秋山医師
秋山医師
やっぱり「油=太る」のイメージが強いですよね。
平島医師
平島医師
そう。脳は乾燥重量の約6割が脂質なんですよ。日々摂取する“油の質”が細胞の質や老けやすさにまで影響するんです。
秋山医師
秋山医師
じゃあ何を選ぶかが大事ですね。飽和と不飽和、さらに不飽和はオメガ9/6/3に分かれる…ここ、混乱しがちですよね。
平島医師
平島医師
ポイントは酸化しやすさと体内での作用。加熱向きか、炎症を促すか鎮めるか。それで日常の使い分けが決まります。
秋山医師
秋山医師
結論から言うと、家庭の“常用油”は見直しした方が良いですか?
平島医師
平島医師
そうですね。外食や加工食品でオメガ6は勝手に増えます。家では減らす工夫を。これが腸と全身の炎症対策の第一歩になるんですよ!

    油はカロリー源以上の存在:細胞膜と脳は“油の質”で変わる

    私たちの体は約37兆個の細胞でできています。

    その細胞を包む「細胞膜」の主成分が脂質。脳は乾燥重量の約60%が脂質と言われ、日常的に摂る油の種類が、膜のしなやかさ(流動性)や情報伝達のスムーズさ、さらには老化スピードに影響します。

    脂質は大きく2系統。
    飽和脂肪酸:熱に強く酸化しにくい。固体になりやすい脂(例:動物性脂の一部、ココナッツ油など)。
    不飽和脂肪酸:光・熱・酸素で酸化しやすい。液体が多い。二重結合の位置でオメガ9/6/3に分類。

    油の良し悪しを左右するキーワードは「酸化」。酸化が進むと過酸化脂質が増え、活性酸素を介して細胞傷害や老化に傾きます。調理法と保管法まで含めて“油の質管理”を意識するのがコツです。

    実践の視点
    ・長く加熱する料理には酸化に強い油を。
    ・光・空気を避けて保管。遮光容器や酸素接触を抑える容器を選ぶ。
    ・“安い大容量”を長期常備は酸化リスク。家庭では小さめボトルを使い切る。

    オメガ9:日常の“火を使う料理”の主力にしやすい

    不飽和脂肪酸の中で比較的酸化に強いのがオメガ9.(代表:オレイン酸)。一価不飽和ゆえ二重結合が1つで、加熱安定性が高めです。炒め物など日常の加熱調理の“ベース油”として扱いやすく、悪玉コレステロールを下げ、善玉を保ちやすい報告もあります。

    選び方と使い方のコツ
    ・オリーブオイルのエクストラバージンなどは“酸度が低い”高品質品は生食(サラダ・仕上げ)で香りと抗酸化物質を活かす。
    ・加熱用は精製度の高いオリーブオイルや菜種油などでもよい。
    ・容器は遮光・酸素接触を抑える工夫があるものを。開封後は早めに使い切る。

    ワンポイント
    色の濃いボトルや、注ぐたびに空気の混入を減らすボトルは酸化対策に有効。価格だけでなく“容器設計”も選択基準なります。

    エクストラバージンは生食向き。香りと抗酸化成分を“仕上げ”で活かす

    オメガ6:現代食で過剰になりやすい“火種”。家庭での追加摂取は控えめに

    代表はリノール酸(サラダ油・コーン油・ゴマ油・紅花油 など)。熱と光に弱く酸化しやすいだけでなく、体内でアラキドン酸に変わり、プロスタグランジンやロイコトリエンといった炎症・凝固に関わる物質の材料になります。外食・加工食品に多く含まれるため、無自覚に過剰になりがちです。

    過剰が気になる理由
    ・慢性的な炎症の土台になり、アレルギー・自己免疫・血栓傾向や代謝悪化と関連が指摘されます。
    ・腸粘膜のバリア(タイトジャンクション)にも負担となり、腸漏れを助長する方向に働く可能性も。

