なぜ「手洗い・うがい」だけでは不十分なのか
インフルエンザ対策と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは
手洗い・うがい・マスクでしょう。
もちろん、これらは基本中の基本です。
しかし秋山先生は、こんな疑問を投げかけます。
「これだけで本当に防げるなら、ここまで毎年流行しないはずですよね。」
実はインフルエンザウイルスは、皮膚ではなく“粘膜”から侵入します。
目・鼻・口・喉―
これらの粘膜は、ウイルスにとって「最も入りやすい入口」です。
だからこそ重要になるのが、粘膜を守るという視点。
ここから、医師自身が実際に行っている
9つのインフルエンザ予防習慣をご紹介します。

インフルエンザを物理的に防ぐ4つの習慣
① 湿度管理(40%以上を保つ)
インフルエンザウイルスは低温・乾燥を好む性質があります。
湿度が40%を下回ると、ウイルスの生存率が一気に上昇します。
そのため平島先生は、自宅・職場・旅行先でも湿度計を携帯しているようです。
加湿器はスチーム式(加熱式)一択と断言します。
「超音波式は手入れを怠ると、雑菌を撒き散らすリスクがあります」
スチーム式は水を沸騰させるため、
清潔な蒸気で室温も同時に上げられる点が大きなメリットです。
② 鼻呼吸(口呼吸を防ぐ)
鼻呼吸は、天然のマスク機能を持っています。
副鼻腔から分泌される一酸化窒素(NO)には、血管拡張作用と強力な抗ウイルス作用があります。
口呼吸になると、この防御機構が使えません。
そこでおすすめされているのが就寝時のマウステープ。
「朝の喉の痛みが劇的に減ります」医師自身も実践している方法です。
③ 口腔ケア(朝イチの歯磨き)
インフルエンザウイルスは、単独では細胞内に侵入できません。
カギを握るのが、歯周病菌が産生するプロテアーゼという酵素。
この酵素がウイルス表面を切断することで、ウイルスは初めて細胞内に侵入できます。
つまり、
口腔内が汚れているほど感染リスクが上がるのです。
寝ている間は歯周病菌が増殖するため、
朝食前の歯磨きが重要になります。
④ 手洗い+顔洗い
手洗いは多くの人が実践していますが、
顔洗いまで行っている人は少数です。
ウイルスは、目・鼻・口を触ることで粘膜に到達します。
帰宅後に顔をサッと洗うだけで、
粘膜接触のリスクを大きく減らせます。
さらに、あいうべ体操も推奨されています。
舌の筋力を鍛え、自然な鼻呼吸を促す簡単な体操です。

ウイルスを無力化する「化学的防御」5つの習慣
⑤ 緑茶を飲む
緑茶に含まれる
エピガロカテキンガレート(EGCG)は、
ウイルス表面の突起に結合し、
感染力を失わせます(不活性化)。
ポイントは
20分おきに一口。喉の粘膜に付着したウイルスが
細胞に侵入する前に、
胃へ流し込むイメージです。
⑥ ビタミンCの血中濃度を高く保つ
ビタミンCは白血球の働きを助け、免疫反応を支えます。
ただし水溶性のため、一度に大量摂取しても排泄されてしまいます。
分割摂取が重要です。
⑦ ビタミンD(4,000IU/日)
ビタミンDは免疫調整ホルモンとも言われ、抗菌ペプチド【カテリシジン】を誘導します。
日本人の約98%が不足しており、
1日4,000IUが推奨量として挙げられています。
⑧ 腸活
免疫細胞の約70%は腸に存在します。
重要なのは菌の種類よりも数。
免疫スイッチであるパイエル板を刺激するには、1日1兆個レベルが必要になります。
1兆個の乳酸菌は大きいヨーグルト約250個分に相当。
食べ物等で摂取するには現実的ではないので【ラクエイド】などのサプリを活用して欲しいいと秋山先生は話しています。
まとめ:インフルエンザ対策は「粘膜」を守る発想へ
インフルエンザ予防は、単なる「消毒」ではなく、
体の構造を理解した戦略が重要です。
医師たちが実践するこれらの習慣は、特別なものではありません。
今日から一つずつ取り入れることで、
感染しにくい体づくりにつながります。
インフルエンザ対策というと、
「流行ってから慌てて対策するもの」
「ワクチンを打てばひとまず安心」
と考えている方も多いかもしれません。
しかし今回お伝えしたように、インフルエンザの予防は
特別な治療や高価な方法ではなく、日々の生活習慣の積み重ねが何より重要です。
湿度を保つ、鼻で呼吸する、口腔内を清潔に保つ、腸内環境を整える、しっかり眠る―
これらはすべて、インフルエンザだけでなく、
風邪や他の感染症、さらには体調全般の安定にもつながる習慣です。
「全部やらなければいけない」と思う必要はありません。
まずは一つ、できそうなことから始めてみてください。
その小さな積み重ねが、結果的に感染しにくい体を作る最大の防御策になります。
忙しい日常の中でも続けられる“現実的な予防”として、
ぜひ今日から生活の中に取り入れてみてください。
📝 用語解説
- インフルエンザウイルス
毎年流行する呼吸器感染症の原因ウイルス。 - 粘膜
鼻・口・喉・目など、外界と接する防御組織。 - 一酸化窒素(NO)
副鼻腔で産生される抗ウイルス作用を持つガス。 - プロテアーゼ
タンパク質を分解する酵素。歯周病菌が産生。 - エピガロカテキンガレート(EGCG)
緑茶に含まれる抗ウイルス成分。 - 不活性化
ウイルスの感染能力を失わせること。 - ビタミンD
免疫調整に関与する脂溶性ビタミン。 - カテリシジン
体内で作られる抗菌ペプチド。 - パイエル板
腸管免疫を司る免疫組織。 - メラトニン
睡眠中に分泌される抗酸化・免疫調整ホルモン。