平島医師
平島医師
がんって遺伝がすべてみたいなイメージ、昔からありますよね。
秋山医師
秋山医師
ありますね。『うちはがん家系じゃないから大丈夫です』っていう方も多いです。
平島医師
平島医師
もちろん遺伝的要素が強いがんもありますけど、それだけじゃないですよね。
秋山医師
秋山医師
そうですね。実は生活習慣や環境因子の影響を受けるがんの方が多いと言われています。
平島医師
平島医師
『がんは運命だから仕方ない』と決めつけてしまうのは、もったいないことかもしれませんね。

今回の内視鏡チャンネルでは、全世界のデータから分かった「がんリスク因子トップ3」について解説されました。

近年の研究では、がんの約4割は生活習慣の改善によって予防できる可能性があることが分かってきています。

そこで今回は、最新の研究結果をもとに、がん予防のために知っておきたいポイントについて詳しく解説します。

    がんの多くは生活習慣や環境因子の影響を受けている

    「がん=遺伝」というイメージを持っている方は少なくありません。

    もちろん、遺伝的な要素が関与するがんも存在します。しかし実際には、生活習慣や環境要因が関係しているケースの方が多いことが分かっています。

    特に食生活、喫煙、飲酒、運動不足、肥満などは、長期間にわたって体に影響を与え、がん発症のリスクを高めることが知られています。

    つまり、日頃の生活を見直すことで、将来のがんリスクを下げられる可能性があるということです。

    「遺伝だから仕方ない」と諦めるのではなく、自分で変えられる部分に目を向けることが大切です。

    人類最古の「がん」の記録とは?

    がんの最古の記録は、なんと約3600年前の古代エジプトにまで遡ります。「エドウィン・スミス・パピルス」と呼ばれる医学文書には、乳房の腫瘍について記載されており、「治療法は存在しない」と記されていました。まさに現代にも通じる深刻な病として認識されていたのです。

    「がん(Cancer)」という言葉を初めて使ったのは、古代ギリシャの医師ヒポクラテス(紀元前400年頃)です。腫瘍の形がカニの足に似ていることから、ギリシャ語でカニを意味する「カルキノス」と名付けました。これが現在の「Cancer」の語源です。

    驚くことに、恐竜の化石にもがんの痕跡が発見されており、がんは人類誕生以前から存在していた地球上最古の病気のひとつとも言われています。

    日本人約8万人の研究で分かった「5つの健康習慣」

    2012年には、日本人約8万人を対象とした大規模研究が報告されました。

    この研究では、以下の5つの健康習慣を実践している人ほど、がんの発症リスクが低いことが示されています。

    ①禁煙

    喫煙は多くのがんと深く関係しています。

    肺がんだけでなく、

    • 食道がん
    • 胃がん
    • 大腸がん
    • 膵臓がん
    • 膀胱がん

    など、さまざまながんのリスクを上昇させます。

    ②適度な飲酒

    過度のアルコール摂取は、

    • 食道がん
    • 肝臓がん
    • 大腸がん
    • 乳がん

    などの発症リスクを高めることが分かっています。

    ③減塩

    塩分の摂り過ぎは胃の粘膜を傷つけ、胃がんのリスクを高める要因になります。

    日本人は塩分摂取量が多い傾向があり、減塩は重要な予防策の一つです。

    ④適度な運動

    運動不足は肥満や慢性炎症を引き起こし、がん発症のリスクを高める可能性があります。

    ウォーキングなどの軽い運動でも継続することが大切です。

    ⑤BMIを適正に保つ

    肥満は多くのがんと関連しています。

    BMI(Body Mass Index:体格指数)を適正範囲に維持することが推奨されています。

    これら5つをすべて実践している人では、

    • 男性で43%
    • 女性で37%

    も、がん発症リスクが低下することが報告されています。

    約4割ものリスク低下が期待できるという結果は、生活習慣の重要性を示していると言えるでしょう。

    最新の世界的研究で判明した「がんリスクトップ3」

    2026年に発表された最新の研究では、WHOの国際がん研究機関(IARC)が保有するデータベースをもとに、185か国、36種類のがんについて解析が行われました。
    研究では、

    • 行動要因
    • 代謝要因
    • 環境要因
    • 感染要因

    など30項目の後天的な要因が調べられています。
    その結果、全世界で発症するがんの37.8%が、修正可能な要因と関連していることが分かりました。
    つまり、約4割のがんは予防できる可能性があるということです。

    さらに、全世界で見た場合のがんリスクトップ3は、

    第1位 喫煙

    最も大きなリスク因子とされています。
    タバコに含まれる有害物質は70種類以上の発がん物質を含み、全身の臓器に影響を与えます。
    禁煙は最も効果の高いがん予防法の一つです。

