オメガ9・6・3の違いと“加熱/仕上げ”の使い分けが基礎体力
不飽和脂肪酸は、二重結合の位置でオメガ9・6・3に分かれます。違いはシンプルに言えば「酸化のしやすさ」と「体内での働き方」。日々の調理では、酸化しにくいオメガ9を加熱用の主力に。いっぽうで、熱に弱いオメガ3は非加熱で“かける”が鉄則です。現代の食卓で過剰になりがちなオメガ6は、炎症や血の固まりやすさに傾きやすく、腸粘膜にも負担がかかります。まずは台所の油を「加熱用」「仕上げ用」に分ける。これだけで腸・血管・脳の土台づくりが始まります。
まとめると…
・オメガ9(例:オリーブ、なたね、米、アボカド)
– 比較的酸化しにくい。加熱向き。
– LDLを下げHDLを保ちやすい性質が知られる。遮光・酸素遮断容器を選ぶと安心。
・オメガ6(例:サラダ油、コーン、ひまわり、紅花、ごま など)
– 熱と酸化に弱い。加工食品や外食で過剰になりやすい。
– 炎症・凝固系に傾き、腸のバリアを傷めやすい。
– 結論:日常の“加熱用の主力”から外す。ごま油等は香り付けの少量だけ。
・オメガ3(例:青魚のEPA/DHA、アマニ油、えごま油)
– 極めて熱に弱い。非加熱で小さじ1を“かける”。
– 開封後は冷蔵、1〜2か月で使い切り。

MCTオイルは“即エネ・非加熱”。C8/C10と量のコツ
ここで、平島先生、秋山先生も毎日摂っているMCT(中鎖脂肪酸)について説明します。
MCT(中鎖脂肪酸)はココナッツやパーム核由来。分子が短く、小腸から門脈を通って肝臓へ直送され、一般的な油より素早くケトン体へ。体脂肪としてため込みにくく、朝の立ち上がりや作業前のエネルギー補給に向きます。
沸点が低く熱に弱いので“加熱はしない”。まずはティースプーン1から、コーヒーや青汁、サラダに。C8(カプリル酸)はケトン化が速い、C10(カプリン酸)は穏やか——初心者は両者が入った製品から、慣れたら目的に応じてC8比率を上げるのがおすすめです。
・使い方:非加熱で、朝の飲み物やサラダにティースプーン1から開始。
・狙い:素早いエネルギー化。ケトン体は脳の燃料にもなる。
・注意:加熱NG。初回から多量は避ける(お腹がゆるむことあり)。
・表示:原料は“ココナッツ/パーム核のMCT”を確認。菜種ベース等の混合は目的とズレます。
・C8/C10:より速さ重視ならC8、まずはバランス品→段階的に調整。

良質な油×ビタミンD×乳酸菌で、腸バリアを内外から建て直す
腸の元気は「炎症を鎮める」「バリアを補修する」「内側から養う」の3方向がかみ合うと強くなります。オメガ3は炎症のブレーキ役、ビタミンDはタイトジャンクション(細胞同士の密着部)の発現を後押しして“すき間”を補修、乳酸菌は悪玉を押さえて短鎖脂肪酸(酪酸など)を作り、腸上皮のエネルギー源として内側から粘膜を養います。ビタミンDは脂溶性で、油と胆汁酸が作る「ミセル」に取り込まれて吸収されます。サプリは“食後”に。良質な油と一緒に無駄なく取り込むのがコツです。
今日から台所でできること——“足す・替える・控える”の三手
難しい道具も特別メニューもいりません。台所の一本を置き換え、食卓でひとさじ“足す”。酸化に弱い油を“控える”。この三手で腸・血管・脳の環境は静かに整います。
まずは、加熱用をオメガ9へ総入れ替え。揚げ油の使い回しは避け、量も最小限に。仕上げ用はオメガ3を冷蔵で。味噌汁やサラダ、納豆に小さじ1をかけるだけでも十分です。
朝はMCTをティースプーン1、コーヒーや青汁に。ごま油などの香り油は最後に数滴だけ。ビタミンDは食後に、乳酸菌は“数”を意識して毎日続けましょう。

まとめ
油は“減らす対象”ではなく“選び直す対象”。
加熱はオメガ9、仕上げはオメガ3とMCT、そしてビタミンDと乳酸菌をセットで——これが腸のバリアと全身のめぐりを底上げする最短ルートです。まずはキッチンの棚を開け、過剰なオメガ6に卒業宣言。きょうの一食から、静かな改善を始めましょう。
📝 用語解説
- オメガ9脂肪酸:二重結合が1つで比較的酸化に強い不飽和脂肪酸。加熱向き。
- オメガ6脂肪酸:酸化しやすく、炎症・凝固系に傾きやすい不飽和脂肪酸。過剰に注意。
- オメガ3脂肪酸:熱に弱い不飽和脂肪酸。抗炎症・抗凝固に傾く。非加熱で摂る。
- MCTオイル:中鎖脂肪酸油。門脈から肝に直送され、素早くケトン体に変わる。
- C8/C10:MCTの主成分。C8はより速くケトン化、C10は穏やか。
- ケトン体:脂肪由来の代替エネルギー。脳の燃料にもなる。
- 門脈:腸で吸収した栄養を肝臓へ運ぶ太い血管。MCTはここを通る。
- ミセル:胆汁酸と脂質が作る微粒子。脂溶性ビタミン(Dなど)の吸収に必須。
- タイトジャンクション:腸上皮細胞の密着部。バリア機能の要。
- パイエル板:小腸の免疫組織。乳酸菌などの刺激で粘膜免疫を助ける。