    実践の視点
    ・家庭の“揚げ物用の大容量サラダ油”は見直し対象に。
    ・完全ゼロは不要ですが「足さない工夫」を心がける。
    ・香りを楽しむゴマ油などは“仕上げに少量”で風味付け。調理の主力にしない。

    ここが落とし穴
    現代の食環境では、何も意識しなくてもオメガ6過多になりがち。家庭内では“加点より減点”—“入れない・使わない”がいちばん効きます。

    高温調理+繰り返し使用は酸化が進みやすい。揚げ油の使い方は要注意

    オメガ3:炎症をしずめる“整える油”。加熱せず、生で足す

    代表はα-リノレン酸(アマニ油・エゴマ油)と、青魚のEPA・DHA。抗炎症・抗凝固方向に働き、オメガ6と拮抗して全身の炎症バランスを整える要。DHAは脳や網膜の細胞膜に多く、膜の流動性を高め情報伝達をスムーズにします。

    使い方と保管
    ・極めて熱に弱いので“絶対に加熱しない”。サラダ・冷ややっこ・味噌汁を火から下ろしてから数滴など“生で足す”。
    ・遮光瓶・個包装・箱入りなど、光と酸素を避ける設計のものを選ぶ。
    ・開封後は冷蔵保存。早めに使い切る。

    魚からも
    植物のα-リノレン酸は体内でEPA/DHAに変換されますが効率は低め。青魚(サバ・イワシ・サンマ等)を定期的に食べるのが良いでしょう。

    オメガ3(アマニ油・エゴマ油)は“加熱NG”。仕上げに少量プラス

    まとめ:家庭の“油環境”を3ステップで整える

    1. ベースを決める
       日常の加熱はオメガ9系を主力に。生食は高品質を少量ずつ。
    2. 減らす
       オメガ6(サラダ油・コーン油・ゴマ油・紅花油 など)の“追加摂取”を控える。香味油は仕上げに少量。揚げ物の頻度も見直し。
    3. 足す
       オメガ3を“生で毎日ちょい足し”。青魚を週数回、植物油は小さじ1程度を継続。

    ミニチェックリスト
    ・台所の“透明大容量ボトル”、眠っていませんか?
    ・遮光・小容量に入れ替え、開封日を書いて2〜3か月で使い切る。
    ・外食・総菜が多い日は、家ではオメガ6を“足さない”。
    ・サラダにアマニ油、味噌汁に一滴、納豆にオメガ3…“足し算”は生で。

    最後に
    油はカロリー以上に、細胞と脳の材料です。毎日の小さな選択の積み重ねが、腸の状態、炎症バランス、ひいては体調や気分まで変えていきます。まずは“家の一本”から見直してみてください。

    📝 用語解説

    飽和脂肪酸:二重結合を持たず酸化に強い脂肪酸。常温で固体傾向。

    不飽和脂肪酸:二重結合を持ち、光・熱・酸素で酸化しやすい脂肪酸。

    オメガ9:一価不飽和脂肪酸の総称。代表はオレイン酸。比較的加熱に強い。

    オメガ6:多価不飽和脂肪酸。代表はリノール酸。炎症・凝固方向の代謝物に変換されやすい。

    オメガ3:多価不飽和脂肪酸。α-リノレン酸、EPA、DHA。抗炎症・抗凝固方向に働く。

    酸化/過酸化脂質:油が劣化して生じる酸化産物。細胞障害や老化の一因。

    アラキドン酸:オメガ6由来の脂肪酸。炎症性メディエーターの材料。

    プロスタグランジン/ロイコトリエン:炎症・凝固・アレルギー反応に関与する生理活性物質。

    タイトジャンクション(腸漏れ):腸の細胞間の“すきま”。弱まると未消化物が漏れ、炎症が広がりやすい状態。

    遮光容器:光を遮る容器。油の酸化を抑えるために推奨されるボトル仕様。

    その油の選び方、本当に合っていますか?オメガ9・6・3を徹底比較!使い分けの正解【中編】