平島医師
平島医師
今日は前編の続きです。帯状疱疹ワクチンが認知症の予防にもつながるかもしれない、という話を踏まえて“腸”の視点に切り込みます。
秋山医師
秋山医師
帯状疱疹って本当に身近。だからこそ、免疫を底上げする日々のケアも外せないですよね。
平島医師
平島医師
日本では50歳以上の3人に1人が発症すると言われます。認知症より多い。となれば予防の軸は複数必要です。
秋山医師
秋山医師
ワクチンに加えて、腸を整えて炎症を下げる。ここが今回の後編のポイントですね。

    帯状疱疹と認知症―実は共通する“炎症”という土台

    帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、加齢やストレスなどで免疫が落ちたときに再活性化して発症します。

    問題は、強い痛みや帯状疱疹後神経痛により生活の質が長期に低下しやすいこと。
    近年、イギリスやオーストラリアの大規模研究では、帯状疱疹ワクチンを接種した群で認知症の発症率が約20%低いという報告があります。ウイルスを防ぐだけでなく、慢性炎症を抑えることが脳の健康に波及している可能性が示唆されます。
    ここで焦点になるのが、全身炎症の起点になりやすい「腸」。後編では、腸から免疫と脳を守る具体策に踏み込みます。

    腸は第2の脳―腸内環境が乱れると脳にも影響を及ぼす

    腸は単なる消化器ではありません。免疫細胞の約7割が集まる“免疫の司令塔”です。腸内環境が乱れると、

    • 慢性炎症がくすぶる
    • 腸のバリア機能(粘膜・タイトジャンクション)が弱る
    • 炎症性物質が血流に乗って全身へ広がる

    この連鎖が続けば、脳にも微小な炎症が及び、アルツハイマー型認知症リスクの上昇につながると考えられます。腸と脳が神経・免疫・ホルモンを介して密接に影響し合う「腸脳相関」を、日々の食と生活でどう整えるかが鍵です。

    カギ物質は短鎖脂肪酸―腸のバリアを補修し、炎症を鎮める

    短鎖脂肪酸は、善玉菌が発酵性食物繊維をエサに作る酢酸・酪酸・プロピオン酸の総称です。役割は明快で、

    • 腸粘膜のエネルギー源となり、バリア機能を高める
    • リーキーガット(腸漏れ)を防ぐ
    • 免疫反応の過剰さを抑え、慢性炎症をしずめる

    短鎖脂肪酸が不足すると、未消化物や炎症性分子が血中に漏れ、全身炎症→脳への影響という悪循環に。だからこそ、日々の食事で“菌のエサ”を増やし、短鎖脂肪酸の産生を後押しすることが重要です。

    医師が続けている 腸活レシピBEST5

    第5位:豆腐とワカメ+ごぼう入り味噌汁
    味噌(発酵)×ワカメ(可溶性食物繊維)×ごぼう(イヌリンなどの発酵性食物繊維)の三位一体。すりおろしごぼうを加えると短鎖脂肪酸の材料がグッと増えます。

    第4位:ひじきと大豆の煮物
    海藻のミネラルと可溶性食物繊維、大豆の発酵性食物繊維とたんぱく質。作り置きに向き、継続しやすいのが最大の利点。

    第3位:納豆+オクラ
    納豆菌とねばねば成分(ムチン様多糖)が腸内細菌をサポート。醤油は控えめに、刻み海苔やごまを足すと風味とミネラルも補えます。

    第2位:具だくさん味噌汁
    人参・大根・ごぼう・しいたけなど根菜ときのこを“噛む量が増える”サイズで。咀嚼が副交感神経を優位にし、腸の動きを整えます。

    第1位:発酵食オールスター丼
    玄米+納豆+味噌漬け野菜+焼き海苔+温泉卵。発酵・食物繊維・良質なたんぱく質がワンボウルで完結。朝でも昼でも“迷ったらコレ”。

    平島医師
    平島医師
    意外と特別なものはないんです。冷蔵庫にあるもので十分作れますね! 手がかからないこと、これが続くコツです。
    納豆は“たんぱく質+食物繊維(不溶性・水溶性)”を同時にとれる、腸にうれしい優秀食材

    免疫を底上げする二本柱:ビタミンDと乳酸菌(量を意識)

    ビタミンD
    ビタミンDは、腸・脳・心臓・膵臓など多臓器に受容体があり、免疫調整の要。不足すると感染症や認知機能低下のリスクが指摘されています。脂溶性ビタミンゆえ、食後に油脂と一緒に摂ると吸収が上がります。目安として1日4,000IUを継続的に。

    乳酸菌(死菌でも可)
    重要なのは“種類”より“数”。小腸の免疫スイッチ(パイエル板)を確実に押すには、1日1兆個レベルが実用的です。市販食品だけでは届きにくいため、サプリ併用は現実的な選択。加熱処理した死菌でも免疫刺激効果は十分に期待できます。

    ワクチン+腸活=将来の自分を守る三本柱
    帯状疱疹・認知症予防で押さえるべきは、

    • 帯状疱疹ワクチンでウイルス再活性化を抑える
    • 食物繊維と発酵食品で短鎖脂肪酸を増やし、腸バリアを守る
    • ビタミンDと乳酸菌で免疫の底力を高める

    前編が「ワクチンと最新知見」なら、後編は「日々の食と習慣」。

    その両輪が回るとき、脳と免疫はもっと強くしなやかになります。今日の一杯の味噌汁と明日の一回の散歩が、数年後の自分の脳を守る——その感覚で、できることから始めてください。

    📝 用語解説

    帯状疱疹
    水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で起こる皮膚と神経の病気。強い痛みや後遺痛が問題。

    水痘・帯状疱疹ウイルス
    子どもの水ぼうそうの原因ウイルス。生涯、神経節に潜伏しうる。

    認知症
    記憶や判断力などの認知機能が低下する総称。アルツハイマー型が代表的。

    腸脳相関
    腸と脳が神経・免疫・ホルモンで相互に影響し合う現象。

    短鎖脂肪酸
    善玉菌が発酵性食物繊維から作る酢酸・酪酸・プロピオン酸。腸バリアと抗炎症に寄与。

    リーキーガット(腸漏れ)
    腸のタイトジャンクションが弱まり、有害物質が血中へ漏れる状態。

    発酵性食物繊維
    腸内細菌が発酵できる食物繊維。イヌリン・レジスタントスターチなどが代表。

    ビタミンD
    免疫調整作用をもつ脂溶性ビタミン。多臓器に受容体が存在。

    乳酸菌
    腸内環境を整え、免疫を刺激する善玉菌。生菌・死菌いずれも有用。

    死菌
    加熱などで不活化された乳酸菌。菌体成分が免疫を刺激し、腸内環境改善に寄与。

    帯状疱疹
    【帯状疱疹・認知症の予防】腸と脳の関係が明らかに!帯状疱疹・認知症は腸で防げる? 医師が勧める腸活レシピBEST5! No.543