秋山医師
秋山医師
平島先生、この夏休みは何か予定されてますか?
平島医師
平島医師
僕は走る予定ですよ。今年もまた、ホノルルトライアスロンに挑戦したいので、真夏のランで暑さに慣れておこうかなと思ってます。最後のランは気力との勝負ですからね。
秋山医師
秋山医師
相変わらずストイックですね(笑)。私は美容系のことに挑戦したいと思ってます。シミ取りとか。50代になると気になってきますし。
平島医師
平島医師
なるほど。お互い体のメンテナンスですね。でも患者さんからもよく聞かれる“体のメンテナンス”といえば、腸内フローラ検査の話題が多いですよね。
秋山医師
秋山医師
確かに。“ヨーグルトを食べているのに乳酸菌が増えませんでした、意味あるんですか?”って質問、本当に多いです。
平島医師
平島医師
ありますね。診察室でも、YouTubeのコメントでもよく見かけます。今日はそこを整理してお話ししましょうか。

    「検査を受けても意味があるの?」と悩むあなたへ

    健康意識が高まり、腸内フローラ検査や乳酸菌サプリメントを取り入れる方が増えています。
    しかし「頑張って生活習慣を整え、乳酸菌を摂っているのに腸内フローラ検査で結果が出ない」「本当に意味があるの?」と感じた経験はありませんか?

    今回は、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック・福岡天神内視鏡クリニックの平島徹朗先生と秋山祖久先生が、日常の雑談から自然に話題を広げながら、腸内環境・乳酸菌の本当の働きについて分かりやすく解説します。

    詳しい腸内フローラ検査についてはこちらから

    腸内フローラ検査の限界 ― 見えるのは一部だけ

    乳酸菌とは、糖を分解して乳酸をつくる善玉菌の総称。主に小腸に生息し、腸内環境を整える働きを持ちます。ヨーグルトや発酵食品、サプリメントから摂取できますが、多くは「通過菌」として体内に一時的に滞在し、腸の免疫を活性化させる役割を果たします。定着は難しくても、継続的に摂ることで腸の健康維持や感染症・アレルギー予防に役立つことがわかっています。

    「腸内フローラ検査」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。便を採取して腸内細菌のバランスを分析する検査ですが、実はここに大きな落とし穴があります。

    腸内フローラ検査は 大腸の便の一部をスナップショットのように切り取っているに過ぎない という点です。便を採取するタイミング、前後の食事、ストレスの有無、睡眠など、さまざまな要素によって結果は変わります。

    さらに重要なのは、乳酸菌の多くは小腸に棲む という事実です。腸内フローラ検査で見ているのは大腸なので、小腸の環境や菌の存在は反映されにくいのです。

    そのため「ヨーグルトを食べても乳酸菌が増えない」という結果が出ても、それだけで効果がないと判断するのは誤りだと言えます。

    乳酸菌は「通過菌」 ― 定着しなくても意味がある

    乳酸菌やビフィズス菌は、体内で「通過菌」と呼ばれています。つまり、長期間大腸に住みつくのではなく、一時的に通過していく菌です。

    では、定着しないのに意味があるのか?
    答えは YES です。

    乳酸菌が小腸を通過する際に免疫細胞を刺激し、

    腸の免疫システムのスイッチを入れる役割 を果たすことがわかっています。これにより、

    • 風邪や胃腸炎などの感染症予防
    • インフルエンザや新型コロナなどのウイルス感染対策
    • 花粉症やアトピーなどのアレルギー改善
    • がんや生活習慣病の予防

    といった幅広い効果が期待できるのです。

    つまり「定着しないから意味がない」のではなく、通過しながら働いているからこそ意味がある のです。

    腸内環境を整える「土壌づくり」が不可欠

    どんなに優れた菌を摂っても、腸の環境が整っていなければ定着も機能も発揮できません。
    これは「痩せた土にどんなに良い種をまいても育たない」のと同じです。

    腸内環境を整えるためには:

    • 食物繊維(野菜、豆類、海藻)
    • オリゴ糖(バナナ、玉ねぎ、はちみつ)
    • レジスタントスターチ(冷やご飯、未熟バナナ)

    といったプレバイオティクス(菌のエサ)を十分に摂ることが欠かせません。

    冷やご飯は腸活に◎。温め直してもレジスタントスターチ効果は持続します。

    腸漏れ(リーキーガット)と腸内環境

    平島先生と秋山先生がしばしば取り上げる「腸漏れ(リーキーガット症候群)」。
    これは腸の粘膜バリアが弱まり、本来は体内に入らないはずの物質が血流に漏れ出す状態です。

    その結果:

    • アレルギー悪化
    • 慢性疲労や頭痛
    • 肌荒れ
    • 自己免疫疾患のリスク上昇
    • 認知症や脳の炎症への関与

    が指摘されています。
    この状態では善玉菌も定着しにくいため、まずは腸のバリア機能を整えることが優先 です。

    リーキーガット症候群とは、腸の粘膜バリアが弱まり、本来吸収されない未消化物や毒素が血流に漏れ出す状態です。疲労やアレルギー、自己免疫疾患などの原因とされ、腸内環境の悪化とも深く関係しています。

    乳酸菌・ビフィズス菌サプリは「無駄」ではない

    患者さんから「定着しないなら飲まなくてもいいのでは?」という質問を受けることがあります。
    しかし、乳酸菌やビフィズス菌サプリには大きな役割があります。

    たとえば、1日1兆個レベルの乳酸菌を摂取することで小腸で免疫を活性化 し、間接的に腸内環境を改善します。
    これにより感染症予防やアレルギー改善などにつながるのです。

    つまりサプリやヨーグルトは「腸に菌を棲み着かせるため」だけでなく、免疫スイッチを押すために存在する と考えると理解しやすいでしょう。

    まとめ

    • 腸内フローラ検査は万能ではなく、大腸の一部しか見ていない
    • 乳酸菌は「通過菌」として免疫活性化に大きく貢献
    • プレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖)が土壌を整えるカギ
    • 腸漏れの改善が、菌を活かす第一歩
    • サプリは「定着させるため」でなく「免疫スイッチを入れるため」に有効

    腸活は短期的な結果に一喜一憂するものではなく、日々の習慣の積み重ねが腸を守る最大の武器 です。

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    市販薬やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝 用語解説
    腸内フローラ:腸内に棲む細菌群のこと。腸内細菌叢とも呼ばれる。

    通過菌:体内に長期間定着せず、一時的に通過しながら働く菌。乳酸菌が代表例。

    プレバイオティクス:善玉菌のエサとなる食物成分。食物繊維やオリゴ糖など。

    レジスタントスターチ:消化されにくいデンプン。腸内で善玉菌のエサになる。

    腸漏れ(リーキーガット症候群):腸の粘膜が弱まり、不要な物質が血流に漏れ出す状態。

    免疫スイッチ:乳酸菌が小腸で免疫細胞を刺激し、防御機能を高めること。