
平均寿命と健康寿命のギャップ
日本は世界有数の長寿国ですが、実際には「平均寿命」と「健康寿命」には約10年の差があります。
- 平均寿命:男性81歳、女性87歳前後。
- 健康寿命:男性72歳、女性75歳前後。
つまり、多くの人は最後の10年間を病気や介護が必要な状態で過ごしているのです。理想は「ピンピンコロリ」、最後まで元気で過ごし、最期は短い期間で旅立つこと。そのためには、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが欠かせません。
サルコペニアとフレイルとは?
健康寿命を縮める大きな要因が「サルコペニア」と「フレイル」です。
- サルコペニア:加齢により筋肉量・筋力が低下し、身体機能が衰える状態。転倒や寝たきりのリスクを高める。
- フレイル:サルコペニアに加え、気力や精神面の低下が重なり、心身ともに脆弱になる状態。
まず筋力が落ちてサルコペニアが進行し、やがてフレイルに至ります。どちらも放置すれば「要介護状態」につながるため、早期の対策が重要です。
2025年版「サルコペニア・フレイル栄養管理ガイドライン」
2025年に公開された「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン」は、最新の研究成果をもとに作成されています。その特徴は…
- 科学的根拠に基づく:国内外のエビデンスを整理。
- シンプルで実践的:今日から取り入れられる食事や運動が明示。
- 薬では防げない:生活習慣の改善が唯一の予防策。
特に「薬で予防も治療もできない」という事実が強調されています。つまり、日々の食事と運動こそが最大の対策なのです。
栄養で予防するポイント、まずは意識することが大事

1. たんぱく質を十分に
筋肉維持に必須で、体重1kgあたり1.0〜1.2g/日が推奨。
(例:体重60kgなら60〜72g/日)
2. ビタミンDを確保
骨や筋肉を守り、免疫機能にも関与。不足しやすいため、魚・きのこ・日光浴、あるいはサプリも活用。
3. ミネラル(亜鉛・鉄)
エネルギー代謝や造血に不可欠。不足すると疲労感や気力低下の要因に。
運動で予防するポイント
筋肉は「使わなければ衰える」ため、適度な運動が必須です。
- 筋トレ:スクワットや腕立てで筋力維持。
- 有酸素運動:ウォーキングや水泳で心肺機能を維持。
- バランス運動:ヨガや太極拳で転倒予防。
運動は筋肉だけでなく気分を前向きにし、フレイル予防につながります。
医師自身が実践する工夫
- 平島先生:仕事終わりに水泳を継続。疲労回復や睡眠改善を実感。
- 秋山先生:日常的な運動習慣を意識し、心身のリズムを整える。
「疲れたから休む」よりも「適度に動く」方が疲れが取れ、健康寿命を延ばす近道になると強調しています。
まとめ
- 日本人の平均寿命と健康寿命には約10年の差がある。
- サルコペニア(筋肉の衰え)とフレイル(心身の脆弱化)が主な要因。
- 2025年の最新ガイドラインは、食事と運動の習慣改善が最大の予防策であると示している。
- 「今日から実践できる小さな習慣」が、未来の10年を変える。
📌 本記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師の見解と最新研究に基づき執筆しています。健康寿命を延ばす取り組みは、薬ではなく日々の生活習慣から始まります。
📝 用語解説
平均寿命:生まれてから死亡するまでの平均年齢。日本は世界トップクラスの長寿国。
健康寿命:介護を受けず、自立して生活できる期間のこと。平均寿命より約10年短い。
サルコペニア:加齢によって筋肉量や筋力が低下し、身体機能が衰える状態。
フレイル:サルコペニアに精神的・社会的な衰えも加わり、心身ともに脆弱になる状態。
ピンピンコロリ:最後まで元気に過ごし、短期間で亡くなる理想的な人生のあり方を表す言葉。
エビデンス:医学的に効果や因果関係を裏付ける科学的根拠。
栄養管理ガイドライン:専門学会などが最新研究をもとにまとめた食事・栄養に関する指針。
ビタミンD:骨や筋肉の健康、免疫機能の調整に重要な脂溶性ビタミン。
亜鉛・鉄:エネルギー代謝や造血に不可欠なミネラル。不足すると疲労や免疫低下につながる。
有酸素運動:ウォーキングや水泳など、心肺機能を高め脂肪燃焼にも効果がある運動。