平島医師
平島医師
健康診断で肝機能異常を指摘される方って、本当に多いですよね。
秋山医師
秋山医師
多いですね。その原因として圧倒的に多いのが脂肪肝なんですよ。
平島医師
平島医師
脂肪肝を改善するには運動が大事と言われますけど、『適度な運動をしましょう』と言われても、何をどれくらいやればいいのか分からない方も多いですよね。
秋山医師
秋山医師
そうなんです。教科書的には1日30分以上の有酸素運動が推奨されていますが、忙しい方にとってはなかなか続けるのが難しいんですよね。
平島医師
平島医師
そこで今回は、忙しい方でも取り入れやすい、短時間でできる脂肪肝対策の運動について詳しく見ていきましょう。

健康診断で「肝機能異常」「脂肪肝の疑い」と指摘された経験はありませんか?

実は、健康診断で肝機能障害を指摘される人は約2割にのぼり、その原因として圧倒的に多いのが脂肪肝です。

福岡天神内視鏡クリニックでも、これまで5,000人以上の腹部エコー検査を行ってきた中で、エコー検査を受ける患者さんの約2人に1人に脂肪肝が認められるとのこと。

脂肪肝というと「脂っこいものを食べ過ぎたせい」と思われがちですが、実はそれだけではありません。

今回は、脂肪肝改善に役立つ運動習慣として注目されている「HIIT(ヒット)」と「VILPA(ヴィルパ)」について、詳しく解説します。

    脂肪肝の原因は「脂」ではなく糖質や運動不足?

    脂肪肝には大きく分けて、

    • アルコール性脂肪肝
    • 非アルコール性脂肪肝

    の2種類があります。

    アルコール性脂肪肝は、飲酒が原因で起こるため、禁酒や節酒、運動習慣によって改善が期待できます。

    一方で近年増えているのが、非アルコール性脂肪肝です。

    こちらは、

    • 糖質の摂りすぎ
    • 運動不足
    • 肥満
    • 内臓脂肪の蓄積

    などが大きく関係しています。

    「脂肪肝だから脂質を控えています」

    という方もいますが、実際には糖質の過剰摂取が問題になっているケースも少なくありません。

    食事の見直しに加えて、運動習慣を取り入れることが非常に重要です。

    知って驚く!エコー検査はソナー技術から生まれた

    肝臓検査でおなじみのエコー検査(超音波検査)は、もともと軍事技術から生まれました。第一次世界大戦中に潜水艦を探知するために開発された「ソナー技術」が、その原点です。

    医療への応用が始まったのは1950年代のこと。スコットランドの医師イアン・ドナルドが、工場の金属検査に使われていた超音波機器を見て「人体にも使えるのでは?」とひらめいたことがきっかけでした。

    驚くべきことに、当初は魚群探知機と同じ原理が使われており、現在の医療現場で当たり前のように使われるエコー検査が、潜水艦や魚の発見技術と同じルーツを持つとは想像もできません。

    今では肝臓・心臓・妊婦健診など幅広く活躍する、現代医療に欠かせない検査技術です

    本来推奨される運動は「30分以上を週3回」

    一般的に、脂肪肝改善のために推奨されているのは、

    1日30分以上の有酸素運動を週3回以上行うこと

    です。

    具体的には、

    • ウォーキング
    • ジョギング
    • 水泳
    • サイクリング

    などが挙げられます。

    さらに、現在の体重から5〜7%程度減量すると、脂肪肝が改善するといわれています。

    体重が減らなくても意味はある

    「運動しているのに体重が減らない」

    と悩む方もいますが、体重が減らなくても運動そのものに脂肪肝改善効果があることがわかっています。

    筋肉量が増えることで体重が変わらなくても、

    • 内臓脂肪の減少
    • 肝臓に蓄積した脂肪の減少

    が起こっている可能性があります。

    しかし現実には、

    「毎回30分も運動する時間がない」

    「継続できない」

    という方も多いでしょう。

    そこで注目されているのが、HIITです。

    わずか10分でできるHIIT(ヒット)とは?

    HIITとは、

    High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)

    の略です。

    「HIITはきつそう」

    というイメージを持つ方も多いですが、必ずしも激しい運動ばかりではありません。

    基本のやり方

    1回20秒間運動する

    40秒休憩する

    これを4回繰り返す

    すると、

    4分で1セット

    になります。

    これを1日2セット行えば、

    合計8分。

    ストレッチを加えても約10分で終了します。

    運動メニューの例

    20秒ごとに内容を変えると、飽きにくく効果も高まります。

    • 腕立て伏せ
    • スクワット
    • もも上げ
    • バービージャンプ

    などがおすすめです。

    もちろん、年齢や体力に合わせて負荷を調整して構いません。

    大切なのは、

    20秒間はしっかり頑張ること

    です。

    毎日やる必要はない

    HIITは、

    週3回程度で十分

    とされています。

    実際に、HIITによって脂肪肝が有意に改善したという研究報告もあります。

    また、

    • 内臓脂肪の減少
    • ダイエット効果

    も期待できます。

    先生方も、

    「月・水・金をHIITの日にする」

    というように、あらかじめ予定に組み込むのがおすすめと話されていました。

    「マラソン大会に出る」「パーソナルトレーニングを予約する」など、運動せざるを得ない環境を作ることも継続のコツだそうです。

    こうした先生方の雑談からも、継続の重要性が伝わってきます。

    VILPA(ヴィルパ)は日常生活の中でできる運動

    HIITをしない日は、

    VILPA(ヴィルパ)

