胃腸炎のとき整腸剤を飲むのは正解?整腸剤の効果と服用方法を紹介

胃腸炎は、ウイルスや細菌などによって下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こす疾患です。つらい症状が続くなか、「下痢止めを飲んだほうがいい?」「整腸剤を飲めば治る?」と考える人もいるでしょう。

しかし、感染性胃腸炎の場合は、下痢止めを服用するとウイルスや細菌を排出できず、症状が長引いてしまう可能性があります。症状を和らげるためには、まず水分補給をして脱水を防ぎながら、整腸剤を活用して腸内環境の回復をサポートするのがおすすめです。

今回は、胃腸炎の原因と対処法のほか、整腸剤の効果や使い方についても解説します。

    そもそも胃腸炎とは?

    胃腸炎は、胃と腸の粘膜に炎症が起こる病気のことです。

    なかでも多いのはウイルスや細菌への感染によるもので、感染性胃腸炎と呼ばれます。冬から春にかけてはノロウイルスやロタウイルス、夏場は腸炎ビブリオのように、季節によって流行しやすい病原体もあります。感染性胃腸炎の主な症状は、発熱や下痢、嘔吐、腹痛などです。

    なお、感染性胃腸炎と似た病気に、過敏性腸症候群(IBS)があります。過敏性腸症候群は、消化管自体にウイルスによる炎症や大腸がんといった問題がないにもかかわらず、便秘や下痢などの症状がみられる病気です。ストレス性の胃腸炎と呼ばれることもありますが、感染性胃腸炎とは原因も治療法も異なります。 

    感染性胃腸炎は、原因によって3つの種類に分けられます。それぞれの特徴についてみていきましょう。

    ウイルス性胃腸炎

    ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスが原因で起こる胃腸炎です。感染力が非常に強く、家庭内や施設内での集団感染が起こりやすい特徴があります。

    細菌性胃腸炎

    細菌性胃腸炎は、サルモネラ菌やカンピロバクター、大腸菌(O-157)などの細菌が原因で起こる胃腸炎です。感染者が触れた食品や調理器具、あるいは生卵や生肉、加熱不十分な鶏肉などから感染することがあります。

    寄生虫による胃腸炎

    ウイルスや細菌以外にも、アメーバやアニサキスなどの寄生虫が原因で感染性胃腸炎を引き起こす場合もあります。感染経路として挙げられるのは、不衛生な水や食品のほか、生の魚介類などです。

    感染性胃腸炎の対処法

    感染性胃腸炎では、細菌が原因であれば抗菌薬が有効な場合もありますが、ウイルス性胃腸炎の場合は効果がありません。また、細菌性胃腸炎であっても、軽症なら抗菌薬を使わない場合もあります。そのため、多くの場合は症状を和らげながら自然な回復を待つ「対症療法」が基本です。症状を和らげながら回復を待つために、以下の2点を心がけましょう。

    • 水分補給をして脱水を防ぐ
    • 消化の良い食事を摂る

    嘔吐や下痢で体内の水分や電解質が失われるため、水や経口補水液を少しずつ摂りましょう。症状が落ち着いてきたら、おかゆやうどん、バナナなど、消化にやさしい食べ物から再開するのがおすすめです。脂っこいものや香辛料を多く含む料理は、胃腸への負担が大きいため、控えましょう。

    症状が強い場合や長引く場合には、早めに医療機関を受診してください。特に乳幼児や高齢の方、持病のある方は重症化するおそれがあるため、医師に相談しましょう。

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    整腸剤を使うために知っておきたいこと

    突然の嘔吐や下痢症状がつらく、「整腸剤を飲んでみようかな」と考える方も多いかもしれません。ここでは、整腸剤の基本的な役割と、効果的な使い方について解説します。

    整腸剤は胃腸炎にも効く?

    整腸剤は、腸の動きや働きをサポートする目的で使用される医薬品やサプリメントです。ビフィズス菌や乳酸菌など、腸内の善玉菌を補うことで腸内環境のバランスを整えます。そのため、感染性胃腸炎そのものを直接治す効果や即効性は期待できません。

    しかし、整腸剤を継続的に服用すると、腸内の善玉菌が増え、回復を早める可能性があります。また、抗菌薬を使用した際に起こる抗菌薬関連下痢に対しては、整腸剤が有効であると考えられており、医療機関で処方されることがあります。

    整腸剤と下痢止めの違い

    整腸剤と下痢止めは、作用の仕方が異なります。下痢止めは、腸の運動(蠕動運動)を抑えることで排便を抑え、下痢症状を一時的に止める薬です。一方で、整腸剤は腸内の善玉菌を補って腸の調子を整える薬です。腸内環境そのものにアプローチするため、整腸剤には即効性はありませんが、長期的には体質改善につながる場合があります。

    なお、感染性胃腸炎の場合、下痢止めを使うと体内のウイルスや細菌が排出されにくくなり、かえって回復が遅れる可能性があります。下痢の症状がつらくても、自己判断で下痢止めを使用するのは控え、医師に相談しましょう。

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    整腸剤の効果的な使い方

    整腸剤は、正しいタイミングで服用することでより効果が得られやすくなります。たとえば、嘔吐がある場合には、無理に飲まず、症状が落ち着いてから服用を始めるのがおすすめです。嘔吐や激しい下痢の最中では、薬がうまく吸収されなかったり、すぐに体外へ排出されてしまったりする可能性があります。

    また、整腸剤は、症状があるときだけでなく、普段から継続的に服用することで腸内環境の安定につながります。慢性的な便秘や軟便、お腹の張り(ガス)などの改善にも効果が期待できるため、日常的に整腸剤を取り入れるのもよいでしょう。

    食後のタイミングで服用すると、胃酸の影響を受けにくいといわれることがありますが、時間帯による効果の違いは確認されていません。毎日続けやすい時間に飲むことが大切です。

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    整腸剤を使うときの注意点

    整腸剤を服用する際には、以下の点に注意しましょう。

    継続して服用する

    整腸剤は、毎日継続して服用することで効果が期待できるものです。多くの整腸剤は1日3回の服用が基本ですが、難しい場合は1日1回まとめて服用でも構わないので、毎日続けて服用しましょう。

    体質によっては合わないものもある

    整腸剤にはさまざまな種類があり、配合されている乳酸菌やビフィズス菌の種類が異なります。腸内にもともと生息している腸内細菌も人によって違うため、中には合わない製品もあります。服用後に腹痛や下痢がひどくなるような場合は、無理に続けず医師や薬剤師に相談しましょう。

    効果が出るまでには時間がかかる

    整腸剤の効果は腸内環境を整えることであるため、効果を実感するまでには時間がかかります。ひとつの目安として、4週間以上飲み続けてみるとよいでしょう。服用を開始したら、便の状態や回数をチェックして、効果があるか確認してみてください。

    まとめ:整腸剤は胃腸炎の回復をサポートしてくれる

    整腸剤は胃腸炎の直接的な治療薬ではありませんが、腸内環境の回復をサポートしてくれる可能性があります。また、整腸剤を日常的に服用すると、便通の乱れやお腹の張りといった慢性的な不調の改善にも効果が期待できます。効果を実感するためには継続的に服用する必要があるため、まずは4週間以上服用してみるのがおすすめです。

    胃腸の不調が長引く場合は、胃腸炎ではなく、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など、別の疾患が隠れている可能性も考えられます。症状がひどい場合や長引く場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

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