代表的な整腸剤の市販薬と処方薬を比較してみました。
さて、腸活に欠かせないものといえば、整腸剤ですね。
皆さんも整腸剤を飲んでいる方多いのではないかと思います。

整腸剤は市販薬と処方薬があるのですが、市販薬でも処方薬でも購入できる整腸剤があります。
代表的なものが3つあるのですが、それは、ビオフェルミン、ミヤリサン、ビオスリーです。
患者さんから
「市販薬と処方薬ってどう違うんですか?」
とよく質問されます。
そこで今回は、3つの整腸剤の市販薬と処方薬の違いについてそれぞれ解説をしてきたいと思います!
それぞれの市販薬と処方薬で以下の項目を比較しました。
- 含まれている菌は?
- 使用されている菌は死菌か生菌か?
- 1錠あたりの菌数は?
- 生菌であれば、内服後にどれくらい生きて腸まで届くのか?
- 生菌であれば、どのくらい腸の中で生きていることができるのか?
そして市販薬と処方薬は以下のようにそれぞれ比較しています。
A.市販薬:新ビオフェルミンS(大正製薬) 処方薬:ビオフェルミン錠(大正製薬)
B.市販薬:強ミヤリサン錠(ミヤリサン製薬) 処方薬:ミヤBM(ミヤリサン製薬)
C.市販薬:ビオスリーHi錠(アリナミン製薬) 処方薬:ビオスリー配合錠(東亜薬品工業)
それでは解説していきます。
A.市販薬:新ビオフェルミンS(大正製薬) 処方薬:ビオフェルミン錠(大正製薬)
市販薬:新ビオフェルミンS(大正製薬) 15歳以上は1回3錠1日3回
処方薬:ビオフェルミン錠(大正製薬) 1回1~2錠 1日3回
含まれている菌は?
「新ビオフェルミンS」は3種類
・コンク・ビフィズス菌末18mg→Bifidobacterium bifidum
人の腸内に存在するビフィズス菌の代表的なビフィズス菌。
・コンク・フェーカリス菌末18mg→Streptococcus faecalis
人の腸内に存在する乳酸菌の代表。乳酸菌の中でも抜群にサイズが小さい菌。このため、一般的な整腸剤でよく使われている。
・コンク・アシドフィルス菌末18mg→Lactobacillus acidophilus
人の腸内に存在する乳酸菌の一種。酸(acid)を好む(philus)の名の通り、乳酸菌の中でも熱や酸に強いのが特徴で、生きて腸にまで届きやすい。
※「コンク」は「濃縮された」という意味
「ビオフェルミン錠」は1種類
・ビフィズス菌末12mg→Bifidobacterium bifidum
人の腸内に存在するビフィズス菌の代表的なビフィズス菌。
まとめ
- 新ビオフェルミンSはビフィズス菌と乳酸菌2種類の合計3種類が配合。
- ビオフェルミン錠はビフィズス菌1種類のみ。
- ビフィズス菌の種類はBifidobacterium bifidumなので同じということになる。
- 全て、腸内にもともと存在する菌を使用している。
使用されている菌は生菌か死菌か?
「新ビオフェルミンS」→3種類とも生菌を使用
「ビオフェルミン錠」→生菌を使用
まとめ
・どちらの製品も生菌を使用
1錠あたりの菌数はどれくらいか?
「新ビオフェルミンS」
コンク・ビフィズス菌末→18mg
コンク・フェーカリス菌末→18mg
コンク・アシドフィルス菌末→18mg
概ね1錠あたり20億個と言われている。これは3種類の菌の総数であり、それぞれの比率は分からない。
「ビオフェルミン錠」
Bifidobacterium bifidum→12mg
12mgで100万〜10億個程度と言われている。(インタビューフォームより)
つまり、1日6錠内服したとしても、最高で1日60億個程度の内服になる。
まとめ
- 新ビオフェルミンSは菌数は3種類で1錠約20億個。
- ビオフェルミン錠は1錠あたり100万~10億個である。
- そうなると、どちらの製品を飲んでも、1日60億個程度になる。
生菌であれば、内服後にどれくらい生きたまま腸まで届くのか?
「新ビオフェルミンS」
→食後は胃内のpHが中性になるので、ほとんどが影響を受けることなく生きて腸に届くことを確認している(大正製薬HPのよくある質問より)。
「ビオフェルミン錠」
→標準製剤(先発品)と同等、とインタビューフォームに書いてあるのみ。
まとめ
・新ビオフェルミンSは、食後であればほとんどが生きて腸に届く。ビオフェルミン錠も同じ会社であり、食後であればほとんどが生きて腸に届くという解釈で良いのではないか?
生菌は、腸の中でどれくらいの期間生きることができるのか?
