平島医師
平島医師
秋山先生、前回はサルコペニアとフレイルについて詳しくお話ししましたが、今日は後編ということでクイズを作ってきましたよね?
秋山医師
秋山医師
はい、今回はクイズ形式です。視聴者の方も一緒に考えられるようにしました。楽しみながら、最新の研究で分かってきた“寿命を延ばす食べ物”や“予防できる習慣”を確認していきましょう。
平島医師
平島医師
クイズは5問でしたっけ?
秋山医師
秋山医師
そうです、5問です。少し難しい問題もありますが、考えながら読むと面白いと思いますよ。

    平均寿命と健康寿命のギャップ

    まず知っておきたいのは、日本人の平均寿命と健康寿命の違いです。

    平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳ですが、

    健康寿命(介護や支援なしで生活できる期間)は

    男性約72歳、女性約75歳と、男女とも約10年の差があります 。

    この「最後の10年」はサルコペニア(身体機能の低下)やフレイル(心身機能の低下)を抱えた状態で過ごす方が多いとされます。薬で治すものではないため、日常の食事や運動でいかに健康寿命を延ばすかが重要です。

    健康寿命の令和4年値について 引用:厚生労働省HP

    クイズで学ぶ!食事と栄養の正しい知識

    これから、普段の生活で摂取する色々な栄養素を問題で出します。その栄養素が、サルコペニア、フレイルの予防や治療になるのかどうかを

    ◯:強く推奨

    △:弱く推奨

    ×:推奨しない 

    で答えてください。

    Q1.まずは、糖質です。これは皆さん大好きですよね。体に必要なエネルギーのもとになります。さて、糖質は我々のサルコペニア、フレイルを防ぐのでしょうか?

    答えは ×(推奨なし)。

    糖質は体のエネルギー源として必要な栄養素ですが、摂り過ぎはフレイル発症リスクを高めるとされます。特に単糖類(砂糖など)や二糖類(甘いお菓子類)の過剰摂取は、筋力低下→寝たきりリスクにつながる可能性があります 。

    糖質制限を極端に行う必要はありませんが、現代人は過剰摂取しがち。

    「甘いものを控える=フレイル予防の第一歩」です。

    👉 ポイント解説

    • 糖質はゼロにする必要はありません。
    • ご飯やパンの量を調整しつつ、甘いお菓子・ジュースを控えることがフレイル予防の第一歩です。
    • 血糖値の急上昇を抑える「低GI食品」(玄米、大豆、野菜など)を取り入れるのも有効です。

    Q2.続きまして脂質です。脂質はサルコペニア、フレイルを防ぐのでしょうか?

    答えは (弱く推奨)。

    脂質の中でも、特に EPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸は、高齢者のサルコペニア予防に効果があると報告されています 。 EPA・DHAは魚(特に青魚)に多く含まれます。「良い油」を意識して摂ることで炎症を抑え、筋肉維持をサポートします。

    👉 ポイント解説

    • EPA・DHAは青魚(サバ、イワシ、サンマなど)に豊富。
    • オリーブオイルやアマニ油などの植物性油も「良質な油」として活用可能。
    • 「揚げ物の油」ではなく「魚やナッツの油」を意識的に摂ることが重要です

    Q3.そしてたんぱく質は、サルコペニア、フレイルを防ぐのでしょうか?

    答えはもちろん (強く推奨)。

    筋肉の材料となるたんぱく質は、サルコペニア予防の基本中の基本。 推奨量は1日 20〜25g程度。肉なら手のひらサイズ(約100g)で20gのたんぱく質が摂れます 。 卵、納豆、豆腐など身近な食品で補える • サプリメント(プロテイン)を適度に活用するのも有効 • 運動と組み合わせるとより効果的です。

    👉 ポイント解説

    • 肉100g=約20gのたんぱく質。
    • 卵1個=約6.0gから6.3g、納豆1パック=約6.6gから8.3g程度、豆腐半丁=約10g。
    • サプリメント(プロテイン)も便利だが、基本は食事から摂取するのが好ましい。
    • 「食べてから運動する」「運動後にたんぱく質を補給する」ことで筋肉合成が効率的になります。

    Q4.次に我々一押しのビタミンDはサルコペニア、フレイルを防ぐことができるでしょうか?

