インフルエンザに罹患した際、多くの方が悩むのが「熱が出たとき、どう対応すればいいのか」という点です。
実は発熱はすべて同じではなく、体の中で起きている反応の段階(フェーズ)によって、正しい対処法は大きく変わります。本記事では、医師の視点から
「発熱の3つの段階」と、それぞれに適したケア方法、さらに市販で入手できる漢方薬の使い分けについて、分かりやすく解説します。

フェーズ1|寒気・悪寒がする「熱が上がり始めた段階」
インフルエンザの初期には、
- ゾクゾクする
- 寒気が強い
- まだ体温はそこまで高くない
といった症状が現れます。
なぜ寒気が出るのか?
これは体が設定体温を引き上げ、ウイルスと戦う準備をしているサインです。
体温を上げることで、ウイルスの増殖を抑え、免疫反応を活性化させようとしているのです。
この段階の正しい対処法
このフェーズでは、体を温めることが正解です。
- 毛布を1枚増やす
- 首・お腹・腰回りを冷やさない
- 無理に汗をかかせようとしない
昔ながらの湯たんぽも、このタイミングであれば理にかなっています。
おすすめの漢方薬
- 葛根湯(かっこんとう)
発汗を促し、ウイルス排除をサポート。
「汗をかく前のゾクッとする時」がベストタイミング。 - 麻黄湯(まおうとう)
関節痛や強い悪寒がある場合に有効。
ただし動悸・胃部不快感が出ることがあるため、胃腸が弱い方や心疾患のある方は注意が必要です。
※平島先生も「個人的に好き」と語るほど、初期対応として評価の高い漢方です。

フェーズ2|高熱が出きった「体に熱がこもる段階」
次に訪れるのが、
- 顔が赤くなる
- 暑くて布団を蹴飛ばしたくなる
- 汗が出る
- 喉の痛みが強い
といった状態です。
この段階でやってはいけないこと
ここでさらに温めるのはNGです。
- 布団をかけすぎる
- 厚着をさせる
- 無理に汗をかかせる
これらは脱水や熱中症のリスクを高めてしまいます。
正しいケア方法
- 首・脇の下・鼠径部(太ももの付け根)を冷やす
- 手足が熱ければ布団から出す
- 保冷剤や冷却グッズを活用
※冷えピタは「気持ちの問題」で、実際に体温を下げる効果は限定的です。
太い血管が通る場所を冷やすことが重要です。
おすすめの漢方薬
- 桔梗湯(ききょうとう)
喉の腫れ・痛みに特化。
お湯に溶かし、うがいをするようにゆっくり飲むのがコツ。 - 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
熱・関節痛・吐き気などが混在する「こじれ始め」に有効。
「葛根湯のタイミングを逃した後」に活躍します。

フェーズ3|熱が下がった後の「回復期」
解熱した後も、
- 微熱が続く
- 体がだるい
- 食欲がない
- 空咳が残る
といった症状が出ることは珍しくありません。
これは、体力・免疫力・消化機能が一時的に低下している状態です。
この段階のポイント
- 無理に食べなくてOK
- 消化にエネルギーを使わせない
- 体力回復を最優先に
おすすめの漢方薬
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸機能を整え、全身のエネルギーを補う。
「熱は下がったけど、とにかくしんどい」時に最適。 - 麦門冬湯(ばくもんどうとう)
乾いた咳が長引く場合に。
気道を潤し、しつこい空咳を鎮めます。
全フェーズ共通で最も大切なこと 水分補給
どの段階でも共通して重要なのが水分補給です。
- 発汗による脱水予防
- 回復スピードを左右する要素
おすすめの飲み物
- 経口補水液
- ノンカフェインのお茶
- こまめに「ちびちび」飲むのが理想
入浴・食事について
- 高熱・ふらつきがある時の入浴は避ける
- 食欲がなければ無理に食べない
秋山先生も「消化にエネルギーを使わせない方が回復が早い」と語っています。

まとめ|正しい知識が“安心”につながる
インフルエンザに対して、
「これさえやれば完璧」という魔法の方法はありません。
しかし、
- 熱の段階を見極める
- フェーズごとに対応を変える
- 市販の漢方薬を正しく使う
これらを知っているだけで、慌てず、安心して対処できるようになります。
今回ご紹介した漢方薬は、すべてドラッグストアで入手可能です。
“お守り代わり”に常備しておくのも一つの選択と言えるでしょう。
📝 用語解説
インフルエンザ
インフルエンザウイルスによる急性感染症。高熱・関節痛・全身倦怠感が特徴。
発熱
免疫反応により体温が上昇する生体防御反応。
悪寒
体温を上げるために起こる寒さ・震えの感覚。
脱水症
体内の水分や電解質が不足した状態。高熱時に起こりやすい。
葛根湯
風邪の初期に用いられる漢方薬。体を温め発汗を促す。
麻黄湯
強い寒気や関節痛を伴う感染症初期に用いられる漢方。
桔梗湯
喉の炎症・腫れ・痛みに効果がある漢方薬。
柴胡桂枝湯
風邪がこじれた中期症状に使われる漢方。
補中益気湯
体力低下・食欲不振・疲労回復に用いられる漢方。
麦門冬湯
気道を潤し、乾いた咳を鎮める漢方薬。