平島医師
平島医師
秋山先生は相変わらず運動されていますか?
秋山医師
秋山医師
していますよ。僕は朝のジョギングです。やっぱり朝ランが気持ちいいですね。
平島医師
平島医師
私は夜スイム派ですね。週4〜5回は泳いでいます。運動ってやっぱり大事ですよね。
秋山医師
秋山医師
運動は健康に良いことは誰もが知っていますが、実際に「どれくらいの量」「どんな運動」をすればいいのかは、意外と知られていませんよね。
平島医師
平島医師
誰でもできるウォーキング。中でも多くの人が気になるのが“1日1万歩”という定説。本当に1万歩が必要なのでしょうか? 最新のデータから今回はこちらのテーマについて詳しく解説していきます。

    運動で分泌される“健康ホルモン”たち

    運動が体に良い理由の一つが、「ホルモンの分泌」です。
    運動をすると体内で多くのホルモンが分泌され、さまざまな健康効果をもたらします。

    成長ホルモン

    骨や筋肉の維持、脂肪代謝の促進、アンチエイジング効果などが期待できます。
    年齢とともに分泌が減るため、適度な運動で維持することが大切です。

    テストステロン

    男性ホルモンの代表格。筋肉や骨の強化、意欲や集中力の維持に関係します。
    中高年男性では分泌が低下し「男性更年期障害」の原因にもなるため、運動によって自然に増やすことが推奨されています。

    セロトニン(幸せホルモン)

    心を落ち着かせるホルモンで、うつ病予防にも関係します。
    時間が経つと睡眠ホルモン「メラトニン」に変化し、睡眠の質を高めます。

    ドーパミン・エンドルフィン

    運動後の爽快感や“ランナーズハイ”を引き起こすホルモン。気分を高め、ストレスを軽減します。

    マイオカイン(SPARCとも呼ばれる)

    筋肉から分泌されるホルモン群で、現在30種類以上が確認されています。
    中でも「SPARC(スパーク)」は大腸がんや糖尿病を予防することが分かっています。
    下半身の筋肉を使う運動(ウォーキングやスクワットなど)で特に分泌されやすいため、脚を動かす運動が推奨されています。

    秋山医師
    秋山医師
    マイオカインは下半身の大きな筋肉から多く出るんですよ。全身の筋肉の7割が下半身にありますからね。歩いたり軽く走るだけでも効率よく分泌されます。
    ウォーキングは関節負担が少なく心肺・代謝を無理なく強化。年代性別問わず安全に続けられ、筋力維持にも役立つ有酸素運動。

    運動しすぎは逆効果?活性酸素にも注意

    「運動すればするほど健康にいい」と思われがちですが、実はやりすぎも問題です。
    一定の量を超えると、体内で活性酸素が過剰に発生し、細胞の老化や炎症の原因になります。
    つまり、“ほどほど”の運動量が最も健康効果が高いのです。

    平島医師
    平島医師
    ちなみに私は30分以上のランニングは控えております!めちゃくちゃ運動してもホルモンが際限なく出るわけではありません。一定量を超えると分泌も頭打ちになりますし、体を酸化させるリスクもあります。
    医学的にも、フルマラソンなどの長い距離を日々走る運動は、活性酸素の過剰産生や長期的に細胞老化・炎症・免疫低下を招く恐れがあるとされている。

    最新研究が示す「最適な歩数」は7,000歩!

    「では、どの程度の運動がちょうどいいのか?」
    ここで注目すべき最新データがあります。

    2024年7月にオーストラリア・シドニー大学を中心とする研究チームが発表した大規模メタ解析では、
    2014年〜2025年2月までに発表された57件の研究を統合し、「1日の歩数と健康リスクの関係」を分析しました。

    その結果─

    • 2,000歩から少しずつ死亡リスクが低下
    • 5,000〜7,000歩で最も効率的にリスクが下がる
    • 7,000歩を超えると効果は緩やかになる

    つまり、「7,000歩が健康に最も効率的」という結果が得られたのです。

    歩数ごとのリスク低下率(主な疾患別)

    疾患・指標リスク低下率
    全死亡率約47%低下
    心血管疾患の発症約25%低下
    心血管疾患による死亡約47%低下
    がんによる死亡約37%低下
    2型糖尿病の発症約14%低下
    認知症約38%低下
    うつ病約22%低下
    転倒リスク約28%低下

