久津川医師
久津川医師
胃カメラはつらい」と思っていませんか? 実は検査時間は約5分。鎮静剤を使えばほぼ苦痛なく、食道・胃・十二指腸のがんを早期に見つけられます。この記事では、何が見えるのか/どれだけ助かるのかを、数字でわかりやすく解説します。

    胃カメラで本当にどこまで見える? ― 観察範囲とコツ

    胃カメラ(上部消化管内視鏡)は、通常①食道全体 ②胃の全体 ③十二指腸の一部まで観察できます。
    当院では鎮静剤を用いることで咽頭(のど奥)の観察も可能です(※強い嘔吐反射がある方は観察が難しい場合があります)。

    Q. 胃カメラで「のど」や「食道」も見えますか?
    はい。咽頭・食道・胃・十二指腸の連続した粘膜を一筆書きのように確認します。微小な色調変化、わずかな凹凸、不整血管など早期がんの手がかりを逃さないのが内視鏡の強みです。

    検査はどのくらい痛い?
    検査時間は約5分鎮静剤を用いれば「うとうと」している間に終了し、痛みやつらさは最小限に抑える方法を用いています。当クリニックでは専門医による苦しくなく痛みに配慮した胃カメラ・大腸内視鏡検査を行っております。

    胃カメラで見つかる主な“がん”と、いま知っておきたい数字

    胃カメラで診断の糸口がつかめる主な悪性腫瘍は咽頭がん・食道がん・胃がん・十二指腸がんです。まずは罹患数・死亡数の規模感を知りましょう。

    • 口腔・咽頭がん:罹患 約2万人/年、死亡 約8千人/年
    • 食道がん:罹患 約2万6千件/年、死亡 約1万人/年
    • 胃がん:罹患 約11万人/年、死亡 約3万8千人/年
    • 十二指腸がん:頻度は胃がんの1%以下と稀だが、進行例が多く予後不良

    重要なポイント
    同じ“がん”でも、早期に見つかるかどうか5年生存率は劇的に変わります。

    5年生存率の目安

    • 口腔・咽頭がん:早期(内視鏡治療)80–90%以上進行(化学療法・放射線併用)50%未満
    • 食道がん:早期 80–90%以上進行 30–40%以下
    • 胃がん:早期 90%近く進行(転移あり)10%未満
    • 十二指腸がん:早期(局所切除)60–90%以上進行 30%前後

    結論「早期発見=生存率の跳ね上がり」。だからこそ定期的な胃カメラが命を守ります。

    早期なら“内視鏡治療”で9割以上をカバー  なんといっても体への優しさが違う

    早期に見つかった病変の90%以上は、内視鏡治療(例:EMR/ESD)で根治が期待できます。
    内視鏡治療の利点
    体への負担が小さい(腹部に大きな創が残らない)
    入院が短い・回復が早い
    合併症が少ない(出血・穿孔などのリスク 5%以下
    術後に体表の傷がないため、「手術したの?」と気づかれないほど
    一方で、少しでも進行すると外科的手術が必要になり、切除範囲が広がる/合併症リスクが上がる/入院1~2週間と、身体的・生活的負担が大きくなります。
    “早く見つけるほどラクに治せる”―これが胃カメラ最大の価値です。

    実例でわかる「胃カメラが救った未来」

    当院で経験した代表例を簡潔にご紹介します(個人情報は秘匿)。

    • 早期咽頭がん
      定期検査で粘膜の微小な変化を拾い、内視鏡治療で完治が見込めた症例。

    • 早期食道がん
      「たまたま受けた」胃カメラで早期発見 → 内視鏡治療で根治。症状の乏しい段階でも拾えるのが定期検査の強み。

    • 早期胃がん(ピロリ除菌後)
      除菌後も“0リスク”にはなりません。定期的な内視鏡により早期の段階で病変を捕捉し内視鏡治療で完治

    • 早期十二指腸がん
      頻度は稀でも「見に行かなければ見つからない」。偶然の1回が人生を変えることがあります。

    教訓症状がない時期ほど検査の価値が高い。 無症状の“今”こそ、最小の負担で最大の利益を得られます。

    「つらい」を理由に先送りしないために ― よくある疑問に答えます

    Q1. 胃カメラは苦しい?
    検査時間は5分程度鎮静剤を併用すれば痛み・嘔吐反射は大幅に軽減できます。

    Q2. どれくらいの間隔で受ければいい?
    → 胃がんリスク、ピロリ菌の既往、飲酒・喫煙歴、仕事・生活習慣により個別化しますが、
    基礎疾患のない方でも1~2年に1度を目安に。ピロリ既往や食道発がんリスクが高い方は毎年を推奨します。

    Q3. 胃だけでなく「食道・のど」も心配です
    → 当院では咽頭~食道~胃~十二指腸を連続観察。鎮静下でのど奥まで丁寧にチェックします。

    Q4. 合併症は?
    → 内視鏡治療の出血・穿孔リスクは5%以下。診断目的の観察のみではさらに低リスクです。

    今日の結論:検査は“投資”―5分で10年先の笑顔を守る

    • 口腔・咽頭・食道・胃・十二指腸がん合わせて毎年多数が発症し、多くの命が失われている
    • 早期発見・早期治療5年生存率は90%以上に跳ね上がる。
    • 胃カメラは約5分鎮静剤でほぼ苦痛なし内視鏡治療なら体への負担は最小限
    • 受ける勇気と、家族や友人に勧める一言が、未来を救う。

    お願い:まだ受けていない方へ。
    「たった5分の胃カメラ」が、10年先のあなたと大切な人の笑顔を守ります。

    ぜひ、検査をご検討ください。

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    栄養やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝用語ミニ解説

    上部消化管内視鏡(胃カメラ):咽頭・食道・胃・十二指腸を観察する内視鏡検査。診断と同時に処置も可能。

    鎮静剤:眠気を促して苦痛・不安を軽減する薬剤。検査中の体動を抑え観察精度も上げる。

    早期がん:粘膜~粘膜下層にとどまる段階。リンパ節転移が少なく内視鏡治療の適応が広い

    内視鏡治療(EMR/ESD):消化管内側から病変を切り取る治療。開腹せず根治をめざす。

    5年生存率:診断・治療後5年時点で生存している人の割合。早期と進行で大きく差が出る。

    予後不良:治療後の経過が望ましくないこと。進行がんでは生存率が下がる。

    穿孔:消化管に孔が開く合併症。内視鏡治療ではまれ(5%以下)

    ピロリ菌:慢性胃炎や胃がんの危険因子。除菌後も定期内視鏡が必要。