平島医師
平島医師
今回は、腸活という目線で“食べるならおすすめしたいおやつ”のお話ですね。
秋山医師
秋山医師
そうですね。絶対におやつを食べなきゃいけないというわけではなくて、食べるなら腸活にいいものを選ぼうということですね。
平島医師
平島医師
スーパーやコンビニで簡単に買えて、常温保存できて、サッと食べられるものがいいですよね。
秋山医師
秋山医師
そうですね。今回はそういった条件を満たしていて、さらに腸活の面でもしっかりと研究されているおやつをご紹介していきます。

おやつは、選ぶものによって含まれる成分や栄養素が大きく異なります。せっかく食べるのであれば、おいしさだけでなく、体にとってうれしい働きが期待できるものを選びたいところです。

実は、私たちにとって身近なおやつの中にも、腸内細菌との関係が研究されているものがあります。研究では、一定期間摂取することで腸内環境だけでなく、便通にも変化がみられました。

身近なおやつが、なぜ腸内環境に影響するのでしょうか。ここからは、その食品に含まれる成分や研究結果をもとに詳しく解説していきます。

    高カカオチョコレートとは?腸活で注目したい成分

    今回、腸活を意識したおやつとしてご紹介するのが、高カカオチョコレートです。

    高カカオチョコレートとは、一般的にカカオ成分を70%以上含むチョコレートのことです。

    市販されているものにはカカオ72%、86%、95%などがあり、カカオの割合が高くなるほど苦味も強くなります。無理なく取り入れるのであれば、カカオの含有量だけでなく、食べやすさも大切です。

    また、個包装になっている商品であれば、手を汚さず短時間で食べられるほか、「今日は何個」と量を決めやすいため、食べ過ぎを防ぎやすいというメリットもあります。

    では、高カカオチョコレートの何が腸活につながるのでしょうか。

    まず注目したい成分が、カカオポリフェノールです。

    カカオポリフェノールには抗酸化作用があり、活性酸素を抑える働きがあります。また、動画内では降圧作用や動脈硬化を抑える作用、血糖値の上昇を抑える作用なども紹介されています。

    そして今回、特に注目したいのが、高カカオ食品と腸内細菌との関係です。実は、カカオを摂取することで腸内細菌にどのような変化が起こるのか、人を対象とした研究も行われています。

    2011年に発表された人を対象とした試験では、高カカオのココアを4週間摂取したところ、乳酸菌やビフィズス菌が増えたことが報告されています。

    チョコレートそのものを使った研究ではありませんが、カカオに含まれる成分と腸内環境との関係を考えるうえで興味深い結果です。

    では、高カカオチョコレートそのものを食べた場合、腸内ではどのような変化が起こるのでしょうか。

    便秘の女性が2週間食べたら?腸内細菌と便通に変化

    高カカオチョコレートと腸内環境の関係について、日本人を対象にした研究も報告されています。

    2025年に発表された研究では、便秘の日本人女性を対象に、カカオ72%の高カカオチョコレートを食べた場合の変化が調べられました。

    摂取した量は、1日25gです。

    動画内で紹介されている個包装のチョコレートに換算すると、1個約5gのため1日5個程度になります。

    これを2週間食べたグループと、通常のホワイトチョコレートを食べたグループを比較しました。

    その結果、高カカオチョコレートを食べたグループでは、腸内細菌の多様性が有意に高くなったことが確認されています。

    腸内にはさまざまな種類の細菌が存在しています。「腸内細菌の多様性」とは、腸内にどのくらい多様な種類の細菌が存在しているかを表す考え方です。

    さらに、高カカオチョコレートを食べたグループでは、酪酸菌の増加も確認されました。

    酪酸菌は、「酪酸」と呼ばれる短鎖脂肪酸を作る腸内細菌です。

    そして、この研究でもうひとつ注目したいのが排便回数です。

    高カカオチョコレートを2週間食べた結果、排便回数は、

    週2.75回 → 週4.94回

    まで増加しました。

    約2週間という比較的短い期間で、腸内細菌だけでなく便通にも変化がみられたことになります。

    ただし、ここで注意したいのは、この研究が便秘の日本人女性を対象としていることです。

    すべての人が高カカオチョコレートを食べれば同じように排便回数が増える、という意味ではありません。

    それでも、高カカオチョコレートと腸内環境との関係を考えるうえで、興味深い研究結果といえるでしょう。

    なぜチョコレートで腸内環境が変わる?カカオと善玉菌の関係

    では、なぜ高カカオチョコレートを食べることで、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などの善玉菌に変化が起こるのでしょうか。

