認知症は“年齢を重ねれば必ずなるもの”ではありません。近年では、食生活・運動・睡眠・ストレス管理などの生活習慣が、認知症リスクに深く関係していることが分かってきました。
その中でも特に注目されているのが、「腸」と「脳」の関係です。
腸内環境が悪化すると、全身に慢性的な炎症が起こりやすくなり、それが脳にも悪影響を与える可能性があると言われています。反対に、腸内環境を整えることで脳の健康維持につながる可能性もあり、“脳を守るための腸活”が今大きな注目を集めています。
今回は、都道府県別の平均寿命ランキングをもとに、長寿県と短命県の特徴を比較しながら、“脳が老けにくい生活習慣”について前編、中編、後編と解説していきます。
長寿県に共通していた「脳が老けにくい生活習慣」とは?
動画内では、男女別平均寿命をもとに独自にランキング化した“長寿県ランキング”についても紹介されていました。
その中で上位に入っていたのが、滋賀県・長野県・京都府・奈良県・岡山県などです。
もちろん、寿命は遺伝的要素や医療体制など様々な要因が関係するため、単純に比較はできません。しかし、こうした地域には共通する生活習慣が見えてきます。
1位滋賀県は「禁煙率」と「運動習慣」が特徴
長寿ランキング1位だった滋賀県では、男性の喫煙率が全国でも非常に低いと言われています。
さらに、日常的に運動を行う人も多く、地域コミュニティのつながりが強いという特徴があります。
喫煙は血管を収縮させ、脳への血流を低下させる原因になります。脳は大量の酸素と栄養を必要とする臓器であるため、血流低下は認知機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、運動習慣は腸内細菌の多様性を高めることも分かっています。ウォーキングや軽い運動を継続することで、腸内環境の改善につながる可能性があります。

2位長野県は「減塩」と「野菜摂取」で寿命改善
長野県は、かつて脳卒中死亡率が高い地域として知られていました。しかし、その後、官民一体となった減塩運動や野菜摂取の推進を行い、現在では長寿県として有名になっています。
特に注目すべきなのが“食物繊維”です。
野菜に多く含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、腸内で「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質を作り出します。
短鎖脂肪酸には、
- 腸の炎症を抑える
- 腸のバリア機能を守る
- 血糖値の急上昇を抑える
- 全身の慢性炎症を軽減する
などの働きが期待されています。
最近では、この短鎖脂肪酸が脳の健康維持にも関与している可能性が注目されています。
和食文化も“腸活”に有利
3位 京都府
4位 奈良県
5位 岡山県 などの上位県では、昔ながらの和食文化が残っています。
野菜中心の食生活、発酵食品、魚、大豆製品などを日常的に摂取する食文化は、腸内細菌にとって非常に良い環境を作ります。
また、岡山県のように果物が豊富な地域では、抗酸化物質を含む食品を摂取しやすいという特徴もあります。
抗酸化物質は、体内の“酸化ストレス”を抑える働きがあり、細胞の老化予防にも関係しています。
日本人と世界の最高齢
日本人の“確認されている最高齢”は福岡県出身の田中カ子さんで、119歳107日まで生きたことが認定されています。しかも日本は、男性の世界最高齢記録も持っていて、京都府の木村次郎右衛門さんは116歳54日で「世界最高齢の男性」として知られています。さらに世界全体の歴代最高齢はフランスのジャンヌ・カルマンさんで、記録は122歳164日。人類の長寿記録を見ると、日本は“世界トップクラスの長寿国”だと実感できます。
短命県に見られた「避けたい習慣」
方で、平均寿命ランキング下位には、47位青森県・46位大阪府・45位岩手県・44位栃木県・43位茨城県などが挙がっていました。
もちろん地域差を単純化することはできませんが、共通して見られる生活習慣もあります。

塩分の多い食事は血管と腸に負担をかける
47位青森県では、カップラーメン消費量の多さや、塩分摂取量の多さが特徴として挙げられていました。
塩分過多は高血圧の原因となり、脳卒中や認知症リスクを高める可能性があります。
さらに、加工食品に多く含まれる食品添加物や過剰な塩分は、腸内細菌バランスにも悪影響を与える可能性があります。
腸内細菌のバランスが乱れると、腸管で炎症が起こりやすくなり、その炎症が全身へ波及することで、脳への悪影響も懸念されています。