    を取り入れるのがおすすめです。

    VILPAとは、

    Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity

    の略で、

    「日常生活の中で短時間だけ意識的に体を動かす活動」

    を意味します。

    例えば、

    • 階段を急いで上る
    • 重い荷物を運ぶ
    • 坂道を歩く
    • 家事をテキパキ行う
    • お風呂掃除を全力で行う

    などです。

    1日4分程度でOK

    驚くことに、

    合計4分程度でも効果が期待できるとされています。

    VILPAの研究で特に注目されているのが、「0から1」が最も大きな効果を生むという点です。つまり、まったく運動習慣がない状態から、階段を使う、少し早歩きをするなど、ほんの少しでも体を動かす習慣を始めることが大切だということです。

    2回目、3回目と活動量が増えるにつれて効果は緩やかになりますが、最初の一歩ほど大きな恩恵はありません。だからこそ、完璧を目指す必要はなく、「まず始めてみる」ことが脂肪肝改善や健康寿命の延伸につながるのです。

    さらに研究では、

    • 全死亡リスクが38〜40%低下
    • がん死亡リスクが約40%低下

    したという報告もあります。

    特に、

    「ゼロから1回」

    が最も大きな効果を生むとされており、まず始めることが重要です。

    田舎暮らしなら駐車場を遠くに

    先生とスタッフの会話では、

    「田舎では500m先のコンビニでも車で行く人が多い」

    という話題も出ていました。

    そのため、

    • スーパーで遠い場所に駐車する
    • 少し歩いて買い物に行く

    など、小さな工夫だけでも活動量を増やせます。

    HIITとVILPAを上手に組み合わせよう

    注意したいのは、

    VILPAだけでは脂肪肝改善効果は十分ではない

    という点です。

    脂肪肝を改善したい場合は、

    月・水・金

    HIIT

    火・木・土・日

    VILPA

    という組み合わせがおすすめです。

    脂肪肝がなくても、

    「長生きしたい」

    「運動不足を解消したい」

    という方には、VILPAを毎日取り入れる価値があります。

    まとめ

    脂肪肝改善というと、

    「毎日30分運動しなければならない」

    と思い込んでしまいがちです。

    しかし、

    • HIITなら1回4分
    • VILPAなら1日3〜4分

    という短時間でも、健康に良い影響が期待できます。

    そして何より重要なのは、

    完璧を目指すことより、まず最初の一歩を踏み出すこと。

    先生方もおっしゃるように、

    「0から1」

    が最も大きな変化を生みます。

    忙しくて運動する時間が取れない方こそ、今日から少しだけ体を動かす習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

    📝 用語解説

    1. 脂肪肝

    肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態。進行すると肝炎や肝硬変につながることがあります。

    2. 肝機能障害

    ASTやALTなどの肝機能の数値が上昇し、肝臓に異常が起きている状態です。

    3. アルコール性脂肪肝

    過度な飲酒によって肝臓に脂肪が蓄積する病気です。

    4. 非アルコール性脂肪肝

    飲酒習慣がほとんどないにもかかわらず発症する脂肪肝で、肥満や糖質の過剰摂取、運動不足が関係します。

    5. 有酸素運動

    ウォーキングやジョギングなど、酸素を利用して脂肪を燃焼する運動です。

    6. 内臓脂肪

    胃や腸の周囲につく脂肪で、生活習慣病や脂肪肝の原因になります。

    7. HIIT(ヒット)

    High Intensity Interval Trainingの略。短時間の高強度運動と休憩を交互に行うトレーニング方法です。

    8. インターバルトレーニング

    運動と休息を繰り返すことで効率よく心肺機能や筋力を高める運動法です。

    9. VILPA(ヴィルパ)

    Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activityの略。日常生活の中で短時間だけ強度を上げて行う身体活動のことです。

    10. 腹部エコー検査

    超音波を使って肝臓や胆のうなどを観察する検査で、脂肪肝の診断にも広く用いられています。

    脂肪肝
    【HIITとVILPA】今回は運動不足と脂肪肝、そして健康寿命との関係について、医師の視点でわかりやすく解説します。大がかりな運動が難しい方でも、短時間の身体活動をどう考えればよいのか、脂肪肝が気になる方が日常生活で意識したいポイントは何かを整理しました。運動が苦手な方、忙しくて時間が取りにくい方、健康診断で肝機能や脂肪肝を指摘された方にも参考になる内容です。

    ※本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の治療・予防効果を保証するものではありません。