平島医師
平島医師
今日は“がんの話”ですね。がんリスクが61%減少、さらに感染症も防ぐという、なかなかインパクトのあるテーマです。
秋山医師
秋山医師
確かに、インパクトありますね。通常は“3選”が多いんですが、今日は珍しく“5つ”です(笑)。今回はどうしても外せないものがありまして。
平島医師
平島医師
珍しいですね(笑)。 そういえば年明になると、今年こそは健康な体を手に入れたいと思う方が多い時期ですよね。
秋山医師
秋山医師
そうですね。実は最新の医学研究によって、がんや感染症のリスクを“劇的に”下げる方法が、かなり明確になってきています。

私たちが今回お伝えしたいのは、「なんとなく体に良さそう」という話ではありません。
科学的根拠(エビデンス)に基づき、実際にリスク低下が示されている方法を、今回前編は5つの習慣のうちの2つを医師の視点からわかりやすく解説していきます。

がん・感染症リスクは「生活習慣」でここまで変えられる

厚労省が2026年1月に公表した「2022年 全国がん登録 罹患数・率報告」によると、日本で2022年に新たにがんと診断された人は 99万930人、そして 年齢調整罹患率(人口10万人あたり)は 375人 です。

※「罹患率」は指標がいくつかありますが、上の 375人/10万人 は、高齢化の影響を取り除いて年ごとの比較に使いやすい 年齢調整罹患率 です。

生日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、およそ男女ともに2人に1人。

ある研究では、特定の生活習慣を3つ組み合わせるだけで、がんの罹患率が61%低下したというデータも報告されています。
今回ご紹介するのは、その研究で示された3つに、私たち医師が「これは必須」と考えた2つを加えた、合計5つの習慣です。

どれも今日から意識できる内容ばかりですので、ぜひご自身の生活と照らし合わせながら読んでみてください。

習慣① ビタミンD ― 実は「ホルモン」として働く最重要栄養素

ビタミンDは、私たちががん予防において最も重要視している栄養素です。
多くの方は「ビタミンの一種」と思われがちですが、実はビタミンDはステロイドホルモンのような働きをします。

脂溶性であるビタミンDは、細胞膜を通過し、DNAに直接作用して多数の酵素の産生を調整します。
さらに、ビタミンD受容体は全身ほぼすべての細胞に存在しており、不足すると以下のような影響が報告されています。

  • がんリスク上昇
  • 心肺機能低下
  • 抑うつ症状
  • 不妊
  • 骨粗鬆症

東京慈恵会医科大学の研究では、日本人の約98%がビタミンD不足と報告されています。
血中濃度が低い人は、がんの死亡率が約1.7倍高いというデータもあります。

なぜ食事や日光だけでは足りないのか

目標とするビタミンD摂取量は1日4,000IU
しかし、卵1個で約76IU、鮭1切れ(100g)で約640IUと、食事だけで補うのは現実的ではありません。

そのため、不活性型(貯蔵型)のビタミンD3サプリメントを活用することが、最も確実な方法といえます。

※骨粗鬆症治療で処方される「活性型ビタミンD」は、がん予防のエビデンスとは異なる点に注意が必要です。

習慣②オメガ3脂肪酸 ― 全身の炎症を抑えるカギ

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、強力な抗炎症作用を持つ必須脂肪酸です。
私たちの食生活では、揚げ物や加工食品に多いオメガ6脂肪酸を過剰に摂取しがちで、これが慢性炎症やがんリスクを高めます。

がん予防を意識する場合、オメガ3は1日1〜2gを目標にしましょう。

効率よく摂るには?

  • サバ(生)約60g
  • イワシ(生)約70g
  • サンマ(生)約70g

これらを週3〜4回取り入れることで、十分な量を確保できます。
刺身や缶詰など、油ごと摂取できる調理法がおすすめです。

医師が実践する残りの重要習慣とは

今回の動画では、このほかにも

  • インスリン負荷を減らす食習慣
  • 腸内環境を整える意識
  • 適度な運動習慣

といった、がん・感染症予防に直結する習慣が紹介されています。

 できることを一つずつ積み重ねることが、将来の健康を大きく左右します。

まとめ|科学的に正しい知識が、あなたの未来を守る

がんや感染症は、残念ながら「これさえやれば絶対に防げる」というものではありません。
しかし一方で、正しい知識と日々の生活習慣によって、そのリスクを大きく下げられることは、数多くの医学研究によって明らかになっています。

平島、秋山先生も年始の過ごし方の話題の中で、
「走りました」「自転車に乗りました」「トライアスロンを意識してます」
といった先生方の会話がありました。
特別なことをしているわけではなく、できる範囲で体を動かし、健康を意識した時間を積み重ねている様子が印象的です。

医師という立場で多くの患者さんを診ているからこそ、
「病気になってから治す」のではなく、
「病気になりにくい体をつくること」の大切さを、先生方ご自身が日常の中で実践されています。

今回ご紹介した2つの習慣も、決して難しいものではありません。
すべて最新の医学研究に裏付けられた、“今日から意識できる現実的な選択肢”です。

「何から始めればいいかわからない」という方は、
まずはビタミンDを意識すること、そしてオメガ3脂肪酸をしっかり摂ることから始めてみてください。
小さな一歩でも、積み重ねることで、数年後・十数年後の体は確実に変わってきます。

健康は、特別な人だけのものではありません。
日々の選択の積み重ねが、あなたの未来を守ります。
この機会に、ご自身の生活習慣を少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

📝 用語解説

ビタミンD
 脂溶性ビタミンで、ホルモン様作用を持つ。免疫調整やがん抑制に関与。

25OHビタミンD
 血中ビタミンD濃度を評価する指標。栄養状態の把握に用いられる。

活性型ビタミンD
 腎臓で活性化された形。骨代謝目的で処方されるが、がん予防とは別。

オメガ3脂肪酸
 EPA・DHAなど。抗炎症作用を持つ必須脂肪酸。

オメガ6脂肪酸
 サラダ油などに多く含まれ、過剰摂取で炎症を促進する。

慢性炎症
 長期間続く体内炎症。がんや生活習慣病の土台となる。

必須脂肪酸
 体内で合成できず、食事から摂取が必要な脂肪酸。

DNA調節作用
 遺伝子の働きを調整し、酵素やタンパク質産生に影響する作用。

インスリン負荷
 血糖上昇に伴うインスリン分泌の負担。過剰だと代謝異常を招く。

腸内環境
 腸内細菌のバランス。免疫や炎症制御に深く関与する。

がん
【前編】医師が解説:がん・感染症リスク低減の5選【前編】現役ドクターも実践する方法を紹介!! No.593