
※本記事は内視鏡チャンネル動画の内容を、一般の方向けにわかりやすく整理したものです。個別の用量や治療は必ず主治医にご相談ください。
制御性T細胞(Treg)とは?—免疫の“ブレーキ係”
免疫は「強いほど良い」わけではありません。病原体に対しては攻撃(アクセル)が必要ですが、炎症が長引けば自分の組織まで傷つきます。制御性T細胞(Treg)は、過剰な免疫反応を静め、強すぎず弱すぎない“ちょうどいい”状態へ戻す役目を担います。
- 制御性T細胞が働く → 炎症が必要最小限で収束
- 制御性T細胞が少ない → アレルギー・自己免疫・慢性炎症に傾きやすい
- 臨床でも、免疫チェックポイント阻害薬など“免疫の制御”はがん治療の重要テーマに
ポイント:免疫はアクセルとブレーキの協調運転。制御性T細胞の不足=ブレーキ抜けになりやすい。

ビタミンDが制御性T細胞を後押しする仕組み
ビタミンDは骨の栄養だけではありません。体内でホルモン様に働き、免疫細胞の遺伝子スイッチを調整します。T細胞はビタミンD受容体(VDR)を持ち、血液中の25(OH)ビタミンDを材料に活性型ビタミンDへ変換して利用できます。ここからが核心です。
- Step 1:T細胞がVDRでビタミンDシグナルを受け取る
- Step 2:血中の25(OH)Dを材料に、T細胞自身が活性型ビタミンDへ変換
- Step 3:活性型ビタミンDがVDRに結合 → FoxP3遺伝子がオン
- Step 4:FoxP3がオンのT細胞=制御性T細胞(Treg)へ分化
まとめると、25(OH)Dが足りているほど、制御性T細胞への“なりやすさ”が上がり、炎症が収まりやすい土台が整うんです。

どのくらいのビタミンDが“ちょうどいい”?—現場感の目安
動画内の実感ベースでも、25(OH)Dが約50ng/mL前後だと安定しやすく、20ng/mL未満は不足域としてTregの働きが鈍りやすい、と語られています。日本では日照・生活様式の影響で、食事と日光だけで通年50前後を保つのは難しい人が多いのが現実です。
- 20未満:不足(炎症優位に傾きやすい)
- 20–29:境界(季節で上下しやすい)
- 約50前後:安定(Treg誘導が働きやすい)
- 個人差大のため、採血で見える化→用量を微調整が最短ルート
サプリ用量は体質・季節でブレますが、臨床の肌感では2,000〜4,000 IU/日で目標域に乗せ、8〜12週で再採血して調整、が現実的。
※腎機能や併用薬などで注意が必要な場合があります。自己判断の高用量は避け、必ず医療者に相談してください。

今日からできる“整える”4ステップ—強さよりバランス
ビタミンDは“入れる”だけでなく、“整える”が肝なんです。勘に頼らず、数値で管理すると季節が変わってもブレにくくなります。ここで重要なのは血中ビタミンD濃度(25(OH)D)。これは体内のビタミンDの貯蔵状態を示す指標で、30 ng/mL以上で充足、20~29 ng/mLで不足、20 ng/mL未満で欠乏と判定されます。
① 測る(見える化)
- 健診や栄養解析でビタミンD血中濃度(25(OH)D)をチェック
- 自分のベース値と季節変動を把握
② 補う(足りないぶん)
- 食事・日光で届かない分をサプリで補充
- 目安:2,000–4,000 IU/日から開始 → 8–12週で再採血し用量調整
③ 土台を整える(炎症の燃料を減らす)
- 睡眠:7時間を目標に、就寝・起床時刻を安定
- 運動:かかと上げ・スロースクワット等の下半身ルーチンで血流&代謝UP
- 腸:発酵+食物繊維(例:納豆+発酵キムチ+オクラ)で免疫の“母艦”を整える
- 食材:鮭・鯖・卵黄・干し椎茸などを“いつもの一品”に
④ 続ける仕組み化
- 季節の変わり目に採血を行う。
- 朝の10分日光散歩、作り置き発酵副菜で“やれる形”に落とす
免疫と上手につき合うために大切な視点
制御性T細胞とビタミンDの話は、
特別な治療というよりも、
- 炎症を起こしにくい体作り
- 免疫バランスを整える土台作り
- 将来の病気リスクを減らすための考え方
につながる内容です。
流行に流されるのではなく、
自分の体の状態を知り、
必要な栄養を無理なく補うこと。
それが、
免疫と長く付き合っていくための現実的な選択なのかもしれません。
📝 用語解説
制御性T細胞(Treg):過剰な免疫反応を抑えるブレーキ役のT細胞。
ビタミンD受容体(VDR):ビタミンDの信号を細胞内へ伝える受け皿。T細胞にもある。
25(OH)ビタミンD:血液で測る“貯蔵型”ビタミンD。目標域の目安に。
活性型ビタミンD:細胞が実際に使う“働く形”のビタミンD。
FoxP3:Tregのアイデンティティを決めるスイッチ遺伝子。
自己免疫:自分の組織を誤って攻撃する免疫反応。
慢性炎症:弱い炎症がだらだら続く状態。動脈硬化や老化の土台にも。
栄養解析:血液検査などで栄養状態を可視化し、個別最適の指針にする手法。