平島医師
平島医師
秋山先生、単刀直入に聞きます。先生は何歳まで生きたいと思いますか?
秋山医師
秋山医師
うーん、正直に言うと“死にたくない”ですね。できるだけ長く元気に生きたい。もし120歳までピンピンしていられるなら、ぜひそこまで行きたいと思っています。でも寝たきりのまま長生きするのは避けたい。健康寿命をどう伸ばすかが一番大事だと思います。
平島医師
平島医師
なるほど。私はね、80歳くらいまで元気でいたいなと思ってるんです。実は大型バイクの免許を持っていて、80歳になったらバイクにまたがって風を切りたいんですよ。今は危ないから乗ってないんですけど、最後に『だだだっ』と走ってみたいなと(笑)。
秋山医師
秋山医師
いいですね!ただ80歳で大型バイクはなかなかスリリングですよ。私はむしろ死ぬまで人の役に立ちたいし、仕事を続けていたい。トライアスロンだって最後までやりたいと思っています。
平島医師
平島医師
お互い目標は違っても、“最後まで元気に”というのは共通してますね。やっぱり大切なのは平均寿命だけでなく健康寿命をどう延ばすか、ですよね。
1970年代〜2010年にかけて、日本では「非寝たきり寿命」(介護不要の健康な期間)は平均寿命とともに延びましたが、2000年を境にその伸びが鈍化しているとの研究報告もあります。

    平均寿命と健康寿命のギャップ

    日本は世界有数の長寿国ですが、実際には「平均寿命」と「健康寿命」には約10年の差があります。

    • 平均寿命:男性81歳、女性87歳前後。
    • 健康寿命:男性72歳、女性75歳前後。

    つまり、多くの人は最後の10年間を病気や介護が必要な状態で過ごしているのです。理想は「ピンピンコロリ」、最後まで元気で過ごし、最期は短い期間で旅立つこと。そのためには、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが欠かせません。

    サルコペニアとフレイルとは?

    健康寿命を縮める大きな要因が「サルコペニア」と「フレイル」です。

    • サルコペニア:加齢により筋肉量・筋力が低下し、身体機能が衰える状態。転倒や寝たきりのリスクを高める。
    • フレイル:サルコペニアに加え、気力や精神面の低下が重なり、心身ともに脆弱になる状態。

    まず筋力が落ちてサルコペニアが進行し、やがてフレイルに至ります。どちらも放置すれば「要介護状態」につながるため、早期の対策が重要です。

    2025年版「サルコペニア・フレイル栄養管理ガイドライン」

    2025年に公開された「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン」は、最新の研究成果をもとに作成されています。その特徴は…

    • 科学的根拠に基づく:国内外のエビデンスを整理。
    • シンプルで実践的:今日から取り入れられる食事や運動が明示。
    • 薬では防げない:生活習慣の改善が唯一の予防策。

    特に「薬で予防も治療もできない」という事実が強調されています。つまり、日々の食事と運動こそが最大の対策なのです。

    栄養で予防するポイント、まずは意識することが大事

    高齢者は 体重1kgあたり1.0〜1.2g/日 のたんぱく質摂取が望ましいとされます。1回の食事で 20〜30g前後のたんぱく質 を摂ると筋たんぱくの合成が効率よく進む。

    1. たんぱく質を十分に

    筋肉維持に必須で、体重1kgあたり1.0〜1.2g/日が推奨。
    (例:体重60kgなら60〜72g/日)

    2. ビタミンDを確保

    骨や筋肉を守り、免疫機能にも関与。不足しやすいため、魚・きのこ・日光浴、あるいはサプリも活用。

    3. ミネラル(亜鉛・鉄)

    エネルギー代謝や造血に不可欠。不足すると疲労感や気力低下の要因に。

    運動で予防するポイント

    筋肉は「使わなければ衰える」ため、適度な運動が必須です。

    • 筋トレ:スクワットや腕立てで筋力維持。
    • 有酸素運動:ウォーキングや水泳で心肺機能を維持。
    • バランス運動:ヨガや太極拳で転倒予防。

    運動は筋肉だけでなく気分を前向きにし、フレイル予防につながります。

    医師自身が実践する工夫

    • 平島先生:仕事終わりに水泳を継続。疲労回復や睡眠改善を実感。
    • 秋山先生:日常的な運動習慣を意識し、心身のリズムを整える。

    「疲れたから休む」よりも「適度に動く」方が疲れが取れ、健康寿命を延ばす近道になると強調しています。

    まとめ

    • 日本人の平均寿命と健康寿命には約10年の差がある。
    • サルコペニア(筋肉の衰え)とフレイル(心身の脆弱化)が主な要因。
    • 2025年の最新ガイドラインは、食事と運動の習慣改善が最大の予防策であると示している。
    • 「今日から実践できる小さな習慣」が、未来の10年を変える。

    📌 本記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師の見解と最新研究に基づき執筆しています。健康寿命を延ばす取り組みは、薬ではなく日々の生活習慣から始まります。

    📝 用語解説
    平均寿命:生まれてから死亡するまでの平均年齢。日本は世界トップクラスの長寿国。
    健康寿命:介護を受けず、自立して生活できる期間のこと。平均寿命より約10年短い。
    サルコペニア:加齢によって筋肉量や筋力が低下し、身体機能が衰える状態。
    フレイル:サルコペニアに精神的・社会的な衰えも加わり、心身ともに脆弱になる状態。
    ピンピンコロリ:最後まで元気に過ごし、短期間で亡くなる理想的な人生のあり方を表す言葉。
    エビデンス:医学的に効果や因果関係を裏付ける科学的根拠。
    栄養管理ガイドライン:専門学会などが最新研究をもとにまとめた食事・栄養に関する指針。
    ビタミンD:骨や筋肉の健康、免疫機能の調整に重要な脂溶性ビタミン。
    亜鉛・鉄:エネルギー代謝や造血に不可欠なミネラル。不足すると疲労や免疫低下につながる。
    有酸素運動:ウォーキングや水泳など、心肺機能を高め脂肪燃焼にも効果がある運動。