    第2位 感染症

    感染症も重要な発がん要因です。
    代表的なものには、

    • ピロリ菌
    • B型肝炎ウイルス
    • C型肝炎ウイルス
    • ヒトパピローマウイルス(HPV)

    などがあります。

    例えば、
    ピロリ菌
    胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃がんのリスクを高める細菌です。
    除菌治療によってリスクを下げられることが分かっています。
    HPV(ヒトパピローマウイルス)
    子宮頸がんの原因となるウイルスで、ワクチン接種による予防が可能です。

    第3位 飲酒


    アルコールも重要な発がん因子です。
    近年では、
    「安全な飲酒量は存在しない」
    という考え方が国際的なスタンダードになりつつあります。
    アルコールを分解する過程で生じるアセトアルデヒドは発がん性を持ち、

    • 食道がん
    • 大腸がん
    • 肝臓がん
    • 乳がん

    などとの関連が指摘されています。
    「お酒は百薬の長」という言葉がありますが、近年の研究結果を見ると、アルコールについての考え方は変わりつつあると言えるでしょう。
    先生方も、
    「知った上で飲むのと、知らずに飲むのでは全然違う」
    と話されていました。

    日本人が特に気を付けたいのは「喫煙・飲酒・肥満」

    日本を含む東アジア地域に限定してみると、

    1. 喫煙
    2. 飲酒
    3. 肥満

    が、がんリスクの上位を占めていました。

    肥満によって内臓脂肪が増えると、

    • 慢性炎症
    • インスリン抵抗性
    • ホルモンバランスの変化

    などが起こり、がんの発症に関わると考えられています。

    BMIを適正範囲に保ち、内臓脂肪を増やしすぎないことも大切です。

    平島先生の禁煙体験談から分かること

    番組の中では、平島先生が22歳頃から喫煙を始め、30歳頃に禁煙したエピソードも紹介されました。

    「絶対吸わないと思っていたのに、なぜか吸い始めた」

    という意外な告白に、秋山先生も驚かれていました。

    禁煙後、長い年月を経てようやく非喫煙者と同程度のリスクに近づくと言われており、

    「やめるなら早い方がいい」

    ということを改めて実感するお話でした。

    また、ホノルルトライアスロンの話題で盛り上がる先生方の様子からも、日頃から運動を楽しみながら健康維持に取り組まれていることが伝わってきました。

    まとめ

    がんは決して「運命」だけで決まる病気ではありません。

    近年の研究では、

    • 禁煙
    • 飲酒量を見直す
    • 肥満を防ぐ
    • 減塩
    • 適度な運動

    といった生活習慣の改善によって、がんのリスクを大きく下げられる可能性が示されています。

    特に日本人では、

    「喫煙」「飲酒」「肥満」

    の3つを意識することが重要です。

    完璧を目指す必要はありません。

    まずは今日から、

    「少しタバコを減らす」
    「お酒の量を見直す」
    「体重管理を意識する」

    そんな小さな一歩が、将来の健康につながるかもしれません。

    📝 用語解説

    1. がん

    細胞の遺伝子に異常が起こり、無秩序に増殖して周囲の組織へ広がる病気。

    2. 環境因子

    生活習慣や大気汚染、感染症など、体の外から受ける影響のこと。

    3. 発がん性

    がんを引き起こす性質のこと。

    4. BMI(Body Mass Index)

    身長と体重から肥満度を評価する指標。適正値は18.5~24.9とされる。

    5. 国際がん研究機関(IARC)

    WHO(世界保健機関)の専門機関で、がんの原因や予防について研究している。

    6. ピロリ菌

    胃に感染する細菌で、慢性胃炎や胃がんの原因になる。

    7. ヒトパピローマウイルス(HPV)

    子宮頸がんなどの原因となるウイルス。

    8.後天的要因

    生まれつきではなく、生活習慣や環境などによって後から受ける影響のこと。喫煙や飲酒、肥満などが含まれる。

    9. 慢性炎症

    体内で弱い炎症が長期間続く状態。肥満や生活習慣病、がんとの関連が指摘されている。

    10. インスリン抵抗性

    インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなる状態。肥満や糖尿病、がんのリスク上昇と関係する。

    がん
    今回は、がんは予防を考えられるのかというテーマで、世界や日本のデータをもとに、がんリスクに関わるとされる要因トップ3を医師がわかりやすく解説します。どんな生活習慣が影響しやすいのか、なぜその要因が注目されているのか、そして日常生活で何を見直すヒントになるのかを整理してお伝えします。がんが心配な方、健康診断の結果が気になる方、今からできることを知りたい方はぜひご覧ください。

    ※本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の予防・治療効果を保証するものではありません。