秋山医師
秋山医師
平島先生、自他ともに認めるお酒好きですよね?
平島医師
平島医師
はい、好きですよ。特に今からは忘年会シーズンですからね。
秋山医師
秋山医師
でも飲めない人もいますよね。僕の友達でも、飲み会で“コーラ”か“ジンジャーエール”しか飲まない人もいますよね。
平島医師
平島医師
いますいます。甘いジュースを飲む人って結構いますよね。
秋山医師
秋山医師
撮影後の反省会でも隣のテーブルとか見ると、ジュースを飲んでいる人よく見ますね。
平島医師
平島医師
そうそう、意外と皆さん知らないんですよね!果糖とアルコールの“驚くほど似た代謝メカニズムを今から説明しますね!

    ジュースの「果糖」はなぜアルコールと似ているのか

    先生方が注目しているのは、ジュースの甘さの正体である「果糖」です。

    正確に言うと、問題になるのは「果糖が多く含まれたジュース」。
    この果糖が、アルコールととてもよく似た代謝経路をたどることが分かってきたのです。

    ある研究者は、10年以上前に発表した論文の中で「糖は毒と同じだ」とまで言い切りました。この論文をきっかけに「糖は体に悪いのか、そうではないのか」という議論や研究が一気に進んだとされています。

    特に果糖について「ジュースに含まれる果糖は酔わないアルコールだ」と警鐘を鳴らしました。

    500mlの100%オレンジジュース(糖類9g/100ml想定):総糖45g → 果糖は約20〜25g

    果糖とアルコールの共通点①〜⑥ 中性脂肪・脂肪肝・インスリン抵抗性

    先生方は、果糖とアルコールの「6つの共通点」を挙げながら解説していきます。

    共通点①:中性脂肪がたまりやすくなる

    果糖は、小腸で吸収されたあと肝臓に運ばれ、そこで素早く分解されて「アセチルCoA(アセチル・コーエー)」という物質になります。
    このアセチルCoAは、中性脂肪を作る材料です。肝臓で作られた中性脂肪は「VLDL(ブイエルディーエル)」という“乗り物”に乗って血液中に放出されます。

    そのため、果糖たっぷりのジュースを飲み続けると、肝臓の中でどんどん中性脂肪が作られ、結果として肝臓で中性脂肪が作られて、血中の中性脂肪が高くなるということです。

    何が起きている?(代謝の流れ)

    • 果糖は小腸で吸収→肝臓へ直行
      → 速やかにアセチルCoA
      に変換
      → 中性脂肪(TG)の材料となり合成が進む
    • できた中性脂肪はVLDLという“運搬トラック”に積まれて血中へ放出
      血中中性脂肪↑

    飲み物が危険な理由

    • 果糖は噛まずに一気に入ると処理が肝臓に集中
      甘い清涼飲料/ジュース/スポドリ/加糖コーヒー・紅茶は特に中性脂肪を上げやすい

    一方、アルコールも小腸で吸収されたあと肝臓で代謝されます。アルコールはまず「アセトアルデヒド」という物質になり、さらに代謝されていく過程で同じくアセチルCoAが生じ、中性脂肪の材料となります。最終的に、こちらもVLDLに乗って血液中へ。つまり、途中から果糖とアルコールの代謝経路は“ほぼ同じ”になるのです。

    アルコールも同じレールに乗る

    • アルコールは肝臓で
      エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸 → アセチルCoA
      → 結局中性脂肪の材料
    • さらにアルコール代謝は脂肪燃焼を抑え、脂肪蓄積を後押し
    • 最終的にVLDLで放出される点も果糖と同様

    クリニックにいらっしゃる患者さんは「中性脂肪が高いと言うと『あまり肉とか脂っこいものは食べてないんですけど』とおっしゃる方が多いですが、しかし実際には、問題になるのは“脂”ではなく“糖質”、特に果糖を含む甘い飲み物であるケースも少なくありません。

    共通点②:脂肪肝の原因になる

    中性脂肪が過剰に作られると、その一部は肝臓に沈着していきます。これが脂肪肝です。

    果糖を摂り過ぎると、アルコールを飲んでいなくても脂肪肝になってしまうことがあり、近年増えている「非アルコール性脂肪性肝疾患(いわゆる脂肪肝)」の一因と考えられています。

