「温泉に入ると身体がラクになる」「気持ちがスッキリする」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
実は最近、“温泉が腸内環境に影響を与える可能性”が注目されています。
今回のテーマは「温泉と腸活」。
別府温泉と九州大学の共同研究をもとに、温泉が腸内細菌に与える影響や、病気リスクとの関係について平島先生・秋山先生がわかりやすく解説します。
そんな和やかな雑談から始まった今回のテーマ。
途中では大分・佐賀・長崎の方言トークで盛り上がる場面もあり、先生方の普段の雰囲気が伝わる内容になっていました。しかし、話題は徐々に“温泉と腸内細菌”という非常に興味深い研究へ進んでいきます。
温泉に入ると腸内細菌が変わる? 注目の研究内容とは
今回紹介されたのは、九州在住の健康な男女136名を対象に行われた研究です。
対象者は、
- 単純泉
- 塩化物泉
- 炭酸水素塩泉
- 硫黄泉
という4種類の温泉に分かれ、7日間連続で毎日20分以上入浴しました。
その前後で便を採取し、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を解析したのです。

別府温泉
別府温泉そのものの規模も観光の歴史もかなり“日本級”です。別府市内には現在2,831の源泉があり、湧出量は毎分101,856リットルと、源泉総数は日本一、湧出量も世界屈指の規模を誇ります。さらに1928年には、油屋熊八が日本初の女性バスガイドによる定期観光バスを走らせ、名物の「地獄めぐり」を全国区に押し上げました。別府は“お湯の多さ”だけでなく、“見せ方のうまさ”でも先進地だったんです。
腸内細菌叢とは?
腸の中には約38兆個以上の細菌が存在していると言われています。
その細菌たちの集まりを「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と呼びます。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌など様々な細菌がバランスを取りながら存在しており、
- 免疫機能
- 炎症
- 肥満
- 糖尿病
- メンタル
- 大腸がん
など、全身の健康に深く関与していることが分かってきています。
つまり、「腸内環境を整えること」は、単なる便通改善だけではなく、病気予防にも関係しているのです。
温泉で病気リスクが低下? 驚きの研究結果
研究結果として特に注目されたのが、“特定の病気リスク低下”との関連です。
男性で見られた変化
男性では、
- 単純泉で過敏性腸症候群(IBS)のリスク低下
- 全ての泉質で痛風リスク低下
という結果が見られました。
動画内でも平島先生とディレクターがが、「痛風ブラザーズですね(笑)」と盛り上がる場面がありましたが、それほど印象的な結果だったようです。
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群とは、
- 腹痛
- 下痢
- 便秘
- お腹の張り
などを慢性的に繰り返す疾患です。検査をしても大きな異常が見つからない一方で、ストレスや自律神経、腸内細菌との関連が深いことが知られています。温泉のリラックス効果や腸内環境改善が関与している可能性があります。

女性で見られた変化
女性では、
- 塩化物泉で2型糖尿病リスク低下傾向
- 炭酸水素塩泉で
・大腸がん
・乳がん
・狭心症
・うつ病
・腰痛
・バセドウ病
などのリスク低下が確認されました。特に炭酸水素塩泉は、かなり幅広い病気との関連が見られており、先生方も注目していました。