「新ビオフェルミンS」
「ビオフェルミン錠」
→どちらも言及されていない。
ただし、
2016年に発表された論文報告によると、摂取したビフィズス菌入り整腸剤が、数ヶ月に渡り腸内に留まる人と、すぐにいなくなってしまう人に分かれる。
これは、腸内細菌の多様性の違いによるものであると示唆されている。
Maldonado-Gomez MX, et al:” Stable Engraftment of Bifidobacterium longum AH1206 in the Human Gut Depends on Individualized Features of the Resident Microbiome”Cell Host Microbe.2016 Oct12;20(4):515-526.
まとめ
・生菌がどれくらい腸の中で生きるかについては、どちらも言及されていない。
・ビフィズス菌入り整腸剤の生菌は、腸内細菌の多様性が高い人ほど、長期間生きることができるという報告がある。
| 含まれる菌 | 生菌か死菌 | 1錠の菌数 | 生きたまま腸に届くか | 腸の中で生きる期間 | |
| 新ビオフェルミンS1回3錠1日3回 | ①Bifidobacterium bifidum ②Streptococcus faecalis ③Lactobacillus acidophilus の3種類 | 生菌 | 約20億個 | 食後に内服すれば、ほとんど腸に届く | 記載なし |
| ビオフェルミン錠1回1~2錠1日3回 | Bifidobacterium bifidumのみ | 生菌 | 100万〜10億個程度 | 食後に内服すれば、ほとんど腸に届く | 記載なし |
新ビオフェルミンSとビオフェルミン錠のまとめ
・市販薬と処方薬で決定的に違うのは、含まれる菌の種類。その他の項目については大きな差はない。
・腸内細菌の多様性を考えて内服することや、長期間内服することを目的とするのであれば、3種類の菌を含む新ビオフェルミンSが良いと思われる。

B.市販薬:強ミヤリサン錠(ミヤリサン製薬) 処方薬:ミヤBM(ミヤリサン製薬)
市販薬:強ミヤリサン錠(ミヤリサン製薬)15歳以上は1回3錠 1日3回
処方薬:ミヤBM(ミヤリサン製薬)1日3~6錠を3回に分割投与
含まれている菌は?
「強ミヤリサン錠」1種類
1日9錠あたり
Clostridium butyricum 270mgを含む
人間の腸内に存在する酪酸菌
「ミヤBM錠」1種類
1錠あたり
Clostridium butyricum 20mgを含む
→1日6錠で換算すると、120mgとなる。
人間の腸内に存在する酪酸菌
まとめ
- どちらもClostridium butyricum1種類を使用。
- 人間の腸内に存在する酪酸菌である。
・市販薬と処方薬で、1日で摂取するmg数で比較すると、強ミヤリサン錠の方が多いことになるが、どちらも菌を培養した時に利用した物質が含まれているため純粋な菌量ではない。
使用されている菌は生菌か死菌か?
「強ミヤリサン錠」→生菌を使用
「ミヤBM錠」→生菌を使用
まとめ
・どちらも生菌を使用
1錠あたりの菌数はどれくらいか?
「強ミヤリサン錠」→1錠あたり1億〜10億個(電話問い合わせで確認)
「ミヤBM錠」→不明!
まとめ
・強ミヤリサン錠は、電話で問い合わせると教えてくれた。
強ミヤリサン錠が1日270mgで、多く見積もって10億×9錠=90億個。
そうするとミヤBM錠は1日120mgと考えるとこの半分以下なのだろうか。
生菌であれば、内服後にどれくらい生きたまま腸まで到達するのか?
「強ミヤリサン錠」→Clostridium butyricumは芽胞というカプセルのようなものに包まれており、熱や胃酸に強く、ほとんどが生きて腸まで届く。(電話問い合わせで確認)
「ミヤBM錠」
→不明
まとめ
- 強ミヤリサン錠はほとんどが生きて腸まで届くとのこと。
- ミヤBM錠も同じ会社で同じ菌を使用しており、同じ解釈で良いのではないかと思われる。
生菌は、腸の中でどれくらいの期間生きることができるのか?
