今回は、「胃がんになっても助かるためにどうすればいいのか」というテーマでお話しします。

久津川医師
久津川医師
当院では「安全に、苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査」を行っています。 見逃しのない高精度な観察を心がけ、これまで培ってきた経験を生かして、安全で確実な検査・治療を提供しています。 患者さん一人ひとりに合わせて最適な鎮静剤の量を調整し、検査後も気分不良が残らないよう努めています。どうぞ安心してご相談ください。

    胃がんとは ― 日本人が避けて通れないがん

    胃がんは、胃の粘膜から発生する悪性腫瘍です。

    2019年の統計によると、男性では3番目に多いがんで約10人に1人、女性では4番目で約21人に1人が、一生のうちに胃がんになるといわれています。

    発症リスクと原因

    胃がんの主な原因は、

    • ヘリコバクター・ピロリ菌感染
    • 喫煙
    • 塩分の摂りすぎ(高塩分食)

    などが挙げられます。

    ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、長期的に放置すると胃の細胞が変性してがん化することがあります。

    したがって、胃がんを防ぐためには

    • 禁煙すること
    • 塩分を控えること
    • ピロリ菌の除菌を行うこと

    この3つが非常に重要です。

    ヘリコバクター・ピロリ。胃粘膜に定着して慢性胃炎や潰瘍を起こし、胃がんの主要な危険因子とされます。除菌で発がんリスクの低減が期待できます。画像はイメージ。

    胃がんになっても「助かる」ために大切なこと

    私たち内視鏡医が常に意識しているのは、「早期発見さえできれば胃がんは完治できる」という事実です。

    ただし、もう一歩踏み込んで言えば「お腹を切らずに治す」ことを目標にしています。

    胃の一部や全部を切除する手術では、術後に食生活の制限や体力低下を伴うことが多いですが、内視鏡治療で完治できる段階の早期がんであれば、体への負担が極めて少なく済みます。

    バリウムの限界

    健康診断で行われるバリウム検査(上部消化管造影検査)でも、進行がんを見つけて命を救うことはできます。

    しかし、内視鏡治療が可能なごく早期の胃がんを発見するのは難しいのが現実です。

    バリウムでは胃の形や影を間接的に観察するため、数ミリの色調変化や浅い病変は見逃してしまうことが多いのです。

    バリウム検査は胃の形態を評価できますが、微小な早期がんは見逃すことがあり、検査後の便秘・腹部不快感が出ることも。X線を用いるため少量ながら被ばくリスクも伴います。

    症状がなくても油断できない ― 進行胃がんの怖さ

    「痛くもないし、食欲もあるから大丈夫」と思っていませんか?

    胃がんは症状が出にくい病気です。実際、当院で診断した多くの進行胃がんの患者さんも、まったく自覚症状がありませんでした。

    実際の症例から

    • 80代の男性:ピロリ菌感染を知らず、胃カメラもバリウム検査も未経験。初めて受けた検査で進行がんが見つかり、大学病院で外科治療となりました。

    • 70代の女性:健康診断でピロリ菌陽性を指摘され来院。症状はなく、進行胃がんが発見。ステージⅣ(腹水あり)で手術を受けましたが、残念ながら予後は厳しい結果に。

    どちらのケースも「無症状」で発見された進行がんです。

    つまり、「調子がいい=大丈夫」ではなく、症状がなくても定期検査を受けることが命を守る唯一の方法です。

    早期発見のカギは「鎮静下での胃カメラ」 胃カメラはつらい検査ではない

    「胃カメラは苦しいから嫌」という声をよく聞きますが、鎮静剤を使用すれば、ウトウト眠っている間に検査は終わります。

    検査時間はわずか5〜10分。痛みも嘔吐反射もほとんどなく、「気づいたら終わっていた」と感じる方がほとんどです。

    内視鏡医が見つける「わずかなサイン」

    早期胃がんは、色の違いがほんのわずかだったり、数ミリの凹みだったりと非常に見つけにくいものです。

    当院では、粘膜表面にインジゴカルミン(青い色素)を散布し、病変部を浮き上がらせる特殊観察法を用いる場合もあります。

    このような丁寧な観察には時間がかかるため、鎮静下で落ち着いた環境を整えることが重要なのです。

    内視鏡治療は体への負担が少なく、わずか1時間程度で終了します。傷跡も残らず、術後の食事制限もほとんど必要ありません。

    「早期に見つける」ことが、胃を切らずに命を守る第一歩です。

    胃がんを防ぐ・助かるための3つのポイント

    1. ピロリ菌を除菌する

    感染している場合は、医師の指導のもと除菌治療を受けましょう。

    2. 塩分を控え、禁煙を心がける

    日常の食習慣を見直すことでリスクを大幅に減らせます。

    3. 鎮静剤を使った胃カメラを1年に1回受ける

    バリウム検査ではなく、直接胃粘膜を観察できる胃カメラを選びましょう。

    これらを継続することで、「胃がんで命を落とさない」

    「胃を切除せずに助かる」可能性を高めることができます。

    まとめ:今、胃を守る選択を

    胃がんは「症状が出てからでは遅い」病気です。

    しかし、定期的な胃カメラで早期に発見すれば、内視鏡治療で完治できる時代です。

    たった5分の検査で、未来の自分と家族の命を守ることができます。

    「胃を切らずに助かる」

    そのために、ぜひ一年に一度の胃カメラを習慣にしましょう。

    【︎胃がんで助かるために‼︎】早く知りたかった‼︎症状がない進行胃がん 胃を切除しないための選択

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    市販薬やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝 用語解説
    胃カメラ(上部消化管内視鏡)
    口または鼻から細いカメラを入れ、咽頭~食道~胃~十二指腸の一部を直接観察・撮影し、必要に応じて組織を採る検査。

    バリウム検査(上部消化管造影)
    造影剤(バリウム)を飲み、X線で胃の形や大まかな異常を写す検査。小さな早期がんの発見力は内視鏡より劣る。

    鎮静剤
    不安や反射を和らげ、眠っているような状態で内視鏡検査を受けられる薬。苦痛が少なく、精密に観察しやすい。

    ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)
    胃粘膜に住む細菌。慢性胃炎や胃潰瘍、胃がん発生リスクの上昇に関与。検査で確認し、陽性なら除菌治療を行う。

    除菌療法
    抗菌薬と制酸薬を用いてピロリ菌を駆除する治療。胃がんの一次予防として有効で、再発リスク低減にも寄与。

    早期胃がん
    がんが胃の粘膜内~粘膜下層にとどまる段階。転移がなければ内視鏡治療で根治可能なことが多い。

    進行胃がん
    がんが筋層以深へ進展、あるいは転移を伴う段階。外科手術や薬物療法の対象となり、治療負担が大きい。

    内視鏡治療
    胃を切らずに、内視鏡から器具を入れて病変を切除する治療の総称。体への負担が少なく、入院期間も短い。

    インジゴカルミン染色
    青色の色素を散布して胃粘膜の凹凸や境界を強調する観察法。微細な早期がんの発見に有用。

    腫瘍マーカー
    採血で測る、がんに関連する物質。補助的指標であり、正常でもがんが否定できるわけではない。

    本記事は、動画の内容(タイムライン)を基に、一般向けに整理・解説したものです。自己判断での長期連用は避け、症状が続く/強い場合は必ず医療機関へ。妊娠・授乳中、基礎疾患や常用薬がある方は購入前に薬剤師・主治医へ相談してください。