平島医師
平島医師
薬局に行くと、胃薬だけでも種類が多くて迷いますよね。患者さんから『何を選べばいいですか?』ってよく聞かれるんですが、実際どうやって選ぶのがいいんでしょう?
秋山医師
秋山医師
本当にそうですね。今回は代表的な胃薬を“目的別”に分類してみました。どんな症状の時にどの薬が合うのか、わかりやすく整理しておくと、薬局でも“自分に合う胃薬”を選びやすくなります。
平島医師
平島医師
なるほど。つまり、“なんとなく”ではなく、自分の症状に合った薬を選ぶことが大事なんですね。
秋山医師
秋山医師
そうです。今日は漢方系・総合胃腸薬・消化酵素系・酸抑制系といった5つのタイプに分けて解説していきましょう。
胃痛=みぞおち~上腹部の痛み(差し込み・鈍痛・灼熱感)。主因は胃炎/潰瘍/機能性ディスペプシア/逆流など。黒色便・持続する強い痛み・体重減少・頻回の嘔吐は早急に受診。

    漢方系:胃の「動き」を整える。安中散・芍薬甘草湯・六君子湯

    漢方系の胃薬は、胃の動きを整え、胃もたれや胃の重さを軽減するタイプです。

    代表的なのが「大正漢方胃腸薬」や「六君子湯(りっくんしとう)」など。

    秋山先生によると、六君子湯は胃の中で分泌されるグレリンという食欲増進ホルモンを活性化させる作用があり、「食欲が出ない」「なんとなく胃が重い」といった人におすすめとのこと。

    一方で、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は「足のつり」に効くイメージがありますが、実は胃の筋肉をやわらげ、痛みを緩和する作用があります。胃の“こわばり”をやわらげるため、胃もたれやキリキリするような痛みにも効果的です。

    総合胃腸薬:症状が軽いときの「とりあえず一包」に

    次に、サクロン・パンシロン・セルベール・ソルマックといった総合胃腸薬

    これらは複数の成分をバランスよく含み、「胃酸を抑える」「粘膜を保護する」などの幅広い効果があります。

    秋山医師
    秋山医師
    このタイプは“とりあえず胃薬を飲みたい”という時に使いやすいですね。特徴が強くない分、作用はマイルドです。
    平島医師
    平島医師
    なるほど。処方薬で言うセルベックスやムコスタと同じ“粘膜保護剤”が入っているんですね。

    ロートエキスなどの制酸成分が含まれている製品もあり、胃酸過多による胸やけや二日酔い時のムカムカ感にも効果的です。

    ただし、明確な症状がある場合は、このタイプだけに頼らず、原因に合った薬を選ぶのが理想です。

    消化酵素系:食べすぎ・ピロリ菌治療後の胃もたれに◎

    秋山先生が「個人的にも好き」と語るのが、太田胃散やキャベジンといった消化酵素タイプの胃薬です。

    これらは、胃の消化力が落ちている人にぴったり。特にピロリ菌治療後や、萎縮性胃炎で胃酸の分泌が減っている人に効果的です。

    太田胃散には、タンパク質や炭水化物を分解する酵素が含まれ、キャベジンには脂肪分解酵素リパーゼも配合。

    食後の胃もたれを軽減し、外食前や食べすぎた日の“予防”にも使えます。

    酸抑制系:短期間なら有効。ただし長期使用は注意

    ガスター10やガストールなど、胃酸を抑えるタイプの薬(H2ブロッカー・M1ブロッカー)も広く知られています。

    胸やけや胃酸過多には効果的ですが、長期連用は避けるべきと平島先生は強調します。

    平島医師
    平島医師
    胃酸は食べ物の消化に不可欠なんです。強力に抑えすぎると、食べ物が消化できず腸に負担がかかり、ガスや腹部膨満感の原因になります。
    秋山医師
    秋山医師
    そうですね。2週間以上の使用は避けて、症状が続くようなら医療機関を受診してください。

    また、胃酸を抑えることで小腸内の細菌が増えやすくなり、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)を悪化させることも。

    これは医師の間でも注意が呼びかけられている点です。

    正露丸・ブスコパン:独自の作用を持つ“知る人ぞ知る胃薬”

