秋山医師
秋山医師
インフルエンザの予防法は色々お伝えしてきましたけど、実際には“かかってしまった後どうするか”で迷う方、多いですよね。
平島医師
平島医師
そうなんですよ。布団をたくさんかぶって汗をかけば治る、みたいな“自己流”が意外と多くて、実はそれが逆効果になることもあります。
秋山医師
秋山医師
小さい頃、熱が出たらとにかく温められた記憶、ありますよね。湯たんぽとか。
平島医師
平島医師
ありますあります。でも実は“熱の段階”によって、正解はまったく違うんですよね。今日はそこをしっかり整理してお伝えしたいと思います。

    インフルエンザに罹患した際、多くの方が悩むのが「熱が出たとき、どう対応すればいいのか」という点です。
    実は発熱はすべて同じではなく、体の中で起きている反応の段階(フェーズ)によって、正しい対処法は大きく変わります。本記事では、医師の視点から
    「発熱の3つの段階」と、それぞれに適したケア方法、さらに市販で入手できる漢方薬の使い分けについて、分かりやすく解説します。

    予防していても感染は起こり得る。大事なのは“熱が出てから”の動き方

    フェーズ1|寒気・悪寒がする「熱が上がり始めた段階」

    インフルエンザの初期には、

    • ゾクゾクする
    • 寒気が強い
    • まだ体温はそこまで高くない

    といった症状が現れます。

    なぜ寒気が出るのか?

    これは体が設定体温を引き上げ、ウイルスと戦う準備をしているサインです。
    体温を上げることで、ウイルスの増殖を抑え、免疫反応を活性化させようとしているのです。

    この段階の正しい対処法

    このフェーズでは、体を温めることが正解です。

    • 毛布を1枚増やす
    • 首・お腹・腰回りを冷やさない
    • 無理に汗をかかせようとしない

    昔ながらの湯たんぽも、このタイミングであれば理にかなっています。

    おすすめの漢方薬

    • 葛根湯(かっこんとう)
      発汗を促し、ウイルス排除をサポート。
      「汗をかく前のゾクッとする時」がベストタイミング。
    • 麻黄湯(まおうとう)
      関節痛や強い悪寒がある場合に有効。
      ただし動悸・胃部不快感が出ることがあるため、胃腸が弱い方や心疾患のある方は注意が必要です。

    ※平島先生も「個人的に好き」と語るほど、初期対応として評価の高い漢方です。

    ゾクゾク寒い“熱が上がり始め”は、まず温める。首・お腹・腰を冷やさないのがコツ

    フェーズ2|高熱が出きった「体に熱がこもる段階」

    次に訪れるのが、

    • 顔が赤くなる
    • 暑くて布団を蹴飛ばしたくなる
    • 汗が出る
    • 喉の痛みが強い

    といった状態です。

    この段階でやってはいけないこと

    ここでさらに温めるのはNGです。

    • 布団をかけすぎる
    • 厚着をさせる
    • 無理に汗をかかせる

    これらは脱水や熱中症のリスクを高めてしまいます。

    正しいケア方法

    • 首・脇の下・鼠径部(太ももの付け根)を冷やす
    • 手足が熱ければ布団から出す
    • 保冷剤や冷却グッズを活用

    ※冷えピタは「気持ちの問題」で、実際に体温を下げる効果は限定的です。
    太い血管が通る場所を冷やすことが重要です。

    おすすめの漢方薬

    • 桔梗湯(ききょうとう)
      喉の腫れ・痛みに特化。
      お湯に溶かし、うがいをするようにゆっくり飲むのがコツ。
    • 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
      熱・関節痛・吐き気などが混在する「こじれ始め」に有効。
      「葛根湯のタイミングを逃した後」に活躍します。

    フェーズ3|熱が下がった後の「回復期」

    解熱した後も、

    • 微熱が続く
    • 体がだるい
    • 食欲がない
    • 空咳が残る

    といった症状が出ることは珍しくありません。

    これは、体力・免疫力・消化機能が一時的に低下している状態です。

    この段階のポイント

    • 無理に食べなくてOK
    • 消化にエネルギーを使わせない
    • 体力回復を最優先に

    おすすめの漢方薬

    • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
      胃腸機能を整え、全身のエネルギーを補う。
      「熱は下がったけど、とにかくしんどい」時に最適。
    • 麦門冬湯(ばくもんどうとう)
      乾いた咳が長引く場合に。
      気道を潤し、しつこい空咳を鎮めます。

    全フェーズ共通で最も大切なこと 水分補給

    どの段階でも共通して重要なのが水分補給です。

    • 発汗による脱水予防
    • 回復スピードを左右する要素

    おすすめの飲み物

    • 経口補水液
    • ノンカフェインのお茶
    • こまめに「ちびちび」飲むのが理想

    入浴・食事について

    • 高熱・ふらつきがある時の入浴は避ける
    • 食欲がなければ無理に食べない

    秋山先生も「消化にエネルギーを使わせない方が回復が早い」と語っています。

    まとめ|正しい知識が“安心”につながる

    インフルエンザに対して、
    「これさえやれば完璧」という魔法の方法はありません。

    しかし、

    • 熱の段階を見極める
    • フェーズごとに対応を変える
    • 市販の漢方薬を正しく使う

    これらを知っているだけで、慌てず、安心して対処できるようになります。

    今回ご紹介した漢方薬は、すべてドラッグストアで入手可能です。
    “お守り代わり”に常備しておくのも一つの選択と言えるでしょう。

    📝 用語解説

    インフルエンザ
    インフルエンザウイルスによる急性感染症。高熱・関節痛・全身倦怠感が特徴。

    発熱
    免疫反応により体温が上昇する生体防御反応。

    悪寒
    体温を上げるために起こる寒さ・震えの感覚。

    脱水症
    体内の水分や電解質が不足した状態。高熱時に起こりやすい。

    葛根湯
    風邪の初期に用いられる漢方薬。体を温め発汗を促す。

    麻黄湯
    強い寒気や関節痛を伴う感染症初期に用いられる漢方。

    桔梗湯
    喉の炎症・腫れ・痛みに効果がある漢方薬。

    柴胡桂枝湯
    風邪がこじれた中期症状に使われる漢方。

    補中益気湯
    体力低下・食欲不振・疲労回復に用いられる漢方。

    麦門冬湯
    気道を潤し、乾いた咳を鎮める漢方薬。

    インフルエンザ
    【後編】インフル時の発熱の対処法、段階ごとのオススメ漢方 悪寒・高熱・回復期…熱の段階別ケア完全ガイド No.584