平島医師
平島医師
前回は大腸ポリープとお酒の関係についてでしたけど、今回は大腸がんのお話ですよね?
秋山医師
秋山医師
そうですね。今回は最新の論文をもとに、“どれくらい飲むと大腸がんのリスクが上がるのか”を具体的に解説していきます。
平島医師
平島医師
患者さんでも“毎日飲んでるけど大丈夫ですか?”ってよく聞かれますよね。
秋山医師
秋山医師
多いですね。実は“純アルコール量”を知らないまま飲んでいる方がほとんどなんです。
平島医師
平島医師
確かに…量より回数で考えてる人が多い印象です。
秋山医師
秋山医師
そこが今回の重要ポイントです。実は“飲み方”より“アルコール量そのもの”がリスクに直結しているんですよ。

    アルコールと大腸がんリスクの最新研究

    今回のテーマは、「アルコール摂取と大腸がんの関係」です。最新の研究では、約8万8000人を対象に、長期間の飲酒量と大腸がん発症の関係が解析されています。

    その結果、1日あたり約28gのアルコールを継続的に摂取している人は、大腸がんのリスクが約25%上昇することが明らかになりました。特に注目すべきは、直腸がんのリスクが顕著に高くなるという点です。

    ここで重要なのが「純アルコール量」という考え方です。

    例えば、

    • ビール350ml:約14g
    • ハイボール:約19g
    • ストロング系500ml:約36g

    つまり、ビールを2本飲むだけでリスク上昇ラインに到達することになります。

    さらに、興味深い結果として、過去に飲酒していた人でも禁酒すれば大腸ポリープのリスクは低下することが示されています。

    お酒の歴史・豆知識トリビア

    お酒の歴史は人類の歴史とほぼ同じと言われています。 最古のお酒は約9000年前の中国で作られた果実酒とされており、古代エジプトではビールが労働者への報酬として配られていました。

    🍶 豆知識① 日本酒は”噛んで”作られた? 日本最古の酒造りは、米を口で噛んで唾液の酵素で発酵させた「口噛み酒」。 映画『君の名は。』にも登場したことで話題になりました。

    🍷 豆知識② ワインは薬だった 古代ギリシャでは水より清潔とされ、医療目的で処方されていました。

    🍺 豆知識③ 禁酒法の皮肉 1920年代アメリカで施行された禁酒法は、逆に密造酒や犯罪組織を急増させるという皮肉な結果を招きました。

    「安全な飲酒量」は存在しないという事実

    従来は「少量の飲酒は健康に良い」という“Jカーブ理論”が広く知られていました。しかし現在では、この考えは見直されています。

    最新の見解では、
    アルコールに“安全な量は存在しない”とされています。

    さらに、2025年の研究では以下の7つのがんについて、
    「少量でもリスクが上がる」と報告されています。

    • 口腔がん
    • 咽頭がん
    • 喉頭がん
    • 食道がん
    • 肝臓がん
    • 大腸がん
    • 乳がん

    つまり、「少しなら大丈夫」という考え自体が、すでに古い可能性があるのです。

    アルコールが発がんを引き起こすメカニズム

    では、なぜアルコールはがんのリスクを高めるのでしょうか。
    主な原因は以下の3つです。
    ① アセトアルデヒドの発生
    アルコールは体内で分解される過程で「アセトアルデヒド」という物質になります。
    これは大腸ポリープの時と同様に、大腸がんのリスクを上げる大きな原因の一つとされています。
    ② 活性酸素の増加
    アルコールを代謝する過程で発生する「活性酸素」も、がんのリスクに関係しています。
    体内でアルコールが分解される際にこうした物質が発生すること自体が、リスクを高める要因になります。
    ③ 腸内環境の悪化
    アルコールは腸内環境にも影響を与えます。
    腸内環境が乱れることで、それ自体が大腸がんのリスクを上げる要因になると考えられています。

    また、「ワインの方が良いのではないか」「お酒の種類によって違うのではないか」と考える方も多いですが、
    今回の内容から分かるのは、お酒の種類は関係なく、純アルコール量に比例してリスクが上がるという点です。
    つまり、ビールでも焼酎でもワインでも、重要なのは種類ではなく「どれだけアルコールを摂取しているか」ということになります。