    「1万歩歩かないとダメ」というイメージは根強いですが、実際には7,000歩前後で十分な健康効果があることが分かります。

    “ゆっくり歩き”では効果が薄い? ウォーキングの質も大切

    研究では歩くスピードや強度についての明確な基準はありませんでしたが、
    平島先生はこう強調します。

    平島医師
    平島医師
    「患者さんによく言うのは、ゆっくり歩いても意味がないということ。 少し息が上がる程度の“早歩き”がウォーキングがおすすめです。」

    軽い疲労感を感じる程度の運動強度が、心肺機能や代謝を高め、より多くのホルモン分泌につながります。
    犬の散歩のような「のんびり歩き」では十分な効果が得られません。

    早歩きは心肺・代謝を効率強化、脂肪燃焼と血流改善。短時間で高い健康効果、免疫も後押し。認知機能や睡眠の質向上も期待できる。

    都市部と地方で異なる“歩数格差”

    秋山医師
    秋山医師
    都市部の人は通勤や乗り換えで自然に歩いていますが、地方だと車移動が多いですよね。
    平島医師
    平島医師
    確かに、車社会では歩数が極端に少なくなりがちです。 コンビニに行くにも車を使う生活では、日常的な運動量が圧倒的に不足します。
    秋山医師
    秋山医師
    駐車場を少し遠くに停めるなど、生活の中で“意識して歩く工夫”をするだけでも違いますよ。
    平島医師
    平島医師
    1万歩」と聞くとハードルが高く感じますが、7,000歩=約30分のウォーキング。 朝夕の通勤や買い物、ちょっとした散歩を意識するだけで十分達成できます。

    まとめ:目標は「1万歩」ではなく「7,000歩」でOK!

    今回の最新データと先生方の解説から分かることは―

    • 運動によって分泌されるホルモンが、心身の健康を保つ鍵
    • 1日7,000歩前後が最も効率的な運動量
    • やりすぎは逆効果、適度な運動を継続することが大切
    • 強度は“早歩き”が基本
    • 都市部でも地方でも「意識して歩く工夫」が重要
    秋山医師
    秋山医師
    僕は徒歩通勤なんです。スマホの歩数計を見たら、だいたい一日6,000〜7,000歩くらい歩いてますね。診療中もクリニック内を歩きますし、通勤の往復、約30分ぐらいで、これがちょうどいいと思います。
    平島医師
    平島医師
    7000歩くらいなら無理なくできるし、飽きずに続けられますね。 まずは、少しの距離でも歩くことを意識すること。この一歩が大事です!!

    📌 本記事は たまプラーザ南口胃腸内科クリニック/福岡天神内視鏡クリニック の医師による日々の診療で得られた知見や医学的エビデンスをもとに作成しています。

    7,000歩が最強説?最新データで解説 1万歩歩けない人も安心!健康効果の新常識 No.560

    参考:用語ミニ解説

    7,000歩(最適歩数) 最新研究で、全死亡や心血管リスク低下に“効率的”と示された目安の歩数。

    早歩き(中強度有酸素)少し息が上がる速さでのウォーキング。心肺機能・代謝・ホルモン分泌を高めやすい。

    マイオカイン 筋収縮で筋肉から出る生理活性物質の総称。代謝改善や抗炎症など全身に好 影響。

    SPARC マイオカインの一種。運動で分泌が高まり、がんや糖代謝に良い作用が報告される。

    成長ホルモン 筋骨維持や脂肪代謝を促す。加齢で低下しやすく、運動で分泌が高まる。

    テストステロン 筋力・骨密度・意欲を支えるホルモン。中高年で低下しやすく、運動が維持に有効。

    セロトニン/メラトニン 気分を安定させるセロトニンは、夜に睡眠ホルモンのメラトニンへ変換され睡眠の質を高める。

    ドーパミン/エンドルフィン 運動後の高揚感や“ランナーズハイ”に関与。ストレス軽減・意欲向上に寄与。

    活性酸素 過度な運動で過剰になると細胞酸化・炎症を促す。やり過ぎは逆効果の理由の一つ。

    メタ解析 複数研究を統合して全体傾向を評価する手法。歩数と健康影響の「総合的な結論」を導く。

    全死亡率 あらゆる原因による死亡の発生率。介入(歩数増など)の総合的な健康効果を測る指標。