    アルコールについても仕組みは同じで、大量に飲むことで肝臓に中性脂肪がたまり、アルコール性脂肪肝へとつながっていきます。

    ルートは少し違うように見えても、結局はどちらも肝臓に脂肪が溜まっていく、という点で同じです。

    共通点③:インスリン抵抗性が高くなる

    3つ目の共通点は「インスリン抵抗性」の上昇です。

    果糖を代謝する過程では、肝臓の中で活性酸素や炎症シグナルが生じます。これらが積み重なることでインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすい状態になるとされています。

    アルコールでも同様で、脂肪肝の進行や代謝過程で生じる活性酸素・炎症シグナルがインスリン抵抗性を高め、血糖値を上がりやすくしてしまいます。

    果糖もアルコールも、インスリン抵抗性が上がるメカニズムはほぼ同じなんですね。

    共通点④:高尿酸血症(尿酸値が高くなる)

    果糖は肝臓で代謝される際、「ATP」というエネルギー源を消費し、「AMP」という“使い終わった電池”のような形に変わります。果糖を摂り過ぎると、このAMPがどんどん溜まり、それを分解する過程で尿酸が多く作られるようになります。

    その結果、尿酸値が高くなり、高尿酸血症や痛風の原因になってしまうのです。

    何が起きている?(代謝の流れ)

    • 果糖をたくさん摂る
      → 肝臓でATP(エネルギー)を消費
      → “使い終わった電池”=AMPが増える
      → AMP分解の過程で尿酸が多く産生される
    • 結果:尿酸値↑ → 高尿酸血症・痛風のリスク↑

    アルコールでも同じ回路が動く

    • アルコール代謝もATPを消費 → AMP増加 → 尿酸産生↑
    • さらに代謝で出る乳酸が腎臓での排泄ルートを尿酸と競合
      → 乳酸が優先的に出され、尿酸は後回し → 尿酸値↑

    よくある誤解に注意

    • プリン体ゼロなら安心」ではない
      → 尿酸はプリン体以外(果糖・アルコールの代謝)からも増える

    平島先生はご自身の経験として「運動して、お酒を飲み過ぎた翌日に痛風発作が出たことがある」と話し、「脱水も重なって尿酸値が上がりやすい状況だった」と振り返っています。「プリン体ゼロだから大丈夫」と思っている方に対しても、「尿酸が作られるルートはプリン体だけではない」と注意を促しています。

    “プリン体ゼロで安心”より、“飲む量コントロール”が鍵
    共通点⑤:また摂りたくなる(依存性)

    甘い果糖を摂ると、舌の甘味受容体が反応し、その刺激が脳に伝わって「ドーパミン」が放出され、幸せな感覚が生まれます。

    ところが、果糖を日常的にたくさん摂り続けると、ドーパミンの受容体が減ってしまい、同じ量では満足できなくなっていきます。もっと欲しい、もっと欲しいという「くれくれ状態」になり、最終的には依存症のような状態に陥ることもあると説明されています。

    アルコールも同じです。アルコールは血液から直接脳に届き、ドーパミンの分泌を促します。楽しく感じる一方、飲み続けることでドーパミン受容体が減り、より多くの量が必要になっていく―この流れも、果糖とアルコールで“ほぼ同じ”なんですね。

    共通点⑥:腸内環境が乱れ、腸漏れ(リーキーガット)を起こす

    6つ目の共通点は、腸内環境と「腸漏れ(腸もれ)」です。

    果糖は本来、小腸で吸収されますが、摂り過ぎると吸収しきれなかった分が大腸まで到達します。大腸に届いた果糖は悪玉菌のエサになり、悪玉菌が増える一方で善玉菌が相対的に減少し、腸内環境が乱れてしまいます。

    腸内環境が乱れると、腸の粘液が薄くなり、バリア機能が低下します。その結果、「タイトジャンクション」と呼ばれる腸の細胞同士をつなぐ部分がゆるみ、本来は通さないはずの物質が血液中に漏れ出してしまう「腸漏れ」が起こりやすくなります。

    アルコールについても、飲み過ぎると一部が大腸まで到達し、局所的な炎症や酸化ストレスを引き起こし、同じように腸内環境を乱します。さらに、代謝物であるアセトアルデヒドは腸の粘膜を直接傷つけ、タイトジャンクションを緩めてしまうため、結果として果糖と同様に腸漏れを起こしやすくなると説明されています。

