糖尿病の予防や血糖値コントロールは、「我慢」ではなく「工夫」で大きく変えることができます。
今回は内視鏡チャンネルで人気の 平島先生 と 秋山先生 が、普段の診療や自身の生活習慣から感じている「血糖値を上げない食べ方・運動のコツ」について語り合います。

記事の冒頭は、実際の動画でも印象的だったお二人の軽妙な掛け合いから始めます。

    平島医師
    平島医師
    前回の動画では、血糖値を一気に上げる食べ物の話をしましたよね。和菓子とか液体の糖質とか。
    秋山医師
    秋山医師
    コーラとかエナジードリンクとか、あれ本当に吸収速いんですよね。噛まなくていいから。飲むヨーグルトも意外と血糖値の乱高下を起こします。
    平島医師
    平島医師
    そうそう。みんな“健康的”と思ってるカフェラテも実は糖質が多い。血糖とインスリンのダブルパンチですね。また、驚きなのがカレーライス。「カレーは糖質と脂質のフルセット」なんです!
    秋山医師
    秋山医師
    今日はさらに、前回の続きとして、私たちが大好きな“納豆”の話を中心に、血糖値を上げにくい食べ方を深掘りしていきたいと思います。

    納豆は「血糖値対策のスーパーフード」

    納豆は日本を代表する発酵食品であり、血糖値の急上昇(いわゆる血糖値スパイク)を防ぐ最強の食材とも言えます。

    ●ポイント①:ネバネバの主成分「ポリグルタミン酸」が糖の吸収をゆっくりに

    納豆の糸を引くネバネバは ポリグルタミン酸 という物質で、
    ・糖の吸収スピードを落とす
    ・食後血糖値の上昇をゆるやかにする
    という研究結果も多数あります。

    ●ポイント②:血液サラサラ作用で動脈硬化予防にも

    納豆に含まれる酵素 ナットウキナーゼ は血栓を溶かす働きが知られ、
    高血圧・心筋梗塞・脳梗塞のリスクを下げるという点でも優秀。

    納豆のネバ=ポリグルタミン酸。糖の吸収にブレーキ!

    納豆と相性抜群の“発酵・ネバネバ”コンビ

    平島先生と秋山先生が「最強の組み合わせ」と語るのが以下の3つです。

    ①キムチ(発酵キムチ)

    10日間発酵させたキムチを摂ると インスリン抵抗性が改善した という研究があります。

    特に納豆のポリグルタミン酸と乳酸菌の相乗効果で
    血糖コントロールの効果が飛躍的にアップ

    ※ただし、市販には「和えただけ」の“キムチ風味”も多いため、
    乳酸菌の効果を得たいなら“発酵キムチ”のマークがある商品を選ぶことが大切。

    ラベルの「発酵」を確認。キムチ“風味”は別物です
    ②モズク・メカブ・オクラ(すべて水溶性食物繊維)

    これらは 水溶性食物繊維が非常に豊富
    腸内でゲル状になり 糖の吸収を二重でガード してくれます。

    さらに、水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなり
    → 短鎖脂肪酸(酪酸など)が増える
    → インスリン抵抗性が改善する
    という腸内環境のメリットも大きい。

    納豆のネバネバと合わさることで「一石何鳥!?」レベルの効果。

    ③お酢(酢酸)

    酢酸には
    食後の血糖値上昇をゆるやかにする作用
    が示されており、納豆に少し垂らして食べるのもおすすめ。

    特に重要なのは、食後すぐの血糖値よりも
    “食後2時間値が140mg/dL以内”に収まること。たまにつけている人がいる「FreeStyleリブレ」でも、
    この“2時間値”を重視する人がもっと増えてほしいと語っていました。

    卵・しらす・じゃこも血糖値を穏やかにする

    納豆と合わせて食べるとさらに効果的なのが「卵」「しらす」「じゃこ」。

    ●卵(高タンパク質で血糖の急上昇を抑える)