「早食い」も脳と腸に負担をかける
46位大阪府については、“せっかちな気質”による早食い文化も話題に挙がっていました。
早食いは、
- 血糖値の急上昇
- 食べ過ぎ
- 胃腸への負担
- 肥満リスク上昇
などにつながります。
血糖値の乱高下は血管へダメージを与え、結果的に脳血管障害のリスクを高める可能性があります。
また、よく噛まずに食べることで消化器への負担も大きくなり、腸内環境悪化につながる場合があります。
認知症が“病気として”大きく注目されるきっかけになったのは、1906年にドイツの医師アロイス・アルツハイマーが、50代女性アウグステ・Dの症例を報告したことです。物忘れや見当識障害、言葉の乱れがあり、亡くなった後の脳には特徴的な変化が見つかりました。なお日本では、かつて「痴呆」という呼び方が使われていましたが、2004年に「認知症」へ改められました。
運動不足も認知症リスクと関係
最近の医学研究では、「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という考え方が注目されています。
これは、脳と腸が互いに影響を与え合っているという考え方です。
腸は“第二の脳”とも呼ばれ、自律神経やホルモン、免疫を通じて脳と密接につながっています。
例えば、腸内環境が悪化すると、
- 炎症性物質の増加
- ストレスホルモンの増加
- 睡眠の質低下
- 気分の落ち込み
などが起こりやすくなると言われています。
逆に腸内環境が整うことで、
- 便通改善
- 睡眠改善
- ストレス軽減
- 集中力維持
などにつながる可能性があります。
つまり、“腸を整えること”は、“脳を守ること”にもつながる可能性があるのです。
認知症予防の第一歩は「毎日の生活習慣」
認知症は、ある日突然発症する病気ではありません。
長年の生活習慣の積み重ねが、脳の健康に大きく関わっています。
特別なことをする必要はありません。
- 野菜や発酵食品を意識する
- よく噛んで食べる
- 塩分を摂りすぎない
- 適度に運動する
- 禁煙を意識する
- 睡眠をしっかり取る
こうした日々の積み重ねが、結果として“脳を老けにくくする習慣”につながっていきます。
動画内でも、平島先生と秋山先生の掛け合いの中で、地域差や食文化の話題を交えながら、「腸を整えることの重要性」が非常に分かりやすく語られていました。
途中の雑談もまるで居酒屋で話しているような自然な雰囲気で、思わずクスッと笑ってしまう場面もありましたが、そこがこの対談形式の魅力でもあります。
認知症予防というと難しく感じがちですが、まずは“腸を整える生活”から始めてみてはいかがでしょうか。
【認知症予防 中編】認知症予防のカギは腸にあった? 腸もれ・ビタミンD・オメガ3から考える「脳を守る腸活」
📝 用語解説
① 認知症
脳の機能が低下し、記憶力や判断力などに障害が起こる状態のこと。加齢だけではなく生活習慣も関係すると考えられている。
② 腸活
食事や生活習慣を整えることで腸内環境を改善し、健康維持を目指す取り組み。
③ 腸内細菌
腸の中に存在する細菌の総称。善玉菌・悪玉菌・日和見菌などが存在する。
④ 脳腸相関
脳と腸が神経やホルモンを通じて互いに影響を与え合う関係のこと。
⑤ 短鎖脂肪酸
腸内細菌が食物繊維を分解して作る物質。酪酸・酢酸・プロピオン酸などがある。
⑥ 酪酸菌
短鎖脂肪酸の一種である“酪酸”を産生する腸内細菌。腸内環境維持に重要とされる。
⑦ 食物繊維
野菜・豆類・海藻などに多く含まれる成分。腸内細菌のエサになる。
⑧ 慢性炎症
軽度の炎症が長期間続く状態。生活習慣病や認知症との関連が注目されている。
⑨ 抗酸化物質
細胞の老化原因となる“酸化”を抑える働きを持つ成分。ポリフェノールやビタミンCなどが代表的。
⑩ 高血圧
血圧が慢性的に高い状態。脳卒中や認知症リスクにも関係するとされる。
※本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の予防・治療効果を保証するものではありません。

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