「強ミヤリサン錠」→不明
「ミヤBM錠」→107個服用した健康な成人男子において、服用後1~2日以内に糞便中から検出され、3~5日後に糞便中から消失した。(添付文書より)
まとめ
・強ミヤリサン錠もミヤBM錠も、腸内で生きることができるのは服用後最大で5日程度と考えられる。
| 含まれる菌 | 生菌か死菌 | 1錠の菌数 | 生きたまま腸に届くか | 腸の中で生きる期間 | |
| 強ミヤリサン錠 1回3錠 1日3回 | Clostridium butyricum | 生菌 | 1~10億個 | 芽胞によりほとんどが生きて腸に届く | 記載なし |
| ミヤBM錠 1回1~2錠 1日3回 | Clostridium butyricum | 生菌 | 非公表だが同程度か少ない | 同上 | 5日程度 |
強ミヤリサン錠とミヤBM錠のまとめ
- 市販薬も処方薬もそこまで大きな差はない。
- 内服してから最大で5日で消失するので、毎日コツコツきちんと飲む必要あり。

C.市販薬:ビオスリーHi錠(アリナミン製薬) 処方薬:ビオスリー配合錠(東亜薬品工業)
市販薬:ビオスリーHi錠(アリナミン製薬)15歳以上は1回2錠1日3回
処方薬:ビオスリー配合錠(東亜薬品工業)1日3~6錠を3回に分割投与
含まれている菌は?
「ビオスリーHi錠」は3種類
6錠中に
酪酸菌150mg
ラクトミン(乳酸菌)30mg
糖化菌150mg
→これ以上は分からない!
「ビオスリー配合錠」は3種類
1錠中に
酪酸菌Clostridium butyricum 10mg
→人の腸内に存在する酪酸菌。
ラクトミン(乳酸菌)Enterococcus faecium 2mg
→短時間で増殖する能力を持つ乳酸菌。人の腸内にも存在する。また、胃酸の影響を受けにくく、生きたまま腸に届きやすい。1gあたり10億個とのこと。
糖化菌Bacillus subtilis 10mg
→自然の中から発見された菌。腸内で乳酸菌を増殖させる機能あり。また、腸内にもともと存在するビフィズス菌も増殖させる機能を持っている。
まとめ
- どちらも酪酸菌、乳酸菌、糖化菌の3種類を含む。
- 糖化菌は乳酸菌と、腸内に存在するビフィズス菌を増やす作用あり。
- 酪酸菌、乳酸菌は人由来の菌を使用。糖化菌は自然の中から発見された菌。
使用されている菌は生菌か死菌か?
「ビオスリーHi錠」→3種類とも生菌を使用
「ビオスリー配合錠」→3種類とも生菌を使用
まとめ
どちらも生菌を使用
1錠あたりの菌数はどれくらいか?
「ビオスリーHi錠」→不明!
「ビオスリー配合錠」→不明!
まとめ
どちらも不明なので分からない!
生菌であれば、内服後にどれくらい生きたまま腸まで到達するのか?
「ビオスリーHi錠」→不明!
「ビオスリー配合錠」
(添付文書より)
人工胃液、人工腸液下では
酪酸菌と糖化菌は菌数は安定。
ラクトミンは、pH3.0以上であれば菌数は安定。
→つまり、食後であれば、3種類ともほぼ生きたまま腸まで到達すると予想される。
まとめ
おそらく、どちらの製品も食後であれば、3種類ともほぼ生きたまま腸まで到達すると予想される。
生菌は、腸の中でどれくらいの期間生きることができるのか?
「ビオスリーHi錠」→不明!
「ビオスリー配合錠」
(添付文書より)
ラットの排泄試験。
1日2回、7日連続経口投与後、糞便中の菌数を調べた。
休薬後72時間で乳酸菌、糖化菌は検出限界以下。
酪酸菌は48時間後に検出限界以下。
まとめ
おそらくどちらの製品も、内服後2~3日しか腸内に生存できないと思われる。
| 含まれる菌 | 生菌か死菌 | 1錠の菌数 | 生きたまま腸に届くか | 腸の中で生きる期間 | |
| ビオスリーHi錠 1回2錠 1日3回 | ①Clostridium butyricum ②Enterococcus faecium ③Bacillus subtilis | 生菌 | 不明 | 不明 | 記載なし |
| ビオスリー配合錠 1回1~2錠 1日3回 | ①Clostridium butyricum ②Enterococcus faecium ③Bacillus subtilis | 生菌 | 不明 | 食後に内服すれば、ほとんど腸に届く | 2~3日 |
ビオスリーHi錠とビオスリー配合錠のまとめ
- 市販薬と処方薬で大きな差はないが、1錠あたりの菌のmg数は市販薬の方が多い。単純に考えると、市販薬の方が1錠あたりの菌数は多いかもしれない。
- 腸の中で生きる期間が非常に短いため、毎日きちんと飲む必要がある。

総括
市販薬、処方薬でもメジャーな整腸剤3種類をそれぞれ比べてみましたがいかがでしょうか?
個人的な感想としては、市販薬と処方薬にそこまで大きな差はないと感じましたが、公にされていない情報も多く、決定的なことが言えないのが現状です。ただ、すぐに手に入れることができるのは市販薬ですので、まずは市販薬から利用してみるのが良いのではないかと思います。