    純アルコール量とは

    お酒に含まれる「純粋なアルコールの量」をグラムで表したものです。
    飲み物の種類によってアルコール度数は異なるため、どれだけアルコールを摂取したかを正確に把握するための共通指標として使われます。

    計算式
    飲料量(ml)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8(アルコールの比重)

    具体例
    ビール 500ml(度数5%)→ 約20g
    ワイン 120ml(度数12%)→ 約11.5g
    日本酒 180ml(度数15%)→ 約21.6g

    厚生労働省は1日あたりの適度な飲酒量を純アルコール20g程度としています。 これを超えると、肝臓病・高血圧・がんなどのリスクが高まるとされています。
    日々の飲酒量を「杯数」ではなく純アルコール量で管理することが、健康的な飲酒習慣への第一歩です。

    見落とされがちなリスク:アルコールフラッシャー

    雑談の中でも話題に上がっていましたが、「顔が赤くなる体質(フラッシャー)」の方は特に注意が必要です。

    この体質の人は、アセトアルデヒドを分解する能力が低く、
    少量でも体内に有害物質が長く残るため、がんリスクが高まります。

    さらに危険なのが、
    「飲み続けているうちに慣れてしまう」ケースです。

    これは強くなったのではなく、
    体に負担をかけ続けている状態とも言えます。

    まとめ:今日からできる対策

    今回の内容をまとめると以下の通りです。

    • アルコールは大腸ポリープ・大腸がんのリスクを上げる
    • 毎日28g以上でリスクが明確に上昇
    • 特に直腸がんのリスクが高い
    • 安全な飲酒量は存在しない
    • 禁酒によりリスクは下げられる

    とはいえ、大腸がんは「多因子疾患」です。
    食事・運動・遺伝・加齢など様々な要因が関係します。

    そのため重要なのは、
    知った上でコントロールすること」です。

    例えば、

    • 純アルコール量を確認する
    • 1本減らす
    • 休肝日を作る

    このような小さな行動が、将来のリスクを大きく変えます。

    本の紹介

    動画内でも紹介されていた書籍では、腸と脳の関係や認知症予防について、会話形式でわかりやすく解説されています。
    実際の食事例や、日常生活で取り入れやすい内容も多く、「難しい知識を無理なく実践できる」構成が特徴です。
    さらに、コンビニや外食時の具体的なメニュー選びのポイントや、「どれを選べば腸に良いのか」といった実践的な判断基準も提示されており、迷いがちな日常の選択をサポートしてくれます。
    また、読者からの質問に答える形の内容や、動画では紹介しきれなかった補足情報にも触れられており、理解をより深められる一冊です。
    コンビニや外食でも選び方のヒントが得られるため、日々の習慣改善に役立つ実用性の高い内容となっています。是非ご覧ください。

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    用語解説

    1. 純アルコール量
      飲料に含まれるアルコールの実際の量(g)を示す指標。
    2. 大腸ポリープ
      大腸の粘膜にできる隆起で、一部はがん化する可能性がある。
    3. 大腸がん
      大腸に発生する悪性腫瘍で、日本でも増加しているがんの一つ。
    4. 直腸がん
      大腸のうち直腸部分にできるがん。飲酒との関連が特に強い。
    5. アセトアルデヒド
      アルコール分解時に生じる有害物質で、発がん性がある。
    6. 活性酸素
      細胞を酸化させる物質。過剰に増えると老化やがんの原因になる。
    7. 腸内環境
      腸内細菌のバランスや状態を指し、免疫や代謝に関わる。
    8. アルコールフラッシャー
      飲酒で顔が赤くなる体質。アルコール分解能力が低い。
    9. 発がん物質
      がんの発生を促進する物質。アルコールもその一つ。
    10. 多因子疾患
      複数の原因が重なって発症する病気。大腸がんも該当する。
    大腸がん
    今回は後編として、お酒と大腸がんの関係について、最新の研究報告をもとにわかりやすく解説します。前編では大腸ポリープと飲酒の関係を取り上げましたが、後編では大腸がん、特に直腸がんとの関連や、飲酒量、禁酒との関係、お酒の種類による違いなどを整理しています。毎日の晩酌が気になる方、お酒との付き合い方を見直したい方、大腸の健康に関心がある方はぜひご覧ください。※本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。