    昔からある「正露丸」も、実は奥が深い薬です。

    主成分のクレオソートは木材(ブナや松など)を炭化して抽出したもので、腸内の水分調整や腸のぜん動運動の抑制に作用します。

    最近の研究では、寄生虫のアニサキスを不活化する効果も報告され、注目を集めています。

    一方、「ブスコパン」は胃のけいれん性の痛みを抑える薬

    神経の興奮による胃の過剰な動きを鎮め、突発的な痛みを和らげます。腸内環境を改善します。
    これにより感染症予防やアレルギー改善などにつながるのです。

    秋山医師
    秋山医師
    痛いときだけ頓服で飲むのがおすすめです。効けば“胃のけいれん”が原因と分かりますし、効かなければ他の疾患を疑える。診断の一助にもなる薬ですね。
    生魚・生イカなどに寄生する線虫(アニサキス)の幼虫を摂取して起こる急性の食中毒です。幼虫が胃や腸の壁に刺入して強い炎症を起こします。

    まとめ 自己判断ではなく“症状に合った使い分け”を

    胃薬と一口にいっても、目的・成分・作用機序はさまざま。

    軽い胃もたれには漢方系、食べすぎには消化酵素系、胸やけには一時的に酸抑制系など、正しい使い分けが重要です。また、2週間以上症状が続く、体重減少や黒い便などの症状がある場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。

    「“なんとなく胃が重い”を放置しないこと。胃の不調は生活習慣病や感染症のサインであることもあります。」

    【迷ったらコレ!完全ガイド】胃薬の選び方〜まとめ あなたにぴったりの薬は? 長期服用は危険?現役医師お勧め市販で買える胃薬

    症状別・選び方の“地図”

    • 胃が張る・重い・ストレスでキリキリ漢方系(安中散系/六君子湯)
    • 軽いムカムカ・二日酔い気味総合胃腸薬(制酸+保護)
    • 食べ過ぎ・脂っこさ・翌朝のもたれ消化酵素(太田胃散/キャベジン)
    • 急な胸やけ・酸逆流ガスター10等で短期決戦→改善なければ受診
    • 下痢~便秘のゆらぎ・腸が動きすぎ正露丸
    • 差し込む痛み・けいれん感ブスコパン(頓服)

    受診のサイン:黒色便、吐血、体重減少、嚥下困難、夜間に目が覚める痛み、2週間以上の持続・再燃は迷わず医療機関へ

    飲み方の実践ヒント

    • 消化酵素は「外食前1回+就寝前1回」の予防・事後ケアがコツ。
    • 制酸・酸分泌抑制薬短期完結“切れ味”を頼ってダラダラはNG。
    • 鎮痙薬頓服。症状トレースの道具としても活用。
    • 漢方系やや穏やか体質・症状像に合えばフィット感が高い

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    市販薬やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください。

    📝 用語解説
    安中散(あんちゅうさん):胃の冷え・緊張をゆるめ、もたれや痛みを整える漢方。

    芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):筋のけいれんをゆるめる漢方。胃の筋層にも作用。

    六君子湯(りっくんしとう):胃の運動を整え、食欲ホルモン(グレリン)に作用する漢方。

    制酸薬:胃酸を中和し、ヒリつきやムカムカを和らげる成分群。

    粘膜保護薬:荒れた胃粘膜の表面を守り、修復を助ける成分群。

    ロートエキス:胃酸分泌をやや抑える植物性成分。

    スクラルファート:傷ついた粘膜に付着して保護する薬剤。

    消化酵素:食べ物(糖・脂・タンパク)を分解し、消化を助ける成分。

    H₂ブロッカー:胃酸を分泌する信号(ヒスタミンH₂受容体)をブロックする薬。

    M₁ブロッカー:副交感神経由来の酸分泌を抑える薬。

    SIBO(小腸内細菌異常増殖):小腸で細菌が増え過ぎ、ガス・膨満などが出る状態。

    木クレオソート:木材から得る成分。腸の水分分泌・運動を調整する。

    ブスコパン(鎮痙薬):胃腸のけいれんを緩める。痛い時だけ飲む“頓服”が基本。

    グレリン:胃から出る食欲ホルモン。胃運動にも関与。

    本記事は、動画の内容(タイムライン)を基に、一般向けに整理・解説したものです。自己判断での長期連用は避け、症状が続く/強い場合は必ず医療機関へ。妊娠・授乳中、基礎疾患や常用薬がある方は購入前に薬剤師・主治医へ相談してください。