    そのポイントとなるのが、カカオに含まれているカカオポリフェノールとカカオプロテインです。

    これらの一部は小腸ですべて吸収されるのではなく、そのまま大腸まで到達します。

    そして大腸まで届いたカカオポリフェノールやカカオプロテインが、腸内にいる善玉菌のエサとなり、善玉菌が増えることにつながると考えられています。

    これは「プレバイオティクス」と呼ばれる働きです。

    プレバイオティクスとは、腸内の有用な細菌のエサとなり、その増殖などを助けるものを指します。

    ヨーグルトなどから菌そのものを取り入れるイメージとは異なり、もともと腸内にいる善玉菌にエサを届けて育てるという考え方です。

    高カカオチョコレートの場合、カカオに含まれる成分の一部が大腸まで届き、善玉菌のエサとして利用されることで、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などが増える可能性があります。

    つまり、高カカオチョコレートは単なる「甘いおやつ」ではなく、カカオに含まれる成分を通して腸内細菌に働きかける可能性のある食品なのです。

    腸活目的ならどのくらい?1日10gから無理なく取り入れる

    研究では1日25gの高カカオチョコレートを摂取していますが、「毎日5個食べるのは少し多い」と感じる方もいるでしょう。

    そこで参考になるのが、カカオ70%の高カカオチョコレートを1日10g、4週間摂取した研究です。

    こちらでも善玉菌の増加が報告されています。

    1個5g程度の個包装タイプであれば、1日10gは約2個です。

    そのため、動画内では腸活を意識した高カカオチョコレートの取り入れ方として、カカオ72%程度のものを1日10g、個包装なら2個程度という方法が紹介されています。

    個包装タイプであれば量を調節しやすく、手を汚さず短時間で食べられることもメリットです。

    一度に2個食べても、時間を空けて1個ずつ食べても構いません。

    また、「3時のおやつ」として食べる必要もなく、食後のデザートとして取り入れる方法もあります。

    大切なのは、腸活のために無理にチョコレートを食べることではありません。

    普段からおやつを食べる習慣がある方が、選択肢のひとつとして高カカオチョコレートを取り入れるという考え方です。

    また、食べ過ぎてしまえば摂取量も増えてしまうため、個包装を利用して量を決めておくと取り入れやすいでしょう。

    「甘いものを食べたいけれど、腸内環境も意識したい」という方は、高カカオチョコレートをおやつの選択肢にしてみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    高カカオチョコレートは、カカオ成分を70%以上含むチョコレートです。

    カカオには、カカオポリフェノールやカカオプロテインが含まれており、その一部が大腸まで届いて善玉菌のエサになると考えられています。

    便秘の日本人女性を対象にした研究では、カカオ72%の高カカオチョコレートを1日25g、2週間摂取したところ、腸内細菌の多様性が高まり、酪酸菌の増加が確認されました。

    さらに、排便回数も週2.75回から週4.94回へ増加しています。

    一方、別の研究では1日10gの摂取でも善玉菌の増加が報告されています。

    腸活のためにおやつを食べる必要はありませんが、普段からおやつを食べるのであれば、高カカオチョコレートも選択肢のひとつです。

    無理なく続けるなら、カカオ72%程度の高カカオチョコレートを1日10g程度から取り入れてみるのもよいでしょう。

    📝 用語解説

    1.高カカオチョコレート

    カカオの含有量が多いチョコレート。一般的にカカオ分70%以上のものを指し、通常のチョコレートより苦味が強いのが特徴。

    2.カカオポリフェノール

    カカオに豊富に含まれるポリフェノールの一種。抗酸化作用を持ち、体内で増えすぎた活性酸素の働きを抑える。

    3.カカオプロテイン

    カカオに含まれるタンパク質。一部は小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内細菌のエサになる。

    4.腸内細菌

    人の腸内に生息している細菌の総称。乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌など、さまざまな種類が存在する。

    5.腸内細菌の多様性

    腸内にどれだけ多くの種類の細菌が存在しているかを示すもの。さまざまな種類の腸内細菌が共存している状態を「多様性が高い」と表す。

    6.乳酸菌

    糖を分解して乳酸を作り出す細菌の総称。腸内環境を整える働きに関わる菌として知られている。

    7.ビフィズス菌

    人の腸内に生息する善玉菌のひとつ。乳酸や酢酸などを作り、腸内環境を整える働きに関わる。

    8.酪酸菌

    短鎖脂肪酸のひとつである「酪酸」を作り出す腸内細菌。腸内環境や腸の健康維持に関わる。

    9.短鎖脂肪酸

    腸内細菌が食物繊維などを利用して作り出す脂肪酸。酪酸や酢酸、プロピオン酸などがあり、腸内環境の維持に関わる。

    10.プレバイオティクス

    腸内の善玉菌のエサとなり、その増殖や働きを助ける成分。食物繊維やオリゴ糖などが代表的。

    高カカオチョコレート