    経路は少し違っても、最終的に腸漏れを起こすという点ではほぼ一緒なんです。

    子どものジュース習慣とペットボトル症候群に要注意

    ここまで読むと、「ジュースもお酒も、なんだか怖くなってきた」と感じるかもしれません。先生方も「飲むなとは言わない」としながら、「飲み過ぎないこと」が何より大切だと繰り返し強調しています。

    特に注意したいのが、子どものジュース習慣です。

    先生方は、

    • ペットボトル症候群
    • 子どもの脂肪肝
    • 肥満児の増加

    子どもの頃の肥満や脂肪肝が、将来的な糖尿病リスクと関連するデータがあります。
    といった点に触れ、「子どもだからいいだろう」と安易に甘い飲み物を与えるのは危険かもしれません。

    「子どものうちから“飲まない習慣”をつけておいて、たまのご褒美として楽しむくらいがちょうどいいのではないか」と先生方。ジュースもお酒も、“ゼロにしろ”という話ではなく、「ほどほど」「たまに」が大事だというスタンスです。

    スポドリ=甘い“液体の糖”。運動しない日は要注意

    最後に、

    • 果糖たっぷりのジュースも、お酒も、体の中では非常によく似た代謝をたどる
    • 中性脂肪、脂肪肝、インスリン抵抗性、高尿酸血症、依存、腸漏れなど、多くの共通点がある
    • 「酔わないから安全」と考えてジュースを飲み過ぎるのは危険
    • 子どもも大人も、「飲み過ぎない」ことが一番大切

    「ジュース=お酒」と完全に言い切ることはできませんが、それくらいの気持ちで“甘い飲み物”と付き合う方が、肝臓や腸、血糖・尿酸のためには良さそうです。忘年会や飲み会の季節。
    お酒だけでなく、「ジュースだから大丈夫」とつい油断してしまう甘い飲み物についても、一度見直してみませんか。

    📝 用語解説

    • 果糖
      果物や清涼飲料に多い単糖。小腸→肝臓で素早く代謝され、中性脂肪の材料になりやすい。
    • 果糖ぶどう糖液糖
      砂糖代替の液体甘味料。果糖比率が高いほど血中中性脂肪や脂肪肝リスクに関与しやすい。
    • アセチルCoA
      脂質合成の起点となる代謝中間体。果糖やアルコールの代謝から大量に産生され、中性脂肪合成に直結。
    • 中性脂肪
      体内の主要な脂肪。肝臓で合成され過剰になると血中増加・脂肪肝の原因に。
    • VLDL
      肝臓で作られた中性脂肪を血液に運ぶ“乗り物”。増えると脂質異常の指標に。
    • 脂肪肝(NAFLD/アルコール性)
      肝細胞に脂肪が蓄積した状態。果糖過多や飲酒で進行し、炎症・線維化のリスク。
    • インスリン抵抗性
      インスリンの効きが悪くなり血糖が下がりにくい状態。果糖やアルコール代謝で生じる炎症・脂肪肝が悪化要因。
    • ATP/AMP
      細胞のエネルギー通貨と“使い終わり”形。果糖・アルコール代謝でATP消費→AMP増加が尿酸産生を促す。
    • 尿酸/高尿酸血症
      体内の最終代謝産物の一つ。過剰になると痛風の原因に。果糖とアルコールは産生増加+排泄低下を招く。
    • ドーパミン(報酬系)
      “快”をもたらす神経伝達物質。甘味やアルコールの反復摂取で受容体が減り、より多量を欲しやすくなる。
    • タイトジャンクション
      腸粘膜細胞の“すき間”を密閉する構造。炎症やアルコール・果糖過多でゆるむと腸漏れに。
    • 腸漏れ(リーキーガット)
      腸のバリア機能低下で不要物が血中へ漏れる状態。全身の炎症や代謝異常の一因に。
    中性脂肪,脂肪肝
    【衝撃】そのジュースが中性脂肪アップ、脂肪肝の原因に! 専門家が警鐘!! ジュースは「酔わないお酒?」果糖とアルコールの共通点 飲み会でジュース派が気をつけたいポイント No.575