平島医師
平島医師
朝晩は秋っぽいのに、昼はまだ残暑。体調を崩しやすい季節ですね。こんな時、どこから整えるのが近道ですか?
秋山医師
秋山医師
やっぱり“腸”です。腸の調子が崩れると全身に波及しますから。今日は久しぶりに、僕の好きなテーマ“酪酸菌”を。
平島医師
平島医師
出ました“スーパー善玉菌”。前に『自前の酪酸菌を育てよう』って話をしましたよね。改めて、効率よく増やす方法をもう一度整理しましょう。
秋山医師
秋山医師
いいですね!!実は日本人の腸内には酪酸菌がもともと多い。だから“外から足す”より“自前を育てる”が合理的。今日のキーワードは、水溶性食物繊維とレジスタントスターチ(冷やご飯)です。

    覚えておきたい基礎:酪酸菌とは?なぜ“スーパー善玉菌”なのか

    酪酸菌は、短鎖脂肪酸の一種「酪酸」をつくる腸内細菌の総称。京丹後市や沖縄・南大東島など長寿地域の腸内に多いことが報告され、近年注目度が急上昇しています。

    酪酸菌の主な特徴(会話内容の要点を整理)

    1. 芽胞(がほう)で守られている
      カプセルのような構造で身を守るため、胃酸や一部の抗生物質に強い→生きて腸まで届きやすい。
    2. 酪酸を産生する“要”
      自力で酪酸をつくるだけでなく、乳酸菌・ビフィズス菌がつくった乳酸を原料に酪酸へ作り替えることもできる“賢さ”がある。
    3. 粘膜上皮細胞エネルギー源になる
      酪酸は大腸の粘膜上皮細胞の主要な燃料ぜん動運動(腸の動き)を促すので、便通の改善にも寄与。
    4. バリア機能と粘膜免疫を高める
      粘液分泌を助けて腸のバリアを強化IgA(分泌型免疫抗体)を増やし、異物の侵入をブロック
    5. 免疫の“ブレーキ役”を後押し
      制御性T細胞(Treg)を活性化し、過剰でも不十分でもない“ちょうどいい免疫バランス”へ。
    6. 大腸がん抑制に関与
      細胞周期抑制、血管新生の阻害などを通じ、発がんの芽を抑える可能性が示唆。

    結論:酪酸菌は“腸の燃料づくり × バリア強化 × 免疫調整 × 発がん抑制”に横断的に関与。だからこそ自前を増やす価値が大きいのです。

    酪酸菌とは、腸内で酪酸を生成する善玉菌の総称です。酪酸は腸の粘膜細胞の主要なエネルギー源となり、腸内環境を整えたり、免疫機能を高めたりする働きがあります。※画像はイメージです

    何を食べれば“自前の酪酸菌”は増える?—今日からできる食べ方のコツ

    1)まずは“エサ”を足す:水溶性食物繊維

    海藻(わかめ・昆布)/きのこ(なめこ等)/玄米は、酪酸菌の絶好のエサ。
    「みそ汁に海藻ときのこを入れる」「主食を玄米にする」など、いつもの一杯で“腸活仕様”に。

    2)“ズボラでも効く”切り札:レジスタントスターチ(RS)

    • レジスタントスターチ=難消化性でんぷん。大腸まで届き、酪酸菌のエサになる。
    • 作り方は簡単: 炊いたご飯をいったん冷やすだけでOK(冷蔵・冷凍どちらでも)。
    • ポイント: 一度冷やせば、再加熱してもレジスタントスターチは残るので、温かくおいしく食べられる
    • 目安量: レジスタントスターチ1日10〜20gで酪酸菌が増えやすい。
      • 私たちは普段の食事で平均約6gは摂取。
      • 冷やしてからチンしたご飯1杯 ≒ レジスタントスターチ約3g → 朝・昼で2杯なら+6g、合計12gも狙える。
    • 応用: 玄米を冷やしてからチンすれば、レジスタントスターチ+食物繊維で“二刀流”。
    • お弁当も味方: いったん冷めるので自然とレジスタントスターチが増える

    つまり、「炊いたら一度冷ます」が最短最強のコツ。味はそのままで、腸は喜ぶんですね!!

    冷やご飯は腸活に◎。温め直してもレジスタントスターチ効果は持続します。

    3)習慣化のヒント

    • 週末に小分け冷凍→平日はチンするだけ
    • みそ汁に海藻+きのこを“常に”入れる。

    主食は白米→玄米へスライド(全部が無理なら“ハーフ玄米”から)。

    よくある疑問:サプリを“足す”より、まず“育てる”が合理的?

    市販の“酪酸菌サプリ”は菌数が限られるうえ、自前の酪酸菌が増えるときの総合力には及びにくい、というのが現場の実感。
    一方、水溶性食物繊維+レジスタントスターチはコストがかからず、明日から始められる

    まずは「冷やしてチン」「みそ汁に海藻ときのこ」「主食を玄米寄りへ」。
    これだけで腸内の“エコシステム”が回り出す——秋山先生、平島先生の“推し”はここです。

    玄米は食物繊維とレジスタントスターチが豊富。酪酸菌の餌となり、腸内での増殖をしっかり後押しします。平島先生、秋山先生も玄米を日々の食事で摂っています。

    まとめ:今日からできる“酪酸菌を育てる三本柱”

    1. エサを足す:海藻・きのこ・玄米など水溶性食物繊維を毎日。
    2. 冷やしてチンレジスタントスターチで手間なく“腸活加速”。
    3. 続ける毎日少量でも更新し続けることが最大のコツ。

    「外から足す」より「中で育てる」。自前の酪酸菌を味方に、季節の変わり目を軽やかに乗り切りましょう。

    参考の料理アイデア(手間を増やさず“腸活”化)

    • みそ汁にわかめ+なめこを“常連”化
    • 主食は玄米を炊いて小分け冷凍→チン
    • 冷やご飯(または冷凍→チン)でRSを上乗せ

    “冷ましてから温める”——たったこれだけで、あなたの腸に毎日ごほうび。今日から、無理なく始めましょう。

    📌この記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師監修のもと作成しました。
    市販薬やサプリメントの利用については、基礎疾患や持病のある方は必ず主治医にご相談ください

    📝 用語解説
    酪酸菌:短鎖脂肪酸の一種酪酸を産生する腸内細菌群。腸のバリア・免疫・ぜん動を支える“スーパー善玉菌”。

    酪酸:大腸粘膜の主要エネルギー源。バリア強化、ぜん動促進、抗炎症・発がん抑制に関与。

    短鎖脂肪酸(SCFA):酢酸・プロピオン酸・酪酸など。食物繊維を腸内細菌が発酵して産生。

    芽胞(がほう):細菌が耐性を高める殻のような構造。酪酸菌は芽胞形成で胃酸に強い。

    水溶性食物繊維:水に溶けて発酵されやすい繊維。海藻・きのこ・オクラ・ごぼうなどに多い。

    レジスタントスターチ(RS):難消化性でんぷん。冷やご飯などに多く、再加熱しても有効

    IgA(分泌型免疫グロブリンA):腸管表面で異物侵入を防ぐ“粘膜免疫”の主役。

    制御性T細胞(Treg):免疫の“ブレーキ役”。過剰反応を抑え、ちょうどよい免疫バランスを保つ。

    ぜん動運動:腸が波打つように動いて内容物を送る動き。酪酸はこのエネルギー源になる。

    長寿地域と腸内細菌:京丹後市・南大東島など長寿で知られる地域では酪酸菌が多いとの報告がある。