    答えは (強く推奨)。

    ビタミンDは筋肉のたんぱく質分解を抑制し、骨量維持にも関与します。 単独摂取だけでなく、運動+たんぱく質+ビタミンDのセットで効果が高まると報告されています 。 ビタミンDは日光浴、魚、きのこ類で補える • サプリも有効(特に日照不足の人は積極的に)です。

    👉 ポイント解説

    • 日光浴(1日15〜30分程度)で合成可能。
    • 魚(鮭、イワシ、サンマ)、きのこ類(干ししいたけ、舞茸)にも豊富。
    • 日照不足の人や高齢者はサプリメントも有効。

    Q5.そして腸活に欠かせないプロバイオティクス(菌を摂る)、プレバイオティクス(菌を育てる)はサルコペニア、フレイルを防ぐことができるのでしょうか?

    答えは (弱く推奨)。

    ヨーグルトや発酵食品、サプリで腸内環境を整えることは推奨されますが、現時点でのエビデンスは「弱い」とされています 。

    👉 ポイント解説

    • プロバイオティクス=腸内で働く善玉菌(ヨーグルト、納豆、味噌)。
    • プレバイオティクス=善玉菌のエサとなる食物繊維(野菜、果物、オリゴ糖)。
    • 「やめたら元に戻る」ため、毎日摂取するという継続がカギ。
    • 腸内環境改善は「免疫」「疲労感」「精神面」にも良い影響が期待されます。

    まとめ 日常でできるサルコペニア予防

    主食・主菜・副菜を揃えるだけで、健康寿命を支える栄養バランスが整います。

    「何を減らすか」だけでなく「何を増やすか」も重要です。
    たんぱく質・ビタミンD・良質な油・発酵食品を組み合わせることが、寿命を延ばす最も現実的な戦略です。

    まとめ

    • 糖質:摂りすぎ注意。甘いものは控えめに。
    • 脂質:EPA・DHAなど「良い油」を意識。
    • たんぱく質:毎日しっかり摂取(体重1kgあたり1〜1.2g)。
    • ビタミンD:日光浴+食事+サプリで補う。
    • 腸活:発酵食品や食物繊維を継続的に摂取。

    健康寿命を延ばす最大のポイントは 「無理せず続けること」 です。
    すぐに効果が出なくても、習慣として積み重ねれば10年後、20年後の体が確実に変わっていきます。

    平島医師
    平島医師
    今日からできることばかりです。人生100年時代、筋肉と腸を守りながら元気に過ごしましょう!
    秋山医師
    秋山医師
    私もあと80年生きる予定です(笑)

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    栄養やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝 用語解説
    サルコペニア
    加齢や低栄養、運動不足によって筋肉量や筋力が低下した状態。転倒や寝たきりのリスクが高まる。

    フレイル
    サルコペニアに加え、体力・気力・認知機能なども低下し、要介護状態に近づいた心身の虚弱状態。

    健康寿命
    介護や医療のサポートを受けずに、自立して生活できる期間。平均寿命との差は約10年とされる。

    糖質(炭水化物)
    エネルギー源となる栄養素。摂りすぎると肥満や糖尿病リスクを高めるため、過剰摂取に注意が必要。

    EPA・DHA(n-3系脂肪酸)
    青魚に多く含まれる良質な脂質。炎症を抑え、血管や筋肉の健康を保つ作用がある。

    たんぱく質
    筋肉や臓器、ホルモンなど体を構成する材料となる栄養素。サルコペニア予防の基本。

    ビタミンD
    骨や筋肉の維持に必須のビタミン。日光浴や魚・きのこで補える。不足すると骨粗鬆症や筋力低下につながる。

    プロバイオティクス
    ヨーグルトや納豆などに含まれる「腸内で働く善玉菌」。腸内環境を整える作用がある。

    プレバイオティクス
    食物繊維やオリゴ糖など、腸内の善玉菌のエサになる成分。善玉菌の増殖を助ける。

    活性酸素
    体内で酸素が利用される際に発生する不安定な分子。過剰にたまると細胞を傷つけ、老化やがんの原因になる。