温泉で善玉菌が増える? 注目された腸内細菌とは
では実際に、どんな腸内細菌が増えたのでしょうか。
単純泉で増えた菌
パラバクテロイデス
腸のバリア機能を高めるとされる菌です。
腸の粘膜を守る働きがあり、炎症抑制にも関与すると考えられています。
オシリバクター
動画内では名前のインパクトで先生方も笑っていましたが、実は非常に注目されている菌です。
- コレステロール低下
- 心血管リスク低下
との関連が報告されています。
炭酸水素塩泉で増えた菌
炭酸水素塩泉では、
- ビフィズス菌
- オシリバクター
- ルミノコッカス
が増加しました。
ビフィズス菌とは?
代表的な善玉菌として有名です。
- 腸内環境改善
- 便通改善
- 免疫機能サポート
など様々な作用が期待されています。
今回の研究では、このビフィズス菌の増加率が最も高かったとされています。
ルミノコッカスとは?
酪酸(らくさん)という短鎖脂肪酸を作る菌です。
酪酸には、
- 腸粘膜保護
- 炎症抑制
- 大腸がん予防
などが期待されています。
硫黄泉で増えた菌
アリスティペス
睡眠の質改善との関連が報告されている菌です。温泉に入ると「よく眠れる」と感じる方も多いですが、こうした腸内細菌の変化も関係している可能性があります。
なぜ温泉で腸内環境が変わるのか?
現在のところ、明確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。
しかし、研究ではいくつかの仮説が考えられています。
① 温泉成分が皮膚に作用する
皮膚は“第二の脳”とも呼ばれ、自律神経や免疫と密接に関係しています。
温泉成分が皮膚を刺激することで、
- 自律神経
- 免疫
- 炎症
に変化が起こり、結果的に腸内環境にも影響している可能性があります。
② リラックス効果
ストレスは腸内環境を悪化させる大きな要因です。
温泉に入ることで、
- 副交感神経優位
- ストレス軽減
- 睡眠改善
などが起こり、腸内細菌のバランス改善につながっている可能性があります。
特に注目は「炭酸水素塩泉」
先生方が特に注目していたのが「炭酸水素塩泉」です。
病気リスク低下だけでなく、ビフィズス菌増加との関連も強く見られました。
さらに炭酸水素塩泉は「美肌の湯」としても有名です。
代表的な温泉地として、
- 別府温泉
- 長湯温泉
- 嬉野温泉
- 有馬温泉
- 下呂温泉
- 登別温泉
などが紹介されていました。
温泉施設では「泉質」が表示されていることが多いため、今後は泉質を意識して入るのも面白いかもしれません。
まとめ|温泉は“気持ちいい”だけではなく腸活にもつながる可能性がある
今回の研究では、
- 温泉入浴によって腸内細菌が変化する
- 善玉菌が増える可能性がある
- 病気リスク低下との関連が見られた
という非常に興味深い結果が示されました。
もちろん、まだ研究段階ではあります。
しかし、
- リラックスできる
- 睡眠の質向上
- ストレス軽減
- 血流改善
など、温泉には元々さまざまな健康効果があります。
そこに「腸活」という新たな視点が加わったことで、今後さらに研究が進んでいくかもしれません。
先生方も、「好きで入って病気リスクも下がるなら、お得ですよね」
と話されていました。
冬場はもちろん、日頃の健康習慣のひとつとして、温泉を上手に取り入れてみるのも良いかもしれません。
📝 用語解説
① 腸内細菌叢(腸内フローラ)
腸内に存在する細菌群のこと。健康や免疫に深く関与する。
② 善玉菌
身体に良い働きをする細菌。ビフィズス菌などが代表。
③ 短鎖脂肪酸
腸内細菌が食物繊維を分解して作る成分。炎症抑制作用がある。
④ ビフィズス菌
代表的な善玉菌。便通改善や免疫サポートに関与。
⑤ 過敏性腸症候群(IBS)
腹痛や下痢・便秘を繰り返す機能性腸疾患。
⑥ 炭酸水素塩泉
「美肌の湯」とも呼ばれる泉質。炭酸水素イオンを含む。
⑦ 硫黄泉
硫黄成分を含む温泉。独特のにおいが特徴。
⑧ パラバクテロイデス
腸のバリア機能維持に関与するとされる菌。
⑨ オシリバクター
コレステロール低下や心血管リスク低下との関連が研究されている菌。
⑩ ルミノコッカス
酪酸を産生する腸内細菌。腸粘膜保護作用が期待される。