    卵はタンパク質が豊富で、食事全体のGI値(上昇速度)を下げる働きがあります。

    ●しらす・じゃこ

    ・カルシウム・マグネシウム
    → インスリン分泌のスイッチを入れる
    ・EPA・DHA
    → インスリン抵抗性を改善

    平島先生は「納豆+卵+しらす」の組み合わせが大好物とのこと。
    確かに最強です。

    食後は“2〜3分の運動”で劇的に変わる

    食事の工夫と並んで重要なのが 運動

    ただし「1〜2時間歩く」必要はありません。

    先生たちが口をそろえて言うのが
    食後2〜3分でいいから、下半身の筋肉を使う運動をすること」。

    ●かかと上げ(ヒラメ筋・ふくらはぎ強化)
    1. かかとを上げた状態で3秒キープ
    2. ゆっくり下ろす
      → 30回×3セット

    ふくらはぎは“第2の心臓”。血流が改善し、糖の取り込みも促進されます。

    ●スロースクワット(大腿・臀筋を刺激)

    ・足を肩幅1.5倍に開く
    ・7〜10秒かけてゆっくり下げる
    → 時間をかけて筋肉が伸ばされる時に大きく刺激される

    椅子を使っても良いため高齢の方でも可能。

    ●太もも上げ(腸腰筋を刺激)

    イスに深く座り、膝を胸に引き寄せるイメージで交互に上げるだけ。

    インナーマッスルが刺激され基礎代謝が上がり、ダイエットにも良い運動です。

    動画で秋山先生が実践してくれてますので、ぜひご覧ください。

    我慢ではなく“小さな工夫”の積み重ねで血糖値は変わる

    最後に先生たちが強調していたのは、
    「糖尿病との向き合い方は、我慢ではなく置き換え・工夫で変わる」ということ。

    • 納豆に発酵キムチを混ぜる
    • モズクやオクラを1品追加する
    • 卵やしらすを組み合わせてタンパク質を強化
    • 食後2〜3分だけ、かかと上げやスロースクワットをする

    こうした“小さな習慣”の積み重ねが、
    血糖値スパイクを防ぎ、未来の合併症を遠ざける最も確実な方法です。

    大がかりなことをしなくても、今日からできることばかり。
    ぜひ、生活の中に少しずつ取り入れてみてください。

    📝 用語解説

    • 血糖値スパイク:食後に血糖が急上昇・急降下する現象。動脈硬化や倦怠感の原因になる。
    • インスリン抵抗性:インスリンが効きにくい状態。血糖が下がりにくく、糖尿病リスクが高まる。
    • ポリグルタミン酸:納豆のネバネバ成分。糖の吸収をゆるやかにし、食後血糖の上昇を抑える。
    • ナットウキナーゼ:納豆由来の酵素。血栓溶解を助け、血流・動脈硬化リスクの改善に寄与。
    • 水溶性食物繊維:モズク・メカブ・オクラなどに多い。腸でゲル化し糖の吸収を遅らせる。
    • 短鎖脂肪酸(酪酸など):善玉菌が食物繊維を発酵して産生。腸の炎症を抑え、インスリン感受性を改善。
    • 発酵キムチ:「キムチ風味」ではなく乳酸菌が生きている本物のキムチ。腸内環境と血糖コントロールを後押し。
    • 酢酸:お酢の主成分。胃排出を遅らせ、食後血糖の上昇を緩やかにする作用がある。
    • GI値:食品が血糖をどれだけ速く上げるかの指標。低GIほど血糖上昇は緩やか。
    • FreeStyleリブレ:装着型の持続血糖測定器(CGM)。食後2時間の血糖推移を可視化できる。
    • かかと上げ(カーフレイズ):ふくらはぎ(ヒラメ筋)を使う簡単運動。食後の糖取り込みを促す。
    • スロースクワット:ゆっくり下げる筋トレ法。大腿・臀筋を刺激し、食後高血糖の抑制に有効。
    納豆 血糖値 血糖スパイク 短鎖脂肪酸 GI値
    血糖値の爆上げを防げ 納豆×発酵でゆっくり吸収 モズク・メカブ・オクラで二重ガード 糖尿病予防の食事と運動・実践ガイド 後編 No.573