウインナーなら2本程度

    これが「50g」の目安量です。つまり日本人は、欧米(米国では日本の約2〜4倍消費)に比べれば、加工肉をあまり食べていないと言えるでしょう。

    「それなら安心だ」と思うかもしれません。しかし、最新の研究はその油断を覆す内容でした。

    戦後から高度経済成長期にかけて、日本の食卓は魚中心から肉中心へと変化した。特に1970年代以降、ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉は「洋風の朝食」や「弁当のおかず」 として広まった。

    Nature Medicine誌に掲載された最新研究(2025年)

    2025年7月に国際学術誌 Nature Medicine に掲載された論文が注目されています。

    Demewoz Haile, et al. “Health effects associated with consumption of processed meat, sugar-sweetened beverages and trans fatty acids: a Burden of Proof study.” Nature Medicine. 2025 Jul; 31(7): 2244–2254.

    この研究の特徴は、世界中の 77件以上の疫学研究を統合解析 した点です。個々の研究ごとに差があった「加工肉と大腸がんリスクの関係」を大規模にまとめ直し、「可能な限り低めに見積もっても」リスク上昇が確認されたと報告しました。

    少量でもリスクが上がるという事実

    加工肉を毎日0.6〜57g摂取した場合、

    大腸がんのリスク:7%以上増加

    2型糖尿病のリスク:11%以上増加

    これは「全く食べない人が少しでも加工肉を口にすると、その影響が大きく出る」可能性を示唆しています。

    エビデンスの強度と限界

    もちろん、この研究にも限界があります。
    多くのデータは 自己申告による食事調査 に基づいており、実際の摂取量や頻度に誤差が生じる可能性があります。

    したがって「加工肉を一口食べただけで大腸がんになる」という意味ではありません。
    ただし 『少量でも無視できない影響がある』 ことを示す点で、非常にインパクトのある結果といえるでしょう。治療もできない」という事実が強調されています。つまり、日々の食事と運動こそが最大の対策なのです。

    加工肉をどう付き合うべきか?

    完全にゼロにすることは現実的ではありません。日常の食生活の中で加工肉は便利で美味しい食品でもあります。

    医師からの提案

    • 毎日食べる習慣を避けること
    • 週1〜2回程度に抑えること
    • 保存料や亜硝酸塩の少ない製品を選ぶ工夫
    • 食べ過ぎたら数日間は意識して加工肉を控える(平島先生は「5日サイクル」を実践中)
    亜硝酸塩は「見た目・保存・安全性・風味」を保つために不可欠な食品添加物として使われてきたが、その一方で発がんリスクとの関連が指摘されているため、摂取量や頻度に注意する必要がある。

    平島先生が実践する「5日サイクル」とは?
    平島先生は、日々の食生活で「完全に我慢する」よりも 数日のスパンで調整する方法 を取り入れています。それが「5日サイクル」です。

    例えば、外食で加工肉や揚げ物を食べてしまった日があっても、その後の3〜4日間は加工肉を控える
    甘いものや脂っこいものを食べ過ぎたときも、残りの日数で意識的にバランスを整える
    1週間ではなく「5日」という比較的短いスパンに区切ることで、無理なく続けやすく、体調の変化も実感しやすい。
    こうした「リセット期間」を設けることで、食生活の偏りが慢性化するのを防ぐことができます。

    なぜ「5日」なのか?
    1週間だと長すぎて続けにくい:途中で気持ちが緩んだり、忘れてしまう。
    3日だと短すぎて効果を感じにくい:体調や腸の変化を実感する前に終わってしまう。
    5日だと「少し無理して食べても、その後で必ず調整する」というリズムが作りやすい。

    読者への応用ポイント
    「週末に食べすぎたら、平日はリセット期間に」など、自分なりのパターンに応用可能。
    すべてを禁止するのではなく、“食べ過ぎを認めたうえでリカバリーする” という考え方が、長期的な健康維持につながる。

    📌 このように「5日サイクル」は、医学的な食事制限というより 生活に取り入れやすい実践的な工夫 として紹介できます。

    こうした工夫によって、無理なくリスクを下げることが可能です。

    まとめ:リスクを知り、上手にコントロールする

    • 日本人は平均して1日13g程度しか加工肉を食べていないが、少量でもリスク増加が報告された
    • 大腸がんだけでなく、2型糖尿病リスクも上がる可能性がある。
    • 「完全にゼロ」は難しいが、頻度を減らす・賢く選ぶ ことが現実的な対策になる。

    私たちが日々の食卓で何を選ぶかが、将来の健康寿命に直結します。
    加工肉を「知った上でどう食べるか」──その意識こそが最も重要なのです。

    本記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師による解説に基づいて作成しています。食生活の改善やサプリメントの利用を検討する際は、基礎疾患や服薬のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝 用語解説
    加工肉:保存性や風味を高めるために加工された肉製品。ハム、ソーセージ、ベーコンなど。

    大腸がん:大腸に発生する悪性腫瘍。日本では増加傾向にあり、食生活と関連が深い。

    2型糖尿病:生活習慣に関連して発症する糖尿病。インスリンの効きが悪くなることで血糖が上昇する。

    亜硝酸塩:発色剤や保存料として加工肉に使われる食品添加物。高温調理で発がん性物質を生成する可能性がある。

    エビデンス:科学的根拠。研究結果がどの程度信頼できるかを示す。